EC物流倉庫とは?種類やアウトソーシングするメリットなどについて解説

CREコラム

EC物流倉庫とは?種類やアウトソーシングするメリットなどについて解説

ECを運営するうえでは、倉庫の取り扱いが重要です。それでは、EC物流倉庫とは具体的に何を指すのでしょうか。

この記事では、EC物流倉庫の概要や注意点、アウトソーシングするメリットなどについて解説します。EC事業成長、売上拡大を目指している方は、ぜひ参考にしてください。

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EC物流倉庫とは

EC物流倉庫とは、出荷や配送などの物流業務を担う倉庫のことです。EC事業における物流プロセスのうち、商品の保管から流通加工、出庫までを担っています。近年、EC関連の物流量の増加に伴い、EC物流倉庫や宅配便の取扱個数が増加傾向にあります。

EC物流倉庫の変遷

国内の2023年のBtoC-EC市場規模は24.8兆円となり、対前年比2.1兆円の増加となり、業界は上昇傾向にあります。

内訳を見ていくとサービス系は7兆5,169 億円で、増減率は22.27%となり、コロナ禍による外出自粛の影響により大幅に落ち込んでいた旅行、飲食サービス、チケット販売が昨年に引き続き大きく増加しました。しかし、物販系は14兆6,760億円で、増減率は4.83%、デジタル系は2兆6,506億円で増減率は2.05%となっており、サービス系とは反対に、伸び率は漸増傾向で、コロナ禍以降、業界によっては成長維持と後退の2極化が進んでいるのが実情です。
出所)経産省 令和5年度 デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)

加えて、ドライバーの労働時間に上限が課される「2024年問題」の影響によって、今までよりも物流倉庫の集荷時間が早まるなどの動きが昨今みられます。

EC物流とは

EC物流とは、ECサイト運営における商品の入荷・保管・出荷・配送などの物流業務全般を指す言葉です。商品の保管だけではなく、情報管理なども業務の範疇となります。業界の動きをみると、業界大手は独自のEC物流を構築し、より効率的な顧客対応・出荷販売を展開しているのが現状です。

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EC物流倉庫の種類

一口にEC物流倉庫といっても、センター内で行う業務内容によっていくつか種類に分けられます。ここでは、EC物流倉庫の種類について解説します。

FC

FCとはフルフィルメントセンターの略で、EC事業における、入庫から保管、受注後の梱包出荷、配送から代金回収までの物流業務全般を担うセンターです。フルフィルメント by Amazon(FBA)や、楽天スーパーロジスティクス(RSL)、ヤマト運輸フルフィルメントサービスなどが該当します。一括して管理などを任せたい場合に向いています。

DC

DCとは、ディストリビューションセンターの略で、商品を倉庫内にストックして顧客からの注文があったタイミングで商品のピッキング、梱包、出荷指示に基づいて各届先に向けた配送を行う機能を持ちます。小売業・卸売業・製造業で多く利用され、ラベル貼りや詰め合わせ、ギフト包装などの流通加工作業も行います。

PDC

PDCとは、プロセスディストリビューションセンターの略で、流通加工と倉庫の機能を併せ持ちます。DCでのラベル貼りや詰め合わせなどの簡易的な流通加工のみならず、肉や魚のカット、パック詰めといった生鮮食品加工や機械の組み立てなど、より高度な流通加工を行います。

物流センター内で保管・入出荷ができることで、高い品質を維持しつつ迅速に商品を出荷することができます。

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EC物流倉庫の特徴

ここでは、EC物流倉庫の特徴について解説します。

多品種小ロットの在庫管理が必要

BtoCのEC物流は1注文あたりの出荷数量が少なく、出荷件数が多いという特性があります。顧客の様々なニーズに対応するために、ロングテール品等少量ずつでも多品種の在庫を抱える必要があり、在庫管理の業務が煩雑になりがちです。

顧客のニーズに合わせて迅速かつ丁寧に荷物を届けるのがEC物流倉庫の役割とされているため、在庫管理を適切に行うことで、在庫切れによる販売機会の損失や、過剰在庫による廃棄ロス、管理コストの増加を防止することができます。

