デポとは?主な役割や導入するメリット、業務の流れや効率化の方法を解説
物流業務において、「デポ」は重要な役割を果たします。実際デポを導入する企業は増えていますが、そもそもデポがどういうものなのか理解しきれていない方も多いでしょう。
そこで、この記事では、デポの概要や物流における役割、導入のメリットなどを詳しく解説します。デポを導入する際に注意したいポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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物流におけるデポとは?
「デポ(depot)」とは、貯蔵所・倉庫を意味する言葉です。
日本では、主に交通機関や物流における施設として利用されています。
物流におけるデポの役割
物流におけるデポとは、エリアごとに設置された小型物流拠点のことです。
物流センターなどの拠点から配送先までの距離を短縮し、物流の最適化につなげる役割があります。
ラストワンマイルを担当
ラストワンマイルとは、顧客に商品を届けるまでの工程における、最後の一区間のことです。
物流業界では、このラストワンマイルをどれだけ効率化できるかが大きな課題となっています。デポには、そんなラストワンマイルを担当する拠点として、そのエリアごとに適した機能を提供する役割があります。
なお、従来はデポから営業所と荷物を送って顧客に届ける形式が一般的でしたが、近年はデポが営業所の役割を兼ねるケースが増えています。
デポと物流センターの違いとは?
デポと物流センターには、規模・役割・機能の3点において次のような違いがあります。
規模の違い | デポが小型拠点なのに対し、物流センターは大型拠点です。小規模施設であるデポは、大型拠点の設置が困難な都心部にも置きやすいというメリットがあります。 |
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役割の違い | デポは特定のエリアに配送する荷物を管理するのに対し、物流センターは各所から集められた荷物を管理します。 |
機能の違い |
デポは配送専門なのに対し、物流センターは配送だけでなく加工業務なども行います。 |
物流センターの主な種類
顧客のもとに商品が届くまでの一連の流れのなかには、デポ以外にもさまざまな施設が設置されます。ここからは物流センターの主な種類や、それぞれの役割を解説します。
DC (ディストリビューション・センター)
DC(ディストリビューション・センター)とは、在庫を保管することを前提とした施設です。在庫物流センターとも呼ばれています。DCでは在庫管理業務が必要なため、在庫を抱えるリスクはありますが、急な注文にも対応できる点が強みです。
一例として、ヤマト運輸では、大規模拠点(ハブ)に荷物を集中させ、そこから各拠点(スポーク)に分散させる「ハブ&スポーク型」への変革に取り組んでいます。
PC (プロセスセンター)
PC(プロセスセンター)とは、商品の加工を専門とした施設です。流通加工型センターとも呼ばれ、食品の加工や組み立て、ラッピングなどを担います。
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TC (トランスファーセンター)
TC(トランスファーセンター)とは、在庫を保管しない施設です。通過型物流センターとも呼ばれています。受け入れた商品をその場で仕分けして、車両に積み込み配送します。
デポにおける物流業務の基本的な流れ
デポにおける物流業務の基本的な流れは、以下の通りです。
1.集荷(デポに荷物が届く)
2.検品(荷物に不良品がないかチェック)
3.仕分け(配送ルート・エリアごとに仕分け)
4.配送(配送ルート・エリアごとに車両に積み込み、荷物を運ぶ)
まず、メーカーやサプライヤー、物流センターなどから、デポに荷物が届きます。このとき、出荷データとして届く情報から荷物の種類や数量などを把握します。
次に、届いた荷物に不良品はないか、配送であれば梱包に問題はないかチェックしましょう。運べる状態にないものは、代替品の対応や軽微であれば外装箱の修復が発生することもあります。
検品が終わったら、荷物を届け先の方面別、または配送ルート別に仕分けし、エンドユーザーに荷物を届けて完了となります。
デポを導入する3つのメリット
デポを導入すると、次の3つのメリットを期待できます。
・配送コストの削減を図れる
・リードタイムを短縮できる
・消費者ニーズへの対応力が向上する
それぞれのメリットについて、以下で詳しく解説します。
配送コストの削減を図れる
デポを設置すると、荷物を配送車両に積んだあと、顧客に届けるまでの区間辺りの配送距離が短縮され、効率的に顧客に届けることができます。これにより、人件費や燃料費などの配送コストの削減につながります。
リードタイムを短縮できる
リードタイムとは、荷物をトラックに積み込んでから配送先に届くまでにかかる時間のことです。デポのように、エリアごとの小さな拠点を設ければ、倉庫から運ぶよりもリードタイムを短縮できます。
すると、配送時間が短縮されることで、品質を保ったまま荷物を届けられるようになるでしょう。
