(レポート)安全・確実!土地取引と土壌汚染対応 ~ 新たな価値の創出について徹底生解説。~土地再生投資
土地再生投資について
(株)土地再生投資は、土壌汚染対応のスペシャリストである(株)エンバイオ・ホールディングスおよび、物流不動産の総合デベロッパー(株)シーアールイーの共同出資会社で、土壌汚染対応のパートナー・ リスクテイカーです。
土地取引における土壌汚染対応は、解体工事や新築工事、建物賃貸借、信託受益権の設定、不動産売買など、その場面場面において最適解が求められます。私たちは、物流施設開発の中で土壌汚染対応を実施するだけでなく、土壌汚染対策法を下支えとして、対応に必要とされる費用と期間を安全に圧縮しています。
土壌汚染対応に悩む土地所有者様の胸のうちは複雑です。私たちは、土地取引にかかわる皆様が課題から解放され、最大価値の獲得にトライできる状況をつくることを使命としています。具体的には「コンサルティング」と「現状有姿で土地を取得」という2つのサービスを提供しています。
土壌汚染対応の契機
最初に、土壌汚染への対応は、どういったことが契機になっているのかを説明します。
土壌汚染対策法では、3つのケースにおいて「土壌汚染の調査」または「行政機関への届け出」を行うよう定めています。この中で、おもに「土地の売買」が背景となっているのは第3条と第4条の2つです。
・第3条 有害物質使用特定施設の使用を廃止したとき
都道府県知事から土壌汚染の調査・報告を行うよう命令が出されますが、「土壌汚染による健康被害の恐れがない」ことの確認を都道府県知事から受けた場合は、調査の猶予を受けることができます。環境省によると約8割の施設が調査の猶予を受けており、実際には土地の売買が発生するまで調査の猶予を受けるケースが多いといえます。
・第4条 一定規模(3,000m²)以上の土地の形質の変更を行うとき
形質変更の届け出を都道府県知事に提出する必要があります。また有害物質使用特定施設の場合は、900m²以上で届け出を行う必要があります。
また「公害」が背景になっているものには第5条があります。
・第5条 土壌汚染により健康被害が生じるおそれがあると 都道府県知事が認めたとき
公害としての土壌汚染が発生したケースです。第3条と同様に、都道府県知事から土壌汚染の調査・報告を行うよう命令が出されます。発出されたのは平成15年2月15日に法が施行されて以来6件のみで、公害としての土壌汚染が発生するケースは極めて稀といえます。
以上をまとめると、「土壌汚染への対応は、公害が背景になっているような一部の特殊事例を除いて、ほとんどが土地取引を契機に行われている」といえます。
法律と商慣習のギャップ
法律は、土壌汚染の対象を「汚染のおそれのある物質」「汚染のおそれのある範囲」としていますが、商慣習では「すべての特定有害物質」「敷地の全域」を対象にしています。
たとえば、1万坪の土地に、3,000坪の工場と7,000坪の駐車場や従業員のためのテニスコートを建てたとします。この場合、法律の対象は「この工場で使っている物質を特定したうえで、工場がある3,000坪の部分」ですが、商慣習では「26種類ある特定有害物質のすべてを、1万坪全域」が対象となります。対策も掘削による完全除去を行い、さらにリスク保証も行うため、多額の費用と期間がかかってしまっています。
このような商慣習に依拠した結果、過剰でコスト高な土壌汚染対応を行っており、塩漬け土地を生んでしまっているのが現状です。
商慣習が生まれたワケ
この過剰なまでの商慣習は、なぜ生まれたのでしょうか。工場跡地から大きなマルチ型物流施設をつくった時に私が体験したことを例に考えてみると、理由は3つあると思います。
1つめは関係者調整です。工場を解体して新しい物流施設をつくる際に「土壌汚染」という言葉が出ると、現場は混乱し、役割と責任のたらい回しが始まります。打開策は「この土地はシロです。浄化されました」を唯一の共通言語にすることしかありません。
