共同配送とは?仕組みやメリット・デメリット、注意点などを徹底解説

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共同配送とは?仕組みやメリット・デメリット、注意点などを徹底解説

労働人口の減少による人手不足や「2024年問題」など、物流業界には様々な壁が立ちふさがっています。そんな中、注目を集めている施策が複数の企業による「共同配送」です。

本記事では、共同配送の基本的な仕組みやメリット・デメリットなどを解説します。

共同配送とは

共同配送とは、複数の荷主が、それぞれの荷物を同じ車両に載せて運ぶことです。例えば、A社・B社・C社の3つの企業が、同じ小売店に製品を納品している場合、企業が各々商品を運ぶためには少なくとも3人のドライバーと3台の車両が必要です。一方、共同配送なら、3つの企業の製品をまとめて同じ車両に積み込むため、ドライバーも車両も数が少なく済みます。
同様に荷物を受ける側も3回の荷受けが1回で済み、他の車両の待機時間の削減にも繋がります。

上記のような競合他社同士のケースだけでなく、行き先が同じであれば、異なる業種の企業同士が協力することも可能です。

共同配送の仕組み

共同配送と似ている仕組みに、「路線便」があります。路線便とは、配送車両が決められた拠点と配送ルートを経由して、複数の荷主の荷物をそれぞれの配送先に運ぶという輸送方法です。共同配送も、複数の荷主の荷物を同じ車両で運ぶところまでは同じですが、配送先は基本的にすべて同じで、一緒に載せる荷物も荷主同士が決めることができます。

また、共同配送には「配送センター集約方式」と「ミルクラン方式」という2種類の配送方法があります。

配送センター集約方式

配送センター集約方式とは、複数の荷主が配送センターを共有し、それぞれの荷物を一度配送センターに集客させてから運ぶ方式です。荷物を配送センター内で仕分けし、配送先が同じもの同士でまとめてからトラックに載せて輸送します。これにより、輸送にかかる費用や時間を削減することが可能です。

ミルクラン方式

共同配送では、ミルクランという配送方式が取られることもあります。ミルクラン方式とは、配送トラックが各荷主の拠点を巡回し、荷物を回収しながら配送先に運ぶ方式です。「ミルクラン」という名称は、牛乳業者が酪農家のもとを回ってミルクを集めることに由来し「巡回集荷」と呼ばれることもあります。

なぜ共同配送が注目されているのか?物流業界の課題との関係性

共同配送が注目される背景には、物流業界の人手不足があります。日本では少子高齢化により労働人口の減少が進んでおり、物流業界でもドライバー不足が深刻な状況です。さらに、2024年からは時間外労働の上限規制の経過措置期間が終わり、ドライバー1人あたりの稼働時間にも影響が及ぶとされています。

これが、いわゆる「2024年問題」と呼ばれるものです。業界が対策をなにも打たなかった場合、2030年には輸送力が34%低下するという試算もあります。こうした物流業界が抱える課題に対応するため、共同配送に注目が集まっています。

共同配送のメリット

共同配送によってもたらされるメリットは、主に次の4つです。

配送の効率化

各企業が個別に荷物を配送する場合、トラックの積載率は必ずしも100%になるとは限りません。30%や50%などの空きスペースが生じることは珍しくなく、その分「ムダ」が生じてしまいます。複数の企業の荷物を同じトラックに積載すれば、車両のキャパシティを存分に活用できます。これにより、従来の方法と比べて高い配送効率・業務効率を実現することができます。

コスト削減

ほかの企業と共同で配送することにより、ドライバーの人件費や輸送費などのコストを削減できます。仮に、3社の荷物を1台のトラックで運ぶことができれば、単純計算でコストを3分の1に抑えることが可能です。特に、近年は人件費や燃料費など物流にかかるコストが上昇しているため、企業にとっては大きなメリットといえるでしょう。

二酸化炭素排出量の削減

共同配送が普及すれば、CO2(二酸化炭素)排出量を削減することができます。配送に必要なトラックの台数が減ることで、車両から排出される排気ガスの量を削減できるためです。このように、共同配送は物流業界が抱える課題だけでなく、環境負荷の軽減という社会課題にも効果を期待できます。企業としての社会的責任を果たすうえでも、共同配送は有効な手段となりえるでしょう。

ドライバー不足の解消

共同配送の導入は、ドライバー不足の解消にもつながります。ほかの企業と共同で荷物を運べば、配送に必要な車両の数が減り、必要なドライバーの数も減らせるためです。労働人口の減少や「2024年問題」、EC需要の拡大などにより、働き手の確保に苦戦する物流業界において、共同配送は人手不足の解消に有効な一手となるでしょう。