近年ECにおいては様々な配送に関するサービスが顧客に提供されています。早く届ける、定められた時間に届けるなどのサービスはデポでの運用に支えられています。
消費者ニーズへの対応力が向上する
デポが抱える在庫は必要最小限なので、消費者ニーズに合わせて対応商品を柔軟に変更できるというメリットもあります。例えば、クリスマスやハロウィーンなどのイベントに合わせた商品展開や、期間限定のキャンペーンなどにも、在庫の余剰を抱えることなく対応可能です。地域に密着した拠点なので、周辺の消費者のニーズを把握しやすいでしょう。
このように消費者ニーズへの対応力が向上する点も、デポを設置するメリットといえます。
デポにおける物流業務を効率化する方法
デポにおける物流業務を効率化する方法としては、次のようなものがあります。
・定置管理を行う
・作業動線を短縮する
・各種システムを活用する
・マニュアルを整備する
それぞれの方法について、以下で詳しく解説します。
定置管理を行う
小規模拠点であるデポは小規模在庫拠点や配送拠点など様々な用途があります。物流センターと比べて限られたスペースで運用するため、 “ここに置かれた物はこのような状態である”など商品や荷物の定位置管理を行うことで業務の繁忙の際にも品質を維持した運営ができることでしょう。
作業動線を短縮する
ピッキングや入庫などの作業動線が短縮されれば、業務効率が向上します。倉庫内の配置を見直し、作業動線を短くできる部分がないかチェックしてみましょう。
例えば、セットで購入されることが多い商品は近くに配置するといった方法が考えられます。動線の最適化は管理コストの削減や、安全性の確保にもつながるので、積極的に取り組みたい施策の1つです。
各種システムを活用する
デポの運用を効率化するためには、業務内容に合わせた設備やシステムの導入が必要です。例えば、運送車両の管理システムや、倉庫管理システムなどが挙げられます。
デポの担当するエリアの広さやその時々の荷物の量、届け先によって配送ルートは異なり、複雑化します。複雑化した配送ルートでも運送車両の管理システムが最適な配送計画を立てることで、効率の良い配送を実現することができます。また、倉庫管理システムの活用によって、物流倉庫間での連携と在庫管理が行われることで、リアルタイムでの在庫把握による作業効率を上げ、配送リードタイムを短縮することができます。
各種業務をシステム化すれば、入力ミスや確認漏れなどのヒューマンエラーも削減することが可能です。また、適切な設備やシステムの導入は、荷物の安全確保にもつながります。
マニュアルを整備する
作業マニュアルを整備し、業務の標準化を図ることも大切です。スタッフの経験の量にかかわらず一定の作業品質を保つことができ、作業効率の改善にもつながります。
誰にとっても分かりやすく、同じ手順で作業を進められるようなマニュアルを作成しましょう。
デポを導入する際に注意したいポイント
デポを導入する際には、次のポイントに注意することが大切です。
周辺地域での需要を正しくつかむ
周辺地域に配慮して設置場所を選ぶ
安全管理・法令遵守を徹底する
それぞれの注意点について、以下で詳しく解説します。
周辺地域での需要を正しくつかむ
デポの導入において、設置場所やデポに求めるスペックの検討が極めて重要になります。
周辺地域での需要とは、デポからの配送量やサービスレベルの多様性を指します。
繁忙期の荷物量なども考慮して、荷物を適切に処理できるキャパシティを導入する必要があります。
ECサービスの普及に伴い、リードタイムを短縮してサービスを強化する事業者は少なくありません。翌日配送指定や時間指定配送、注文から何時間以内に配送しなければならないなど自社のサービスレベルによって、必要ドライバー数やトラック台数、倉庫内の作業員数が決まります。自社のサービスレベルを把握した上で、同時着車数を考慮したヤードや倉庫内作業員数に応じた面積を適切に確保できる施設がデポの導入には必要になります。
周辺地域に配慮して設置場所を選ぶ
デポは、地域に密着した物流拠点です。そのため、デポを設置する際には、周辺地域の交通網や環境面などに十分配慮する必要があります。
エリアごとの規制や法律を確認するとともに、事前調査やヒアリングを実施し、その場所にデポを設置して問題がないか総合的に判断しましょう。
安全管理・法令遵守を徹底する
デポでは顧客の大切な荷物を取り扱うので、セキュリティ対策や品質管理は必須です。
また、運送業に対する各種法律や、労働基準法などの規制の遵守を徹底しましょう。
まとめ
デポとは、エリアごとに設置された配送専門の小型物流拠点です。顧客に商品を届けるまでの最後の一区間であるラストワンマイルを担当し、配送コストの短縮やリードタイムの削減といったメリットをもたらします。周辺住民との距離も近く、エリアごとのニーズに合わせた柔軟な対応が可能です。
ただし、デポは地域に密着した物流拠点だからこそ、周辺地域の交通や環境には十分配慮する必要があります。メリットだけでなく、こうした注意点も把握したうえでデポの導入を検討しましょう。
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