(レポート)コンテナラウンドユースオペレーションと次世代物流への挑戦
コンテナラウンドユースのオペレーションイメージ
ケービーエスクボタ株式会社
開発営業部部長
武山 義知 (たけやま よしとも)氏
従来の海上コンテナの陸路輸送には、「往路か復路のどちらか一方が空輸送になってしまう」という問題点がありました。そこで、ケービーエスクボタは、空輸送のむだを省くために、2012年頃、私たちの筑波工場のそばにある家電メーカーと協力して、オン・シャーシ方式によるラウンドユースを始めました。これは、輸入者である家電メーカーの工場・倉庫に荷物を下ろした後、空になったコンテナに輸出者であるクボタの荷物を積んで港へ運ぶという方式です。
この方式の問題点は、輸入者のコンテナをそのまま使うことになるので、「船会社やコンテナサイズが輸入者と輸出者とで共通でなければならない」という点と、「作業日程の調整が困難である」という点です。このような問題があるため、全体の3割ぐらいしかラウンドユースを成立させることができない状態でした。
ICDを活用したラウンドユース
この問題点を解決するために考え出したのが、ICD(内陸コンテナデポ)を活用したラウンドユースです。私たちは、コンテナのストックポイントであるICDを作り、ICDでコンテナを載せ替えられるようにしました。このことにより、コンテナサイズの相違の問題は解消し、また、作業日程の調整も行いやすくなりました。そして、3割だったラウンドユースのマッチング率が8割までに上がりました。
コンテナラウンドユースの活動目的と推進内容
このようなコンテナラウンドユース活動の目的と推進内容としては、事業活動面とCSR活動面の2つの側面があります。
企業の事業活動として
1つ目は、輸送コストの削減と輸送単価の低減です。空コンテナの輸送をなくし、トラックの総走行距離・時間を減らすことで、輸送コスト及び輸送単価の低減を進めることができます。
2つ目は、ドライバー・車両の確保です。ICDを介したコンテナラウンドユースを行えばドライバーの帰り荷を保証できるので、ドライバーが自ら帰り荷を探す必要がなくなります。昨今、ドライバーや車両の不足が問題になっていますが、空荷走行をなくすことで、その問題解決にも寄与することができると考えます。
3つ目は、荷役作業の定時率向上です。輸入者と輸出者の間にICDが入ることによって、荷役作業の時間調整ができるようになりました。
CSR活動として
コンテナラウンドユースは、事業面だけでなく、CSR面でも貢献できていると考えます。先ほど申し上げたように、空荷輸送をなくすことでトラックの総走行距離が減りますので、それはCO2削減にもつながります。昨年度は、コンテナラウンドユースを行うことで、1,500トン強のCO2削減を実現しています。
また、空荷輸送を削減すればトラックの走行台数も減らすことができますので、港湾周辺道路の混雑緩和にも寄与できると考えます。
コンテナラウンドユースを推進するためのケービーエスクボタの戦略
コンテナラウンドユース活動はまだ緒に就いたばかりで、今後さらにラウンドユース数を増やしていきたいと考えています。ラウンドユース数を増やしていくにあたってケービーエスクボタの戦略は主に4点あります。
1点目は、船社ブッキングの変更です。1つでも多くのラウンドユースを成立させるために、目の前にあるコンテナ(車両)を使うというコンセプトに基づき、利用船社変更作業まで私たちが行っています。
2点目は、新規船会社の起用です。既存利用船会社だけでなくて、新規船会社の開拓を積極的に行って、ラウンドユース数を増やす努力をしています。
3点目は、リペア作業対応です。1つでも多くのコンテナを使い切るということを目的に、ダメージコンテナのリペア作業も私たちが行っています。
4点目は、閑散期・繁忙期の対応です。ICDで実入コンテナを事前に準備し、輸出・輸入のバランスをとり、閑散期及び繁忙期の輸送負荷を軽減する努力をしています。
次世代物流への挑戦(夜間シャトル便輸送・日中ピストン輸送)
私たちは現在、ICD活用型ラウンドユースを推進している一方で、新たな輸送にも取り組んでいます。それは「夜間シャトル便輸送」と「日中ピストン輸送」です。
夜間シャトル便輸送というのは、ICDと港湾間を夜間に複数往復する輸送です。具体的には、つくば市にあるICDと東京港間を夜間に3往復するシャトル輸送(幹線輸送)を行っています。この輸送の利点の主なものは、1車両当たり2~3回転行うことによる車両効率の向上、また、昼夜作業を分けることによる車両稼働率の向上です。
日中ピストン輸送というのは、ICDと荷主間のピストン輸送です。この輸送は、走行距離が短いという利点があります。運転手の負担が軽くなるため、女性や高齢者ドライバーの参入がしやすくなり、ドライバー不足の解消につながると考えています。
最後に
ケービーエスクボタは、今後もコンテナラウンドユース事業を推し進め、安定した輸送力の確保や、上昇傾向にある輸送コストの抑制、潜在的労働力(高齢者・女性等)の参入促進を行っていきたいと考えています。
また、ラウンドユース事業は1社でできる事業ではありませんので、輸入会社さん、輸出会社さん、輸送会社さん等と協力して、皆で物流に関する問題を共有し、課題を解決していきたいと考えています。
講師紹介
ケービーエスクボタ株式会社
https://www.kbs-kubota.jp/
開発営業部部長
武山 義知 (たけやま よしとも)氏
米国カリフォルニア州ロサンゼルスの大学を卒業後、クボタ米国販社製品の Record of Importer として業務に従事、川上から通関、川下までの一貫した物流業務に長年携わり、2015年7月に帰国、クボタの物流会社ケービーエスクボタ海外グループ配属。コンテナラウンドユースはじめ、広く発地サイド日本メインでの国際物流関連にも従事。2017年10月より開発営業部長 兼 海外グループ長。
募集要項
イベント名 | 第5回CREフォーラム in 大阪|『 コンテナラウンドユースオペレーションと次世代物流への挑戦 』 |
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日時 | 2018年 8月24日(金) 15:00開場 15:30開始 17:15終了 |
会場 |
イオンコンパス大阪駅前会議室 大阪市北区梅田1-2-2 大阪駅前第2ビル15階 |
参加対象者 | 荷主・物流企業 様 |
参加費/定員 | 無料/60名限定 (定員数を超えた場合、申し込み期限前でも終了する場合があります) |
本件に関するお問合せ
- お問合せ先:
- 株式会社シーアールイー マーケティング室
- 担当:
- 山賀幸恵 (ヤマガ)
- メール:
- leasing_mail@cre-jpn.com
- 電話:
- 03-5572-6604