インタビュー
一般社団法人日本医療機器ネットワーク協会

医療機器のSCM進化へ

 一般社団法人医療機器・材料業界情報化協議会(以下、@MD-Net)は医療機器メーカー、ディーラーを主な会員とし、医療機器・材料業界の流通、製造各社と医療機関の情報共有促進を図る団体として、活動している。主な会員サービスとして、医療機器メーカー・ディーラー間の受発注を電子化する「EDI(VAN・Web-EDI)サービス」、「生物由来製品譲渡報告書共同管理整理システム(MeBiTS)」などがある。この度、医療機器の預託品の受発注や管理を行うシステム「預託管理システム(預託EDI)」を5年あまりかけて開発した。業務効率化、商品管理の管理精度向上、医療費抑制への貢献など医療機器のSCMを進化させた点が高い評価を受け、2014年ロジスティクス大賞を受賞した。

医療機器のSCM進化へ

「預託取引」とは、医療機器業界の商習慣で、一般的に「富山の薬売り」のように、医療機関において使用した医療機器の分だけ、売上を計上する仕組み。メーカーからみると、在庫である医療機器を医療機関など自社以外のスペースに預け、医療機器ディーラーに管理を依頼している。在庫管理や使用実績をディーラーがまとめ、メーカーに電話、FAXで報告する体制が取られていた。ディーラーは、メーカーから供給された高機能カテーテルなど医療機器を管理し、医療機関とのパイプ役を勤めていたが、高額で多品種の商品に関する情報が3者を頻繁に行き来し、日常的に煩雑な業務となる問題が発生していた。

そのような中、「預託管理」に関する情報を電子化し、メーカーごとに独自のEDIシステム導入の動きも見られたが、メーカーごとにシステムが異なれば対応するディーラーの負担が増大する。そういった理由から、業界統一のシステムが必要とされていた。@MD-Netが中心となって、テルモ、ジョンソン&ジョンソン、日本メドトロニックなどをとりまとめ、5年近い開発期間をかけて、新たな標準システムを構築した。

同システムを利用すれば、使用報告、出荷情報、買い取り発注、返却・補充依頼などをインターネット上においてリアルタイムで指示、確認できる。在庫の有効期限が近い製品や切れてしまった製品があるとアラームが飛ぶ仕組みになっており、安全性が向上している。

さらに、医療機関コードは、日本アルトマーク社のコードに統一することにより、作業効率性を上げ、将来的なインフラ整備のための環境も整えた。同システムの導入により、メーカーで把握している商流のデータと医療機関に置かれている現物在庫の不一致を防ぐことができる。また、使用された医療機器のトレーサビリティも向上した。在庫の照会、二重入力などミス削減により人手の省力化も図れ、3割近いコスト削減を見込んでいる。

@MD-Net理事・事務局長の揖斐正雄氏は、「標準EDIの構築と導入には、このプロジェクトを遂行する熱意、業務推進力の継続が不可欠だった。業界標準仕様の設定、システムの構築・普及と数々の壁を乗り越え、医療業界の更なる改善、業界の中核となるシステムの導入に力を尽くした結果、実現した」と強調する。

14年12月現在でメーカー4社、ディーラー23社が参加しており、交換されたデータ件数は11月で約8万データがやり取りされた。ディーラーの参加は、15年度で累計60社を目指している。現在、全国のディーラーでの運用、操作説明会を実施、丁寧なシステム導入で、業界全体の経営革新、現場の負荷の削減、コスト低減を実現する。

さらに、現在、預託管理されている医療機器のうち、長期預託になじむ機器を対象にしているが、短期預託されている整形分野の医療機器への範囲拡大、医療機関の現場でディーラーのスタッフが在庫管理の精度を向上させられるモバイル機器の導入などさらなる効率化により、日本の医療業界の発展に貢献していく。


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