スピーディーな業務が求められる

ECサイト利用者の多くは、注文した商品を少しでも早く受け取りたいと考えています。大手ECモールでは、優良配送の表記などがあり、配送速度が重要視されています。このような配送速度に関するサービスは、楽天の「あす楽」という、正午までに注文すると翌日に商品が届くサービスや、yahoo!ショッピングの「優良配送」、「Amazonプライム」の配送特典などが挙げられます。各ECモールが指定するサービスレベルを満たすために、EC物流倉庫にはスピーディーな業務が求められます。

品質の高さが求められる

EC物流倉庫には、顧客満足度向上のための細やかな配慮が求められるため、業務に対する品質の高さも重要視されます。通常業務のクオリティの高さはもちろんのこと、細やかな対応もユーザーが必要としています。

EC事業では、商品を発送する際に新商品を紹介するチラシやキャンペーンの案内、試供品やカタログなどの封入や、購入金額や会員ランクに応じてノベルティなどの同梱物を変えるケースがあります。

例えば、完全栄養食の主食を自社ECでサブスクリプションを中心に販売する「BASE FOOD(ベースフード)」は開発者の声、ユーザーインタビュー、自社商品を用いたレシピなどを掲載した「BASE FOOD JOURNAL」を送付しています。ブランドブックを同梱することで、ユーザーをファンへと醸成させることにつながります。

このように商品を保管、発送する機能だけではなく、商品の付加価値を高める機能が求められる点も、EC物流倉庫の特徴の1つです。

EC物流倉庫における業務の流れ

ここでは、EC物流倉庫における業務について、流れを追って解説します。

入荷・検品・保管

EC物流倉庫で最初に行われるのは、入荷・検品・保管です。物流業界で「入荷」は、届いた荷物を倉庫で受け取り、倉庫内の保管場所に格納するまでの作業です。届いた荷物を格納する前に、検品を実施し、商品に問題がないかをチェックします。検品後、入荷した商品を決められたロケーションに保管します。

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ピッキング・仕分け

商品の注文が入ったら、ピッキングと仕分けを行います。ピッキングとは、出荷する商品を出荷指示のリストに基づいて、倉庫から商品を探し出して取り出す作業です。また、仕分けとは、商品をルールに従って分類する作業を指します。仕分け作業で間違いが起こるとスムーズな出荷ができなくなるため、精度の高い作業が求められます。

関連記事 物流倉庫における、ピッキングの基礎知識と効率化の方法

梱包・発送

ピッキング・仕分け後は、梱包作業と発送作業を行います。梱包作業では、商品の中身や大きさなどを考慮した段ボールや緩衝材を用いて、商品を詰めます。EC物流倉庫によってはラベル貼りなどの流通加工機能を備えているため、必要に応じて活用しましょう。梱包ができたら、商品を外部の配送業者や自社で抱えている配送スタッフに引き渡し、顧客へ発送します。

EC物流倉庫はアウトソーシングもおすすめ

自社でEC物流を管理する場合、事業が拡大すると負担が大きくなりがちです。自前での物流対応には限界があるため、適切なタイミングを見計らってEC物流倉庫へのアウトソーシングを検討するとよいでしょう。専門業者は、豊富なノウハウと効率的なシステムを持っているため、入庫から配送まで一貫して安心して任せられます。

EC物流倉庫をアウトソーシングするメリット

ここでは、EC物流をアウトソーシングするメリットを解説します。

発送作業までの品質が担保される

多品種小ロット発送が大半を占めるECは煩雑な作業が多く、ミスが起きやすい作業を経験豊富なプロに任せることで、業務が効率化します。

また、恒常的な需要に対する効率的な作業はもちろんのこと、セールや販促イベントなどによる一時的な需要増にも適切に対応できることで、恒常的な需要と同等の品質を維持しながら、ユーザーのニーズに応えることができます。また、需要が増大する繁忙期の人材の確保もアウトソーシング先に任せることも可能なため、苦慮すること人材を確保ができ、安心して繁忙期の営業を行うことができるでしょう。

コア業務に専念できる

EC倉庫業務に割く時間が削減でき、自社のコア業務に力を入れられるようになる点も、EC物流倉庫をアウトソーシングするメリットの1つです。注文数が増え、出荷の数が増えていけば、在庫管理に割くリソースも増加します。アウトソーシングをすれば、自社で物流倉庫の保有や運用をする必要がなくなり、物流業務に割いていた時間を顧客のニーズに合った新商品の企画や、データに基づいた商品掲載・販売期間の決定、取扱商品の確保と在庫管理などのコア業務にリソースを充てることができます。それによって商品やサービスの品質が向上し、既存顧客との関係醸成や、新規顧客の獲得による売上アップにつながるでしょう。