2つめは他の法令との関連性です。土壌汚染対策法は、建築基準法や都市計画法と関連性がありません。たとえば土壌汚染対策法における地中連続壁は封じ込めで要する構造体で、新築における深層混合攪拌杭と同種同等の工法です。施工時、土壌汚染対策法では拡散のおそれは問われませんが、新築における深層混合攪拌杭では問われます。壁としては問われず、杭としては問われることになります。施工計画書で使用する言葉で拡散のおそれを判断されることになるわけです。こうした問題に直面するのは新築時のゼネコンで、困惑の結果、「浄化済みの土地で、新築した方がラク」といった事態が起きてしまいます。杭工法の変更が要され、数億円余計にかかることになります。
3つめはイメージです。「汚染」の定義や意味が説明されないまま、悪いイメージがひとり歩きしてしまいます。「浄化済み」とすることでやっとイメージの悪化を防ぐことができます。
このように、土壌汚染には「浄化済」「シロ」「リスク保証」が唯一の処方箋となり、これを実現するために過剰なまでの対応が生まれたのです。
価値創出事例の生解説
以上のように、土壌汚染に関する商慣習が根強く残る中で、私たちが新たな価値を創出した事例をご紹介します。
投資事例
商慣習に依拠すれば2億6,000万円かかるところを、安全性を客観的に評価してもらったうえで1億円に抑え、1億6,000万円の経済的価値を生みだしました。
過去に産業用地として使用していた土地で簡易調査を行ったところ、重金属類による土壌汚染が敷地の2/3で出てしまい、売主は、浄化費用2億6,000万円を土地代金より控除するよう買主から条件を出されました。
そこで、売主から相談を受けた私たちが、必要な対応と不要な対応を予見して、現状有姿で土地を取得。再生に着手し、一部土壌汚染は内在させたまま安全であると評価を受け、信託受益権化に成功。減価なく売却し、新たな土地利用がスタートしました。
コンサルティング事例
産業利用されていた土地に分譲マンションを建てた事例です。地歴調査で不明確な土壌汚染の可能性が出た状態で入札にかけられ、売主側浄化会社からの開示情報で5,000万円のリスク保証がありました。私たちは買い主より相談を受け、コンサルティングを開始しました。
まず当該土地が法令の適用を受けるのかを行政にヒアリングし、「法令の適用がない」ことを確認したうえで汚染状況を予見。土壌汚染が重度の場合、軽度の場合の両方でシナリオを策定し、お客様と共有。その後調査を行い、土壌汚染が軽度だったことを確認。解体工事のインハウスで汚染を除去することを提案して具現化。費用を800万円に抑え、4,200万円の経済的価値を生みだしました。
価値創出の可能性
土壌汚染対応は、「健康保護」や「安全な土地利用」「説明責任の全う」など、どんな目的を持って始めるかがとても重要で、目的によって取るべき対応や選択肢が異なります。
土地売買は、査定→入札→条件交渉→契約・決済と進んでいきますが、段階が進めば進むほど、土壌汚染対応で取れる手段は少なくなっていき、費用もかかります。逆に、土壌汚染対応に早い段階から着手するほど選択肢は増え、価値創出の可能性が高まるといえるでしょう。
講師紹介
株式会社土地再生投資
代表取締役 油井 泰作 氏
東京理科大学大学院経営学研究科 技術経営専攻(MOT)
前 株式会社シーアールイー 物流投資セグメント プロジェクトマネージャー
講師紹介
株式会社土地再生投資
プロジェクト・マネージャー 古賀 基宏 氏
京都大学大学院経済学研究科 金融工学専攻
前 株式会社みずほコーポレート銀行(現 株式会社みずほ銀行) リスク管理業務部
募集要項
日時 | 2021年5月27日(木) 16:00~17:00 |
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会場 | オンライン受講 (参加費無料) |
参加対象者 | 荷主・物流企業様・土地の売買をお考えの方・土壌汚染対応に関心のある方 |
参加費/定員 | 100名 |
本件に関するお問合せ
- お問合せ先:
- 株式会社シーアールイー マーケティングチーム
- 担当:
- 立原(タチハラ) 佐藤(サトウ)
- メール:
- leasing_mail@cre-jpn.com
- 電話:
- 03-5570-8048