CREフォーラム レポート
ネスレ日本株式会社

(レポート)New Realityに対応したネスレ日本物流網の構築

ネスレグループとネスレ日本の概要

ネスレグループとネスレ日本の概要

ネスレは、スイスに本部を置く、世界最大の食品メーカーです。2016年のグループ売上高は895億スイスフラン(約10兆円)で、社員数は32万8,000人、159カ国でビジネスを展開しています。工場は86カ国に418棟、2,000を超えるブランドをグローバルに展開しており、1日に販売されるネスレ製品は10億個になります。

ネスレの日本法人であるネスレ日本の歴史は古く、1913年に横浜で創業しました。その後、神戸に本社が移転され、現在、社員数は2,500人で、2016年のオーガニックグロースは4.1%です。

工場は、霞ヶ浦工場(茨城県)、島田工場(静岡県)、姫路工場(兵庫県)の3つがあり、飲料、菓子、栄養補助食品などを製造しています。飲料に関していえば、家庭内外で日本で消費されるコーヒーの全ての中で、杯数ベースで約4分の1が弊社の「ネスカフェ」であります。

共通価値の創造

私たち食品メーカーにとっては、胃袋の数がビジネスの大きさを左右します。今後も人口減少に歯止めがかからない日本において、食品企業は厳しい状況に置かれることが予想されます。

そのような環境の中、私たちネスレは、「共通価値の創造」を、ネスレの事業活動の指針となる基本的な原則としています。「共通価値の創造」とは、企業としてのあらゆる行動を通じて、株主の皆さまと社会に長期的にプラスの影響をもたらすためのネスレのアプローチです。

近年のネスレ日本の物流に対する取り組み(モーダルシフト)

「共通価値の創造」として取り組んでいることの1つが「モーダルシフト」(貨物輸送をトラック輸送から鉄道または海運に転換すること)です。私たちがモーダルシフトを始めた2000年代当初の目的は、CO2を削減し、自然環境保護への貢献を図るということでした。しかし、2010年代に入り、モーダルシフトは、自然環境に貢献するだけでなく、トラックドライバーの人材不足や高齢化等の社会問題にも貢献できるのではないかと考えています。

モーダルシフトの具体的な取り組み事例としては、例えば、イオン様との鉄道コンテナ共同輸送による物流の最適化や、気象情報を利用した船舶輸送による省エネ物流の実現があります。

後者は、日本気象協会様と川崎近海汽船様とネスレ日本が協働して取り組んだ事例です。日本気象協会様の気温予測情報を利用することで、より綿密な輸送計画と輸送量を早期に決定できるようになり、販売するペットボトルコーヒーをトラックによる陸上輸送から海上輸送へシフトすることができました。これによって、CO2排出量削減はもちろん、配送の効率化も実現しました。

IoTを活用した集荷車両の効率化(Beaconを活用したトラック待機時間軽減)

モーダルシフトを進めることで、集荷車両がトラックだけではなく、鉄道コンテナやトレーラーの車両など、多彩になってきたこと、将来起こり得るトラックドライバー不足に対応する必要がありました。

この問題を解決するために、私たちは島田工場でBeacon(Bluetoothが発するビーコン信号を活用する仕組み)を活用したIoTシステムを導入しました。このシステムは、株式会社ジェナ様と日本IBM株式会社様と協働してつくり上げたものです。

工場前にはスペースがないため、トラックは工場から10キロ離れた待機所で待機しているのですが、システム導入前は、情報をすべて紙ベースで処理していたため、「何を積むためのトラックが何時に到着したか」という情報が工場に到着するまでわかりませんでした。そこで、私たちが開発したのが、Beacon端末を利用し、トラックの位置情報を取り込み、そのデータを蓄積・可視化するプラットフォームとクラウド上で連携させるIoTシステムです。それにより情報が瞬時に工場に伝わるので、積み荷のピッキングの前倒しが可能になり、結果的にトラックの待機時間を30%削減することができました。

IoTを活用したフォークリフト安全対策

また、私たちは、集荷車両の効率化のほかにもIoTを活用した取り組みを行っております。それは、三井物産エレクトロニクス様が提供するIoTサービス「FORKERS」を利用したフォークリフト安全対策です。

「FORKERS」は、IoT技術でフォークリフトの安全と自動監視・管理を提供するサービスで、運転者の危険運転の記録を動画付きでクラウド上で確認することができます。これにより運転者に対する安全運転指導が可能になりました。これは今年の6月に導入したばかりですが、既に大幅に事故が減少する傾向を示しています。

ネスレの工場では安全に作業ができることは我々が社会に貢献するひとつと考えています。

今後の展開~ドライバーと家族のつながりを大切に~

ネスレは食品メーカーですが、商品を運んでくれるドライバーがいなければビジネスが成り立ちません。ドライバーも私たちの大切な顧客であります。現在、ドライバーの労働環境は大変厳しく、1週間以上帰宅できない話もよく耳にします。

そこで、私たちは、ドライバーと家族とのコミュニケーションのためにBluetoothを搭載したコーヒーマシーン“ネスカフェバリスタ”で、工場や物流センターに設置してあるこのマシーンでドライバーがコーヒーを飲めば、「何時にコーヒーを飲んだ」という情報が家族に伝わります。わざわざ電話をしなくても、元気に働いていることが家族にわかるのです。

IoTを活用してドライバーの待機時間を削減した例を先ほど紹介しましたが、私たちは、さらに待機時間を減らし、ドライバーの負担を軽減したいと考えています。事前に集荷時間や積み込み時間がわかる仕組みを開発できれば、明日、ドライバーが何時に待機場に来ればいいということが計算できるので、待機時間をゼロにすることも可能になると考えます。

このような仕組み開発もそうですが、もはや物流は、倉庫会社や物流企業、運送会社だけのビジネスではありません。今後、私たちは、新しいパートナーとタッグを組みながら、よりよい物流環境を構築し、社会に貢献していきたいと考えています。

講師紹介

ネスレ日本株式会社
サプライ・チェーン・マネジメント本部
ネスレヘルスサイエンス サプライ・チェーン マネジャー
上野 剛(うえの つよし)氏

ネスレ日本株式会社
サプライ・チェーン・マネジメント本部
ネスレヘルスサイエンス サプライ・チェーン マネジャー
上野 剛(うえの つよし)氏

1975年、兵庫県出身
ネスレ日本入社後、営業部門・マーケティング部門を経て
2013年よりサプライチェーンマネジメント本部に所属。

主に取引企業との共同物流提案を行う中で、
2015年 グリーン物流パートナーシップ国土交通大臣表彰
2016年 日本物流団体連合会 物流環境大賞
2017年 省エネ大賞 経済産業大臣賞 の各賞受賞に貢献
2017年1月より現職

募集要項

イベント名 第38回CREフォーラム|『New Reality に対応したネスレ日本物流網の構築』
日時 2017年 9月 8日(金) 14:30開場 15:00開始 16:40終了
会場 虎ノ門ツインビルディング西棟地下1階
東京都港区虎ノ門2-10-1
参加対象者 荷主企業 様、物流会社 様
参加費/定員 無料/70名限定 (定員数を超えた場合、申し込み期限前でも終了する場合があります)

本件に関するお問合せ

お問合せ先:
株式会社シーアールイー マーケティング室
メール:
leasing_mail@cre-jpn.com
電話:
03-5572-6604

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