株式会社シーアールイーは、大型物流センターや大型賃貸倉庫などの物流不動産における市場動向・調査を記したマーケットレポートの2019年6月末時点の最新レポートを発行いたしました。
つきましては、本サイト上でもマーケットレポートの内容を掲載させていただきます。
なお、物流不動産に特化した弊社が作成するマーケットレポートは、四半期ごと(1-3月、4-6月、7-9月、10-12月)のデータを基に作成しており、今回は2019年6月末時点での市場をまとめたものとなっております。
(会員限定)「倉庫・物流不動産 マーケットレポート(β版) Ver.201906」発行のお知らせ
マーケットレポートとは
弊社は、全国にある賃貸大型倉庫を中心に物件情報をデータベースに蓄積し、その情報を基にマーケットレポートを作成しております。
エリアは、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)エリア、関西圏(大阪府・兵庫県・京都府)エリア、九州圏(福岡県・佐賀県鳥栖)エリア、中部圏(愛知県を中心とする)エリアの4つに分かれており、そのエリアを中心に物件情報の収集・分析を行い、データベースに情報を蓄積しております。
上記のエリアの中も細かくエリア分けされておりますので、知りたい場所の市場動向がわかるようになっております。
弊社が作成するマーケットレポートの特徴は、大型倉庫に加え、弊社が管理をする首都圏約1,200件の中小型倉庫情報を掲載している点になります。1都3県を中心に約34万坪の管理実績を誇る弊社だからこそ制作できるレポートなっておりますので是非、この機会にご覧ください。
■ 大型倉庫 首都圏:3Q連続で20万坪を超える好需要が継続。
総需要は20万坪弱と、3Q連続の高水準を維持。空室率は改善し2.44%と3%を下回る水準となった。
神奈川湾岸エリアの約9万坪の大型物件が満床稼働を迎え、千葉東葛エリアは大型物件の需要を継続的に吸収している。また、空室率が5%未満のエリアでは、成約賃料の上昇傾向が確認されている。
2019CY2Hにおいて、1Hと同水準の供給が予定されている。現時点で約7割の内定が確認されており、今後も好調な需要に支えられ低い空室率で推移するものと推察される。
ストック量と空室率
需要と供給バランス
<エリア詳細>
都内湾岸エリア
今Qの新規供給が満床稼働で竣工を迎えたこと、および既存物件が小さく消化したことにより空室率の減少につながった。2019CYに今後新規供給を予定している物件はないため、既存物件の消化が時間の経過とともに進み、空室率は低下していくものと推察する。
神奈川湾岸エリア
今Qの8万坪超の大型物件の新規供給が満床稼働で竣工を迎えたこと、および既存物件の消化が進んだことにより空室率の減少につながった。2019CYに今後約1.5万坪の供給が予定されているが、現時点で100%内定との情報があり、空室率はこのまま低い水準を維持するものと推察する。
千葉湾岸エリア
既存物件の空きが小さく生じたことによる増加。2019CYに今後10万坪弱の供給が予定されているが、内定率は4割強と前Qから大きな進展はない。元々、ストック量が多いエリアであることも勘案すると、空室率への影響は限定的と推察する。引き続き、テナント動向をウォッチする。
東京神奈川西エリア
今Qに竣工を迎えた物件による空室発生が要因。2019CYには今後7万坪弱の新規供給が予定されているが現時点で内定率は100%との情報がある。空室の大半は2019CY前半に竣工した物件のため、ニーズが高いエリアであることを勘案すると今後当該物件の消化が進み空室率は漸減傾向であると推察する。
埼玉南部エリア
今Qの新規供給は満床稼働で竣工を迎え、5Q連続で空室率0%を維持しニーズが高いエリアであることが再確認された。2019CYに今後約1.5万坪の新規供給の予定に対し内定率は5割程度だが、ストック量の多さ、ニーズの高さを考慮すると空室率への影響は限定的と推察する。
千葉東葛エリア
既存物件の消化が順調に進んだことで空室率の改善につながった。2019CY3Qに約6万坪の新規供給が予定されており一時的に空室率が上がる可能性があるものの、安定した需要があるエリアのため、大きく崩れることはないものと推察する。
埼玉関越東北道エリア
既存物件の消化が順調に進み、今Q竣工の3物件のうち1物件が満床での竣工を迎えたことで、空室率の改善につながった。2019CYには、今後6万坪弱の新規供給が予定され約7割が内定しているが、依然空面積が2017CYの約2倍程度の水準の約7万坪であり、楽観視できない状況が続くと思われる。
茨城南西エリア
既存物件の消化が進んだことにより4Q連続の空室率改善につながった。2019CYには、今後3万坪超の新規供給を予定しているが現時点で全て内定していること、および現状空室の物件の数も少ないため、物流適地としてのエリアの認知度が高まっており、空室率は漸減傾向で進むと推察する。
成田エリア
既存物件の空きもなく、2019CYに予定されている新規供給もなく、2Q連続で空室率0%を記録し小康状態ではあるが、ストック量とニーズも大きくないエリアのため、既存物件の動向をウォッチする。
■ 大型倉庫 関西圏:過去の大量供給を消化し、最低の空室率を記録。
2016CY2Qの調査開始以来、約80万坪の新規供給があり、マーケット規模は倍増した。
2018CY1Q以降の好需要に支えられ大量供給を消化し、空室率は2016CY2Qの調査以来最低の値を更新し6.09%となった。神戸内陸エリアで空室率が急上昇しているが、テナントは一部内定している。また、2019CY2Hに新規供給される物件はすべて内定している情報もあり空室率は一段と低下するものと思われる。
しかしながら、2020CYに大型物件の供給を控えており依然予断を許さない状況である。
ストック量と空室率
需要と供給のバランス
<エリア詳細>
大阪湾岸エリア
