(レポート)意外と知らない「物流DX」の正しい捉え方 ~DXプロジェクトの進め方のヒント~
株式会社ストラソルアーキテクトについて
当社ストラソルアーキテクトは、株式会社シーアールイーの物流インフラプラットフォーム事業における、コンサルティング事業を担っています。
「SCM・ロジスティクス戦略」「業務改革」「WMS・IOT」などの事業領域で活動しており、物流センターのデザインや情報システム、マテハンシステムの導入支援、現場カイゼンなどを手がけています。
当社は「個別解の追求」を特長としています。お客さまの将来の事業拡大に向けた経営・業務課題解決を行う「企画・構想力」と、生産/物流管理・マテハン設備・ IT&IOTの豊富な経験をもつコンサルタントによる「構想実現力」を駆使し、効果創出まで一貫してお客さまに伴走します。
DXの正しいとらえ方
「2024年問題」「人手不足」「サプライチェーン再構築」「脱炭素対策」など、物流領域は大変革を必要としています。この課題に対して、世間ではよく「物流DXが解決する」といわれています。しかしそのように単純な話ではありません。
ちなみに、DXは下記のように定義されています。
<DXの定義>
・「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」
※2004年 スウェーデンのウメオ大学ストルターマン教授が提唱
・「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
※2018年 経済産業省が定義
上記をまとめると、DXとは「デジタル技術の活用による、経営/業務変革である」といえます。「D」(Digital)の対象と「X」(Transformation)の目的は以下のとおりです。
DXにおいては、「個社の競争優位を明確化し、何をデジタルで変えるのかを定義、実行すること」がポイントとなります。「自社のビジネスをどう変えるか」が基点であり、個社ごとに戦略と合致した打ち手を採用することが重要です。
現在、巷で言われるDXには2種類が存在します。検討メンバーのDXに対するイメージが統一できていないと、論点がそろわず空論化するリスクがあるので注意が必要です。「世の中に存在しないものを創る」、もしくは「自社の経営資源をバージョンアップする」ことをポイントに置いて議論を進めましょう。
また、DXはアプローチ方法も2種類あります。短期で生産性向上などの効果が得られる「表のDX」と、データに基づいた高速PDCAサイクルの実現により、中長期で改革効果が得られる「裏のDX」がそれです。「裏のDX」は見た目の派手さはありませんが、中長期的に業務改革を継続する鍵となります。
物流DXプロジェクトの進め方のヒント
物流DXプロジェクトを進めるうえでは、以下の視点が重要です。
・構想から始める=順番が大事
・シンプルクエスチョンで組織階層を超えて思いを議論
・3次元で未来を見据えて、今を語る
・DX阻害要因を分析し、企業文化の風穴を開ける
構想から始める=順番が大事
経営環境や戦略は個社ごとに違います。それは「あるべき業務も個社ごとに違う」ことを意味します。
物流ソリューションを先行して進めてしまうと、戦略とマッチしない過剰・過小投資になるリスクがあります。「事業戦略→構想策定→オペレーション改革→物流DXソリューション→構想策定→・・・」という順番で物流DXプロジェクトを進めましょう。
シンプルクエスチョンで組織階層を超えて思いを議論
経営・管理者・現場は主体感を持ちながら、「なぜこのままではダメなのか?(問題点)」と「何を変えなければならないのか?(課題)」をシンプルに整理し、議論を行いましょう。
■3次元で未来を見据えて、今を語る
ビジネスの解像度を「縦のD(事業の階層)」×「横のD(機能の横断)」×「奥行のD(現在から未来の時間)」という3次元で整理しましょう。
「縦のD」は、「顧客価値」を頭に置き、「ビジネスモデル」「オペレーション」・・・と階層を設定して、どの層に向けた施策なのかを意識して議論しましょう。
「横のD」は、本社や事務所、物流現場など部門間を超えて、データを利活用できる取り組みになっているかどうかを意識します。
そして「奥行のD」では、「未来を見据えて今を語る」ことが重要です。「今がこうだから、解決策としては……」ではなく、「202X年にはこうなっていたいから、現在をこう変えていく」という視点で議論を進め、「縦のD」と「横のD」が未来に向かって変わっていけるように意識しましょう。
DX阻害要因を分析し、企業文化の風穴を開ける
実は、多くの企業が「DXの取り組みは失敗している」と現状を自己評価しています。このように、DXに苦戦する企業には共通項(企業文化)があります。その共通項は以下のとおりです。
物流DXプロジェクトの取り組み例
ストラソルアーキテクトが物流DXプロジェクトを支援した、A社さまの事例をご紹介します。
A社さまは、国内外に製造・販売拠点を持つ電機設備製造業者であり、 「IOTを活用したアフターサービスの強みを、更新・新規導入につなげたい」と考えていました。
私たちは構想策定に関わり、「担当者の勘に基づく発注を行っているため、保守パーツの過剰在庫と欠品が常態化している」「物流コストを加味しない営業の声に振り回され、物流コストが高止まっている」という2つの課題を発見しました。
そして課題解決として「必要なデータをためる仕掛けと数字に基づくマネジメントが必要」という議論を導き出し、「データドリブン ロジスティクス」の実現を提案しました。
物流DXには個社ごとの「個別解」があります。物流DXプロジェクトを進める際は事業戦略と同期させ、目的を基点に議論を進めましょう。
講師紹介
鈴木 晃博 氏
株式会社ストラソルアーキテクト
マネージャー
大手電機メーカーにて、パソコン生産計画立案を担当したのち、実務経験を活かしSCMシステム導入を支援。
その後、コンサルティングファームにて、製造業・流通業を中心として事業戦略・SCM戦略・保守サービス改革等を手がける。
大手情報サービス・大手SIerにおいて、BPO戦略立案/設計運用・BtoBデジタルマーケティング戦略・CRM導入など数多くのプロジェクトを推進。
募集要項
日時 | 2023年1月25日(水) 16:00~17:00 |
---|---|
会場 | オンライン受講(Zoom) |
参加対象者 | 荷主・物流企業 様 |
参加費/定員 | 参加費無料 / 定員100名 |
本件に関するお問合せ
- お問合せ先:
- 株式会社シーアールイー マーケティンググループ
- 担当:
- 佐藤(サトウ)
- メール:
- leasing_mail@cre-jpn.com
- 電話:
- 03-5570-8048