貸し倉庫契約マニュアル|倉庫探しのポイントと契約までの流れを解説

CREコラム

貸し倉庫契約マニュアル|倉庫探しのポイントと契約までの流れを解説

本記事では、倉庫探しから契約締結までの一連のプロセスを解説します。実務担当者の方に向けて、貸し倉庫を契約する上での重要なポイントと注意点を体系的にまとめています。

貸し倉庫契約にまつわる基本事項

倉庫を借りるにあたって、基本的な契約形態について押さえておきましょう。
契約形態には、「普通借家契約」と「定期借家契約」があります。
普通借家契約は、契約更新に関して正当な事由がない限り更新されますが、定期借家契約の場合は契約期間の満了により契約は終了し、利用を継続する場合には再度交渉を行う必要があります。その他にも、解約に関する制約などが契約形態によって異なるため、契約内容をよく理解したうえで倉庫探しを行うことが重要です。

事前準備:自社分析

倉庫を探し始める前に、自社の現状を把握することが重要です。現在の課題を明確にし、それを解決するための条件を整理することで、効率的な物件探しが可能となります。
現在の物流拠点における課題を特定するにあたって、例えば以下のような観点から具体的に洗い出していきます。

・作業環境
・人手不足
・空間の有効活用
・セキュリティ
・拠点配置の効率性
・運用上の不満 など

様々な観点から現拠点の課題点を明確にし、新拠点に求める条件を具体化させていきましょう。

倉庫に求める条件を定める

現状分析から出た課題を解決するために、新拠点に必要な条件を定めていきましょう。倉庫に求める条件をあらかじめ洗い出しておくことで、入居後のミスマッチを回避しやすくなります。以下では、条件を定めるにあたって考えるポイントについて述べます。

①立地

立地は輸送コスト・賃料・災害リスク等に大きく影響するポイントです。希望する立地によって、賃料相場は大きく異なる可能性があります。予算によっては、希望する立地とその他の条件がトレードオフの関係にある場合があるため、以降で述べるポイントを踏まえて倉庫に求める条件の優先順位を定めておくことが重要です。

②入居時期

倉庫の入居時期を決めるうえで、重要なポイントは新拠点の開設と移転の場合で異なります。

〇新拠点開設で考慮すべきポイント
・荷物が入ってくるタイミング
・入居前に実施する造作工事にかかる期間

〇移転で考慮すべきポイント
・現拠点の原状回復工事にかかる期間や費用
・移転先との二重家賃
・荷主の繁忙期

それぞれの場合に応じて、考慮すべきポイントを総合的に判断し入居時期を定めていきましょう。

③面積

賃料は「平面」=平米(㎡)に対する計算となりますが、実際に保管する際に使用できるのは空間=立米(㎥)となります。上記を理解した上で、自社にとって必要な保管能力を把握する必要があります。倉庫の拡張性を求めてゆとりを持った面積を確保するのか、ジャストサイズで借りるのか定めたうえで、必要面積を把握しましょう。また、繫閑期のどちらの収容能力を求めるかによっても必要面積は異なります。まずは現状の在庫量や今後の見込みを正確に把握したうえで、最適な広さを設定することが重要です。

④倉庫タイプ

予算や荷物に合った倉庫タイプを選択しましょう。以下では、倉庫タイプごとの特長を解説します。
倉庫タイプは、おおまかにランプウェイ型とBOX型に分かれます。

ランプウェイ型はトラックの接車台数が多く確保できることや、平屋使いができるなどの利点がある反面、建築費用が賃料に上乗せされているためBOX型と比較して高くなりやすい点があります。 BOX型は階数ごとにセキュリティや温度管理を分けることができる反面、縦搬送に起因した制約により回転率の高い荷物には不向きなほか、自動化が難しいなどの欠点があります。

実際の業務フローに合わせてどの倉庫タイプが適切か見極めることで、後から設備を追加する手間やコストをかけずに済むでしょう。以上を踏まえじっくり検討することが倉庫選びの成功のポイントといえます。

⑤倉庫の仕様

物流倉庫を探す前に、倉庫の仕様条件を明確にする必要があります。天井高や床荷重、高床・低床のほか、柱のスパンなどの基本仕様に加え、事務所や付帯設備に求める条件も洗い出しておくとよいでしょう。 法的な面からも求める倉庫の仕様条件が固められます。特に、顧客の荷物を預かる営業倉庫の場合、国土交通省への登録が必要です。行政の確認資料には建物スペックの詳細な規定が記載されているため、候補物件がこれらの条件を満たしているか事前に確認することが重要です。倉庫の用途が決まったら、地方運輸局または運輸支局に相談し、必要な申請手続きを進めましょう。その他にも、特殊な事業による免許が必要な場合は、各種免許権者への登録が必要になるため、それにかかる申請期間等も考慮しましょう。

倉庫探しから入居までの流れ

倉庫に求める条件が定まったら、倉庫探しに進みます。
具体的な契約手続きの段取りを把握することは、トラブルを未然に防ぐためにも重要です。
入居までの標準的な流れは以下の通りです。

1. 探索条件確定
2. 物件探索
3. 物件内覧
4. 書面提出(条件交渉)
5. 条件調整(リーガルチェック)
6. 条件合意
7. 契約締結
8. 入居

貸し倉庫契約にかかる費用

貸し倉庫の契約にかかる費用を事前に想定しておくことで、資金計画を立てやすくなります。以下では、契約時、入居中、退去時に必要な費用を解説します。

契約時に必要な費用

貸し倉庫契約時には、敷金や礼金などが大きな出費となります。敷金は退去時の原状回復費用に充当されるケースが多いですが、残金が返還されるかどうかは契約内容によります。
その他に不動産仲介業者を通した場合にかかる仲介手数料や保険費用、造作費用などがかかります。
初期費用それ自体がまとまった金額になる場合が多いので、資金繰りの計画をしっかり立てることが重要です。

入居中に必要な費用

契約後に継続的に発生する費用として、月額賃料や管理費、使用量に応じて水光熱費がかかってきます。
また契約期間中に修繕が必要になるケースを考慮し、契約前に負担区分を明確にしておきましょう。また、更新を予定している場合は、更新料がどのタイミングで発生し、いくらかかるのかを事前に計算に入れておくと資金計画が明確になり安心です。特に長期の賃貸を予定している場合、更新料の総額が大きな負担になる可能性があることに注意しましょう。

退去時に必要な費用

退去する際は原状回復費用が必要です。費用に関するトラブルを防止するためにも、契約時にしっかり確認しておくほかに、入居前の状態を記録しておくと良いでしょう。
解約の際には、予告期間の賃料や短期解約違約金が発生する可能性があります。特に定期借家契約で中途解約する際は違約金の設定がある場合があるため、契約時に必ずチェックしておきましょう。

貸し倉庫契約についてのまとめ

貸し倉庫契約で押さえるべきポイントや確認事項を総括し、スムーズな契約を実現するための要点を解説しました。
倉庫探しから入居までを効率良く進めるなら物流不動産のプロに相談することをおすすめします。物件探しだけでなく、細かい契約内容など物流不動産に関する豊富な経験から様々なアドバイスを受けることで最適な倉庫を選ぶことができます。

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