既存物件の消化が進んだことで空室率を押し下げ、5Q連続での減少となった。他のエリアと比較し、空室率が高い状況が続いているが、2019CYには、今後新規竣工は予定されておらず、空室率は既存物件の動向次第のエリアである。今後の消化動向をウォッチする。
阪神神戸港エリア
既存物件の大型物件の消化が順調に進んだことで大幅に空室率が改善された。今後2019CYは約1万坪の新規供給が予定されているが100%内定のため、しばらくは漸減傾向が進むと予想される。しかし、2020CYに11万坪の新規供給が予定されており、予断を許さないエリアである。
北摂東大阪エリア
既存物件の軽微な空きの発生によるもので、依然として極めて低い空室率を維持している。今Qの新規供給は満床で竣工を迎えた。2019CYには、今後約2万坪の新規供給を予定しており一時的に空室率が上がる可能性があるものの、物流適地として注目度が高まっているエリアであり好調な需要に下支えされ、低い空室率で推移すると推察する。
神戸内陸エリア
ストック量が少ないエリアであるため、未消化のまま竣工を迎えた物件があったことで17%台まで悪化した。今後2019CYには2万坪超の新規供給が予定されているものの、現時点で内定率は100%となっており、既存物件の消化動向を引き続きウォッチする。
■ 大型倉庫 九州圏:既存物件の消化が進み、需給はさらにタイト。
空室率は0.00%と前Qより2.34pt改善した。
デベロッパーが供給する物件の空室率は0%と極めて低い空室率を観測した。2020CY2Qまでは新規供給がなくこの基調はしばらく続くものと推察される。
30万坪を下回る小さいマーケット規模であるため、新規供給に伴う空室率の上昇の可能性もあるが、一時的な上昇にとどまることが予想される。
ストック量と空室率
需要と供給バランス
<エリア詳細>
福岡エリア
既存物件の消化が進んだことで、大幅に改善し空室率が0%となった。2019CYには新規供給の予定はないため、今後既存物件のテナントの出入りで多少の空室率の増減はあるものの、今後も低い空室率を維持するものと思われる。
鳥栖エリア
空室率0%は、調査依頼13Q連続で継続している。2019CYは現状新規供給の予定はなく、引き続き低い空室率を維持するものと推察される。2020CYに1万坪弱の新規供給があるものの、現状を勘案すると低い空室率で推移するものと推察する。
■ 大型倉庫 中部圏:南エリア、4Q連続で空室率改善。
空室率は7.40%と前Qより1.75pt悪化した。
名古屋南エリアは4Q連続での空室率の低下を記録した。一方、名古屋北エリアでは5Qぶりの新規供給が竣工したことで、空室率の上昇につながった。
2019CYでは、今後約2万坪の新規供給が予定されているが、現時点で内定率100%の情報も確認されていることから、既存物件の消化も進み、空室率は良化傾向に向かうと推察される。
ストック量と空室率
需要と供給バランス
<エリア詳細>
名古屋北エリア
今Qに新規供給のあった物件の契約が3割弱に留まったため、5Q連続での空室率0%から5%台へと悪化した。今後2019CYには、約1万坪の新規供給が予定されているものの、内定率は現時点で100%となっており、既存物件の消化動向を引き続きウォッチする。
名古屋南エリア
前Q竣工の既存物件の消化が進み、空室率は4Q連続で低下した。今後2019CYには約1万坪の新規供給が予定されているが、内定率が100%であるため、今後の空室率は漸減傾向で推移していくものと推察する。
■ 中小型倉庫 首都圏:空室率は横ばい、依然低い空室率を維持。
空室率は1.19%と前Q比、横ばい。
埼玉関越・東北道エリアの既存物件の消化が進む一方、千葉東葛エリアでは既存物件の空きが発生した。各エリアでの既存テナントの出入りはあったものの、首都圏全体で見ると空室率は前回と横ばいであった。
今後も、一部物件での出入りにより一時的な空室率の上昇が見られると思われるが、依然として中小型倉庫へのテナントニーズは高い一方、新規供給は僅少であり、しばらくは今後も1~3%のレンジで推移していくものと思われる。
注釈
マーケットレポートのPDFダウンロードは、最新記事よりお願いします。
調査概要
調査地域 |
首都圏:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県 関西圏:大阪府、京都府、兵庫県を中心とする地域 九州圏:福岡県、佐賀県を中心とする地域 中部圏:愛知県を中心とする地域 |
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調査施設 |
大型倉庫 首都圏 350棟 (計:16,607,117.69 ㎡) 関西圏 90 棟 (計:5,508,811.61 ㎡) 九州圏 28 棟 (計:943,168.15 ㎡) 中部圏 26 棟 (計:1,140,273.27 ㎡) 中小型倉庫 首都圏 900棟 (計:738,930.05 ㎡ ) |
用語定義 |
大型倉庫:総賃貸面積1万㎡以上の賃貸物流施設 中小型倉庫 :総賃貸面積3,305.8㎡(1,000坪)未満(当社管理のみ) 空室率 :調査時点での空室の割合(空室面積÷総賃貸面積) |
マーク凡例 |
☀=空室率5%未満 ☁=空室率5%以上10%未満 ☂=空室率10%以上 |
※本レポートは、株式会社シーアールイーが調査対象に関する情報をお伝えすることのみを目的として作成した資料です。
※掲載された内容は、作成時における当社の見解や予測、また関係者へのヒヤリングを基に作成したものであり、将来の市場変動等を保証するものではありません。
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※集計対象の物件情報については、過去を遡って更新する場合がございます。そのため、過去発行のレポートに掲載された数値と、相違がある場合がございますので、予めご了承ください。