インタビュー
株式会社JR貨物・リサーチセンター

モーダルシフトへの展望

モーダルシフトへの展望

2014年、物流業界で最も大きな話題となった事例の一つと言えば、ドライバー不足による輸送力への不安が挙げられるだろう。鉄道貨物協会が、14年3月に発表した「大型トラックドライバー需給の中・長期見通しに関する研究」によると、2020年度には、トラックドライバーが約10万人不足するという衝撃的な予測がなされている。

このドライバー不足が、トラック運送各社に与えている影響としては、ドライバー不足で協力会社から運賃を上げないと取引中止を申し出されたり、首都圏への長距離輸送を中止したりした事例があげられる。また、トラックの稼働率の低下、トラックの手配ができない、運賃を上げても協力会社が集まらず、売上が減少した運送会社もあるという。

日本通運は、9月1日からトラックの届け出運賃を24年ぶりに改定し、実質15%の値上げに踏み切った。ドライバー不足に加え、排ガス規制、環境負荷低減への投資、社会保険料の負担増などが理由とされている。

こういった事態を受け、物流大手企業は輸送費が高い長距離輸送を対象に、共同輸送やトラックの空きスペース、集配拠点の相互活用などを行っている。また、鉄道や船舶に輸送をシフトするモーダルシフトへ今まで以上に注目が集まっている。

JR貨物の輸送動向によると7月は、トラックからシフトした紙・パルプ、農産品などが増え、景気回復や円安の影響で堅調に推移した国内生産が貢献し、コンテナ貨物は、前年比1.2%増の180万t、年度累計でも前年度比2.4%増の699万tと好調に推移した。

新聞紙上でも、500km以上の加工食品の長距離輸送を2016年までに鉄道・船舶に切り替えることを目指している味の素、2015年度中には東北~九州の輸送を全て鉄道輸送にするとしている森永乳業、東京~福岡で鉄道の共同輸送に取り組むイオンと花王の事例などが大きく取り上げられている。

鉄道へのモーダルシフトは、二酸化炭素排出量削減など環境効果に加え、物流効率化でも、高い効果が見込まれる。大量、長距離輸送に適しており、貨物列車20両編成でトラック40両分の貨物が運べる。運転手は1名で特定区間を運行し、区間の終了地点で交代しているため、人的負担も少ない。モーダルシフトで幹線道路での渋滞が減れば、輸送のスピードアップ、トラック輸送の定時性につながる。大型トラックによる道路の損傷が減少すれば、道路管理費も低減するなど、インフラ維持にも貢献できる。

ジェイアール貨物・リサーチセンターの中村理史常務取締役は、「鉄道は、環境負荷低減、物流効率化に大きく貢献し、トラックの渋滞を減少させる時間効果もある。人気の路線の確保や輸送障害対応など課題もあるが、これからさらに荷主企業からの問い合わせも増えていくだろう」とモーダルシフトへの展望を語った。


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