EC物流倉庫をアウトソーシングするデメリット

ここでは、EC物流をアウトソーシングするデメリットについて解説します。

自社にノウハウが蓄積されにくい

アウトソーシングをすると、物流に関するノウハウが蓄積されにくくなる点がデメリットとして挙げられます。将来的に、すべての業務をアウトソーシングに任せる場合、日常的な運用には支障が出ないでしょう。しかし、将来的に自社で倉庫を運営する方針がある場合、アウトソーシングに頼り過ぎることで、必要なノウハウが不足する恐れがあります。

細やかな対応や柔軟な対応ができない場合がある

EC物流倉庫をアウトソーシングするデメリットは、これまで自社物流で対応できていたことが、アウトソーシングによって対応できなくなったり、コストが増大したりする場合があることです。例えば、自社で行っていた丁寧な対応をアウトソーシングで行いたい場合は、物流会社の定める出荷時間を厳守するために、対応内容を変更せざるを得ない場合があります。

物流アウトソーシングを行う際には、サービスの向上とコスト、配送スピードはトレードオフの関係にあることを念頭に、自社にとって何を優先度高く設定するのか、明確にすることをおすすめします。

EC物流倉庫サービス利用にかかるコスト

ここでは、EC物流倉庫サービス利用にかかるコストの種類について解説します。

固定コスト

EC物流倉庫サービス利用にかかるコストの1つは、固定コストです。固定コストとは、業務委託するうえで最低限必要なもので、基本料金や保管料などを指します。具体的な価格や内容は委託先倉庫によって変動します。

変動コスト

EC物流倉庫サービス利用にかかるコストの1つは、変動コストです。変動コストとは、入出荷の量や流通加工費など商品の動きや加工内容によって支払い額が変わるコストです。具体的には、入庫料や出荷料、検品・ピッキング料・梱包資材料・配送料などが含まれます。変動コストは業者によって異なりますが、相見積もりを取ることで適正価格を見極めやすくなります。

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ECにおける物流会社の選び方

ここでは、EC物流の倉庫に関するサービスを提供している物流会社(EC物流倉庫)の選び方について、詳しく解説します。

サービス内容と自社の事業がマッチしているか

物流会社を選ぶ際には、提供されるサービス内容を細かく確認しましょう。
物流アウトソーシングサービスを大きく2分すると、Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングなどのECモールのフルフィルメントサービスのパッケージ型のものや、料金体系、サービス内容をカスタマイズできるオーダーメイド型のものがあります。
物流会社の委託業務は料金やサービス内容によって大きく異なります。EC事業者は重要な選定基準として、自社で委託したい業務が網羅できるかのチェックが重要です。将来的に依頼が必要になりそうな業務も洗い出したうえで、検討を進めましょう。

また、委託したい業務を考える上で、以下の視点も考慮することが大切です。
・取扱商品に対応できるかどうか(医薬品や生鮮品、危険物など、特殊なものにも対応実績があるのか)
・出荷制限の有無(需要増大時も対応できるのか)
・オプション料金になるサービスはなにか(トラブル時などイレギュラー対応が発生したときに基本料金内で対応できるものなのかどうか)

倉庫の立地

物流会社を選ぶ際には、倉庫の立地も大切な観点です。立地によって、製造工場から物流倉庫への商品納品にかかる時間や、顧客へ発送する際のリードタイムが大きく変わってきます。顧客に荷物を届ける時間も考慮したうえで場所を選定するとよいでしょう。

また、災害時などのリスクを低減したい場合や、商品の届け先が全国にある場合などは、複数の地域に倉庫を持つことも有効です。長距離配送が少なくなり、配送スピードの向上などが利点となりますが、一方で在庫量や保管コストは増加するリスクも抱えています。ため、不必要な経費を支払わずに済みます。

まとめ

ECサイトを運営する際には、EC物流倉庫の活用を検討しましょう。自社の状況やニーズにあわせて物流倉庫を選定することで、よりクオリティの高いサービスを提供できます。

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