(レポート)物流DX ~食品小売店舗データを活用した新時代の物流改革~
事業概要
私たちsinopsは、「在庫に関わる"人"、"もの"、"金"、"時間"、"情報"を最適化するITソリューションを提供し、限りある資源を有効活用することで、広く社会に貢献する」という理念のもと、「世界中の無駄を10%削減する」ことをビジョンに活動しています。
社名の由来でもある小売業向けの需要予測型自動発注システム「sinops」を展開しており、近年はクラウド型流通業向けAIサービス「sinops-CLOUD」に注力しています。
sinops:Strategic inventory optimization solution(戦略的在庫最適化ソリューション)
「sinops-CLOUD」は、リアルタイム在庫機能を中心とした需要予測・自動発注・店舗業務支援などを行うサービスで、必要な機能だけを1店舗・1カテゴリから利用できます。
ブルウィップ効果による過剰在庫
物流関係の皆さんは「ブルウィップ効果」をよくご存じだと思います。少しおさらいしてみましょう。サプライチェーンマネジメントにおいては、サプライヤーがおり、中間流通業者がおり、小売業者が最終消費者にものを届けます。
この川のような流れにおいて、たとえば消費者から「8個欲しい」という需要が出た時に、小売業者は欠品が出ないよう少し多めに20個発注し、中間流通業者はその事情を知らないため欠品が出ないよう100個発注し、同様にサプライヤーは200個生産するということが起こり、結果、需要よりも多く商品を生産し、過剰在庫が生まれてしまいます。これが「ブルウィップ効果」です。
これは、見込みや思い込み、勘や経験で消費者の動向を予測しているために起こります。私たちは、この流れを、小売の段階で需要予測を共有することで解決しています。
具体的には、小売業者が持つPOSデータに不確定な変動要素を組み込んでパラメータ化し、川上につなげていきます。こうすることで、小売業者の段階では10個発注し、中間流通業者は60個発注し、サプライヤーは100個生産するなど、過剰在庫を減らして必要十分な最適値を確保することが可能になります。
物流DX by sinopsとは
sinopsによる物流DXは、WMSデータに「店頭リアルタイム売上&在庫」「特売計画」「天候情報」「店舗棚割り」「積載効率」の情報を組み込んでクラウドで一元管理し、「消費者の需要予測を基にしたSCM最適化を図る」というものです。
WMS:Warehouse Management System(倉庫管理システム)
SCM:Supply Chain Management(供給連鎖管理)
1. 店頭リアルタイム売り上げ&在庫
始めに、店頭におけるリアルタイムの売り上げと在庫のデータを加えて論理在庫を計算し、お店ごとの一時間単位の売上数と在庫数をカウントします。これが最初の入り口として重要です。
2. 特売計画
次に特売情報を連動させます。たとえばスーパーで、プライベートブランドの牛乳が週に300本売れるとします。しかし、特売によりナショナルブランドの牛乳が値引きされると、ナショナルブランドの牛乳は3~4倍売れ、一方でプライベートブランドの牛乳が200本しか売れず、カニバリゼーションが起こります。プライベートブランドの100本には値引きシールを貼らなければならず、あるいは最悪の場合、廃棄しなければなりません。そこで、特売情報の期間と値引率、競合商品の情報をセットで頂き、予測に組み込みます。
3. 天候情報
3番目は天候情報です。sinopsは、気象庁と連携し、各エリアの1時間ごとの天気予報を自動でダウンロードしています。たとえば、夕方に大雨が降ることが分かっていたら、お客様は早めに来店されるため、そこに合わせて早めに商品を補充するなど予測を立てることができます。
4. 店舗棚割り
sinopsでは、近年、店頭における棚割り情報を組み込むことにも注力しています。棚のどこの位置に商品を置くかで売れ筋は変わります。あるいは、「フェース数を2から5に広げる」といった場合は、「棚に入れられる量が変わるため、作業効率はこう変わりますね」なども事前に把握することが可能です。
5. 積載効率
最後は積載効率です。以前、とある家庭用紙を扱う卸業者様にsinopsを導入しましたが、その卸業者様は「積載率を95%以上100%未満にしたい」と考えていました。そこで、私たちは「今回は必要ないが、次回か次々回に必ず需要のある商品を前倒しで載せることで、積載率を限りなく100%に近づける」というモジュールを提供しました。結果、人件費を大幅に削減しました。
このように、店舗単位で欠品を出さないようにしながら、「今日はこれはいらないよね」や、「次回発送するくらいなら今日中に持って行こう」など現場で積載効率を上手くコントロールする根拠を生み出しながら、私たちは物流DXを進めています。
物流コストの劇的改善
sinopsによる物流DXを進めることで、物流コストの大幅に改善することができます。その理由は、以下の4つです。
1. 需要予測とリアルタイム在庫により店頭欠品が大幅低減
店舗ごとの1週間から2週間先までの需要予測を毎日更新し、リアルタイム在庫を可視化することで、商品の品薄状態を簡単に把握して事前に納入できるため、店頭欠品を大幅に低減できます。
2. 店頭リアルタイム在庫と賞味期限・最適ロット管理から納品回数を削減
店頭リアルタイム在庫および味期限・最適ロットを管理することで、納品回数を2〜3割ほども削減することができます。
3. 小売りの特売計画を考慮した需要予測で物流センターの在庫削減
特売計画を考慮した需要予測を行うことで、物流センターの在庫を削減することができます。
4. 「sinops-LEOモジュール」により「メーカー」→「センター」の積載効率を改善
前出したように、sinopsのモジュールを用いることで、積載率を限りなく上限まで近づけることができ、納品回数を減らすことができ、必要のないトラックの運送をなくすことができます。
LEO:Loading Efficiency Optimization(積載効率最適化)
従来のWMSには限界があります。川下側の小売業者のさまざまなデータを同時一括で取り込み、クラウド上で見える化することで、さまざまな無駄を削減し、物流DXを進められると考えています。
講師紹介
株式会社シノプス
代表取締役 南谷 洋志 氏
1978年3月 関西大学工学部卒業、大都商事株式会社(現ダイトロン株式会社)へ入社。
1982年1月 須磨電子産業株式会社に転職。
1987年10月 株式会社リンクを設立。2018年12月に東証マザーズに上場。
2019年4月 製品名と同じ株式会社シノプスへ社名変更し、2021年に創立35年を迎える。
募集要項
日時 | 2021年9月28日(火) 16:00~17:00 |
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会場 | オンライン受講(参加費無料) |
参加対象者 | 小売業・荷主・物流企業 様 |
参加費/定員 | 100名 |
本件に関するお問合せ
- お問合せ先:
- 株式会社シーアールイー マーケティングチーム
- 担当:
- 立原(タチハラ) 佐藤(サトウ)
- メール:
- leasing_mail@cre-jpn.com
- 電話:
- 03-5570-8048