共同配送のデメリット

共同配送は荷主にとって様々なメリットがある一方、次のようなデメリットもあるため、失敗しないための注意が必要です。

荷物管理や追跡が難しくなる

ほかの企業と共同で荷物を運ぶため、個別の荷物管理や追跡はどうしても難しくなってしまいます。これまでの管理システムをそのまま使えるとは限らず、場合によっては他社と共同のシステムを新しく開発する必要性もでてくるでしょう。また、共同配送する荷物によっては大きさ、重量、荷姿、商品特性や温度管理などにも気を配らなければなりません。

料金設定が複雑になる

通常、商品の配送を物流業者に依頼する際の料金設定は、各社の輸送量や輸送距離などに合わせて個別に設定されます。一方、共同配送では、各社間で合意をとり、配送料金を統一しなければなりません。ほかの企業との調整が必要となるため、自社で個別に契約する場合と比べると料金設定のプロセスが複雑化してしまいます。

臨機応変に対応しづらい

自社だけで配送する場合と比べて、臨機応変な対応が取りづらいというデメリットもあります。例えば、突発的なトラブルでスケジュールを変更したいとなっても、他社の荷物も積載している関係上、柔軟な対応は難しくなります。そのほか、荷物の量や配送ルートなども、自社の都合に合わせて変更することは困難です。

共同配送に向いている商材

共同配送は、次のような商材に適しています。

日用雑貨 日用雑貨は小売店への定期的な配送が必要になるため、共同配送に適しています。  
食料品 食料品も日用雑貨と同様、定期的な納品が発生するため共同配送に向いています。冷凍食品など配送コストが高い冷蔵・冷凍トラックで運ぶ場合は、コスト削減の効果が大きいといえるでしょう。  
医薬品 製品の規格がある程度統一されており、軽量なため共同配送に適しています。共同配送により運行回数を減らすことで、配送時の保険料を削減できる可能性もあるでしょう。  
大型家具・家電 大型家具・家電の配送には、納品時に組み立てや設置などの作業も発生するため、ドライバー2人での配送が基本。そのため、共同配送による人件費の削減効果は大きいといえます。  
機械工業部品 メーカーから製造工場へ運ばれる機械工業部品は、1つの車両に集約して運ぶことで着荷時の荷受けや検品の手間を軽減できます。  
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共同配送の国内事例

近年は日本国内でも、様々な企業が共同配送に取り組んでいます。ここでは、共同配送の代表的な国内事例を紹介します。

イオンモールの事例

イオンモールでは、モール内に出店する専門店企業を対象として共同配送サービスを提供しています。自社以外の商業施設への集荷・配送を行っている点も特徴です。もともとは地域を限定したものでしたが、2024年問題や燃料費の高騰などに対応するため、2024年以降は提供エリアを拡大し、7エリア24都道府県でサービスを提供しています。

出展 「イオンモールの共同配送サービス」エリア拡大について|イオンモール

味の素など5社による事例

味の素を中心に、日清オイリオやカゴメなど食品メーカー5社による共同プロジェクトが、持続可能な物流サービスの提供を目指す「FーLINE®プロジェクト」です。それぞれの企業における物流事業を統合して1つの会社とし、納品先ごとに同一カテゴリーの商品を積み合わせる共同配送を実施しています。

出展 F ーLINEがめざすもの 
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異業種同士の事例

物流2024年問題の解決を目的とするNEXT Logistics Japan(NLJ)は、江崎グリコ、キユーソー流通システムと連携し、菓子と異業種の荷物を同時輸送することを2024年9月に発表しました。ダブル連結トラックを活用することでCO2排出量の削減をはじめ、ドライバーの労働環境改善、人手不足対策が期待されます。

出展 江崎グリコの菓子と異業種の荷物を同時輸送 キユーソー流通システム、NEXT Logistics Japan ダブル連結トラックの共同運行開始

共同配送を導入する際の注意点

共同配送を円滑に運用していくためには、協力する企業同士による綿密な話し合いが不可欠です。例えば、共同配送では荷物の破損や紛失などが発生した際、責任の所在が曖昧になりやすい傾向があります。また、一部の企業の都合でルートを変更しなければならなくなった場合、かえって物流コストが上がってしまう可能性もあるでしょう。

企業間の信頼関係を損なわないよう、共同配送におけるトラブルについては、あらかじめ対処法をあらかじめ決めておくことが大切です。

まとめ

共同配送とは、複数の企業が協力し、それぞれの荷物を1つのトラックで運ぶ仕組みのことです。企業の垣根を超える共同配送は、物流業界における課題の解消につながります。従来から続く人手不足や2024年問題への対応策として、共同配送の導入を検討してみましょう。

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