CREフォーラム レポート
株式会社デンソー

(レポート)コールドチェーンビジネスにおけるデンソーの取り組み

デンソーの会社概要

デンソーの会社概要

デンソーは、愛知県刈谷市に本社を置く自動車部品メーカーです。1949年にトヨタ自動車から分離・独立して設立されました。売上げは約4.5兆円、連結子会社数は188社、約15万人の従業員を擁しており、グローバルに事業を進めています。

自動車部品の分野においては、「環境」「安心・安全」「快適・利便」という3つのキーワードで製品開発を進めています。自動車部品以外では、家庭用給湯器、スポットクーラー、バーコードリーダー、産業用ロボットなどを開発・販売しております。

地域別売上げは、日本が約40%、北米とアジアが約20%強、次いで欧州、南米となっています。

当社は、5つの事業を軸とした事業グループ制をとっています。ガソリン・ディーゼルエンジンの制御システム等を扱う「パワトレイン事業グループ」。半導体センサ等を扱う「電子事業グループ」。乗用車用エアコンなどを扱う「熱事業グループ」。カーナビ、テレマティクス等を扱う「情報安全事業グループ」。そして5つ目が、コールドチェーン事業を進める我々が属している「アフターマーケット・フリート・新事業グループ」です。

高まるコールドチェーンの必要性

本日お話する「コールドチェーン」とは、生産地から消費地まで一貫して低温で管理し、安心でおいしい青果物を安定的に届ける仕組みのことです。コールドチェーンという言葉自体は30年ほど前からありますが、最近新たに注目を集めています。その理由の1つは、地球温暖化の影響による激しい気候変動により収穫が不安定になったため、消費者に安定的に青果物を届けられるように鮮度を維持する技術が求められているからです。2つ目の理由は、特に日本において、健康志向が高く無農薬・減農薬栽培の拡大により、青果物への害虫菌が発生しやすい環境が増えているためです。

我々デンソーは、このような問題を解決するために、現在、鮮度維持に注力して活動しています。

最適な鮮度維持の技術

青果物は収穫後も生命活動を続けるため、水分の蒸散やカビ・害虫の増殖、老化の進行などによって鮮度をどんどん落としていきます。この問題に対し、時間が経っても鮮度を落とさず維持する技術には、以下のようなものが挙げられます。

1つ目は「温度管理」、つまり冷蔵保存です。青果物の品温を低下し、呼吸を低減させることで、水分の蒸散や微生物の活動、果実の成熟・老化を促進するエチレンの増加を抑制することができます。

2つ目は「湿度維持」です。加湿器を使用したり、ビニール袋に入れて保湿することで、青果物の水分蒸散を抑制し、しおれを防止します。

また、これら以外にも、酸素や二酸化炭素の量をコントロールする空気質制御や薬剤の使用による鮮度維持方法があります。

我々は、これらの技術のうち、どの方法が最適かを調べるための実証実験を行いました。その際、大学や研究機関、農業関係者等の専門家に協力を仰ぎましたが、特に我々がこだわったのは「おいしさ」です。三つ星のプロの料理人の方に協力していただき、食味や包丁で切ったときの感触の面からも助言をもらいました。

それぞれの方法で実験した結果、1番目の「温度管理」がすべての青果物においてよい成果を出したので、我々は温度管理に集中し、「ブレのない、凍らないギリギリの温度を保つことで鮮度保持を目指す」という方向性で開発を行うことにしました。

デンソーの鮮度維持技術が提供する「うれしさ」

デンソーは、適切な温度調節のみで青果物の保存効果を最大化させるために、一般の冷蔵庫と比べて、よりきめ細かな温度制御ができるシステムを開発しました。

また、今までの一般的な冷蔵庫には、冷凍機からの風が1方向からしか流れなかったため、温度にむらが生じてしまうという欠点がありました。そこでデンソーは、風を循環させるシステムを開発し、庫内をバラつきなく一定の温度にできるようにしました。

我々が開発したこの鮮度維持装置には、皆様に提供できるメリット、「うれしさ」が3つあると考えています。

1つ目は、「より長く商品を販売できる」ことです。旬の食材を長期保存し、国内外に広く提供することで、売れ残りなどの食品ロスの低減にもつながります。

2つ目は、「作業を平準化できる」ことです。収穫時期に集中してしまう膨大な加工作業量を、青果物を長期保存することで均すことができるようになり、少人数での効率的な作業が可能になりました。

3つ目は、「様々な温度帯で活用できる」ことです。我々が開発した冷凍機は、20フィートあるいは40フィートのコンテナ単位の大きさですので、多種の青果物を保存する今までの大型冷蔵倉庫と異なり、一つひとつの青果物ごとに細かく温度を設定することが可能です。荷量が少ないときは、必要のない冷凍機の電源を切ることもできるので、トータルの電気代をセーブすることもできます。

業界初の2コンプレッサ・2インバータ方式の冷凍コンテナ

我々が理想とする冷凍機を開発するうえで最大の課題は、「どれだけきめ細やかに温度制御できるか」でした。そこで我々が開発したのが、業界初の2コンプレッサ・2インバータ方式のコンテナ冷凍機です。

温度制御は、コンプレッサ動力をオン・オフする方法が一般的ですが、設定温度に対して温度変動が大きくなってしまうという課題がありました。そこで、デンソーは、インバータを組む込むことでコンプレッサの回転数をきめ細かく制御し、高い温度安定性を実現しました。さらに、2コンプレッサ・2インバータ方式とし、これまで1台のコンプレッサにかかっていた負荷を2台に分散させることで、各コンプレッサの効率を上げ、全体のエネルギー効率を向上させ、他社比マイナス20%以上の省エネを実現しました。

コールドチェーンビジネスの海外展開

デンソーは、カーエアコン事業で創出した「高品質機能部品」、車両メーカーさんとの「適合設計ノウハウ」、また商用車事業でお客様との対話で培った「省エネ技術」と「サービスネットワーク」を強みとして、国内冷凍機市場において一定のプレゼンスを築いています。

今後は、国内のみならず、これから需要が伸びていくであろう中国を含めたアジアでの車載冷凍機開発・販売を強化。現地に進出した日系荷主企業さんや物流会社さんの事業拡大のお手伝いをするとともに、食の安心・安全に貢献し、グローバルにコールドチェーンビジネスの拡大を目指していきたいと考えております。

講師紹介

株式会社デンソー 空調冷熱事業部 特装営業室
室長 奥谷 尚之氏

株式会社デンソー 空調冷熱事業部 特装営業室
室長 奥谷 尚之氏

・繊維メーカを経て2002年デンソー入社
・6年間の中国勤務含め海外市販営業に従事
・2015年より現職

株式会社デンソー 空調冷熱技術部 特装開発室開発1課
課長 谷口 雅巳氏 (工学博士)

株式会社デンソー 空調冷熱技術部 特装開発室開発1課
課長 谷口 雅巳氏 (工学博士)

・重工メーカを経て2004年デンソー入社
・特装車エアコン・冷凍機の開発に従事
・2014年より現職

株式会社デンソー コールドチェーン事業室
担当次長 吉田 和男氏

・1982年日本電装入社
・14年間の欧州勤務含めカーメーカ向直納営業に従事
・2015年より現職

募集要項

イベント名 第27回CREフォーラム|「コールドチェーンビジネスにおけるデンソーの取り組み」
日時 2016年 8月26日(金) 14:30開場 15:00開始 16:40終了
会場 虎ノ門ツインビルディング西棟地下1階
東京都港区虎ノ門2-10-1
参加対象者 荷主企業 様、物流会社 様
参加費/定員 無料/70名限定 (定員数を超えた場合、申し込み期限前でも終了する場合があります)

本件に関するお問合せ

お問合せ先:
株式会社シーアールイー マーケティング部
メール:
leasing_mail@cre-jpn.com
電話:
03-5572-6604

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