(レポート)コールドチェーン物流規格の取得を通じた国際競争力強化への挑戦
日本海事協会について
日本海事協会は、人命および財産の安全、環境保全への貢献を使命に、非営利の第三者認証機関として検査、証明、規則制定、研究開発などを行う一般財団法人で、50ヶ国以上、約130ヵ所に事務所を配置しています。
120年以上にわたり、世界最大の船級協会として船舶の安全確保のための規則制定と検査を担い、商船の保険付保に必要となる「船級」を登録しています。また船舶だけでなく、運輸全般において認証サービスを行っています。
標準・規格化とは何か
標準化とは、「もの」や「事柄」を単純化・秩序化し、試験・評価方法を統一し、製品やサービスの互換性・品質・性能・安全性を確保、利便性を向上することを指します。コンセントや電池、QRコード、点字ブロック、標識やマークなど、私たちの身の回りには標準化にまつわるものが多くあり、欠かせない存在です。
標準化に向けては、一定のメンバーの合意を得て規格を策定し、規格を普及させ、規格利用者を増やします。そうすることで安心・安全性が可視化され、市場での競争条件が整備されます。
近年は製品の仕様や性能だけでなく、サービス・マネジメント分野、社会システム分野、デジタル・データ分野、SDGs・環境分野など、幅広い分野で標準の議論が進んでいます。2019年7月にはJIS法も改正され、制度的にも標準の分野が拡大しています。
規格の取得を通じた国際競争力への挑戦
日系企業は、ASEANなど国際市場において、どのように競争力を高めていけばよいでしょうか。
結論から申し上げると、「国際標準を制する者が市場を制する」といえます。
ASEANにおいてコールドチェーン物流の需要は大きく、今後も拡大していくでしょう。それにも関わらず、現地の消費者や荷主がコールドチェーンの重要性を理解していない市場がまだあり、その結果、質の悪いコールドチェーン物流サービスが低価格を競う市場になっており、日系物流事業者が本来の競争力を発揮できない状況にあります。
この状況を打破するために、「規格」という物差しを市場に導入することが必要です。規格が導入されると質の悪いサービスは排除され、現地の消費者や荷主は、日系企業など質の良いコールドチェーン物流サービスを提供する事業者を選択するようになります。
第三者認証機関の役目・役割
日系企業が国際市場で競争力を高めていくためにも、コールドチェーン物流規格を広めることが重要で、それは私たちのような第三者認証機関の役目でもあります。
第三者認証機関が認証を行うことで、物流事業者が提供するサービス品質への信頼性が担保され、荷主や消費者などステークホルダーの信用を得ることができます。また認証を受けようとする組織は、認証を受けることで、組織の品質向上や人材育成等にもつなげることができます。このように、組織の課題を解決する機能も第三者認証機関にはあります。
第三者認証機関を選ぶ際は「審査の方法」「審査員の質(教育体制)」「審査実績」などに着目しましょう。選定を誤ると取引先より認証を評価されず、審査料の支払いがムダになってしまうため注意が必要です。
日本政府主導によるコールドチェーン物流規格の策定の背景
ここで、おもな日系物流事業者と、現地物流事業者のASEANにおけるコールドチェーン物流展開状況を見てみましょう。
ご覧いただいて分かるように、ASEANにおけるコールドチェーン物流の需要が伸びています。そしてその需要を捉え、日本政府も「総合物流施策大綱」(2021~2025年度)において、「コールドチェーン物流サービスの国際標準化を含む物流事業者の 海外展開支援等」を政策の柱のひとつに置き、我が国の高品質なコールドチェーン物流サービス等の国際標準等の普及を推進し、質の高い我が国物流システムのソフト面・ハード面での展開を支援するとしています。
コールドチェーン物流サービスの規格は現在「ISO 23412」「JSA-S1004」の2つがあります。特に「JSA-S1004」は、「日ASEANコールドチェーン物流ガイドライン」がベースになっており、ASEAN各国がこのガイドラインをベースとしたコールドチェーン物流規格を策定することになっているため、今後の発展が望まれます。
現在、この2つの規格をもって、国土交通省の主導のもと「政策対話・ワークショップ」などを通じた規格普及が進められています。また日本海事協会も認証機関として両規格の普及に貢献するために、ASEAN各国でセミナーを開催しています。
日本海事協会によるコールドチェーン物流認証審査
日本海事協会は第三者認証機関として「JSA-S1004」の認証を行っています。認証対象は以下のとおりです。
認証審査のポイントとしては、下記の「結節点」において、荷物を外気に触れさせることなく、荷主の要望である温度帯を維持・管理できるコールドチェーンをつないでいくことが重要です。
「規格」は、物流事業者のサービス品質レベルを可視化する物差しです。また規格を基に質の高いコールドチェーン物流サービスを促進すれば、CO2削減やフードロス削減などSDGs達成に貢献することもできます。
募集要項
イベント名 | コールドチェーン物流規格の取得を通じた国際競争力強化への挑戦 |
---|---|
日時 | 2023年2月21日(火) 16:00~17:00 |
会場 | オンライン受講(Zoom) |
参加対象者 | 荷主・物流企業 様 |
参加費/定員 | 参加費無料 / 定員100名 |
本件に関するお問合せ
- お問合せ先:
- 株式会社シーアールイー マーケティンググループ
- 担当:
- 佐藤(サトウ)
- メール:
- leasing_mail@cre-jpn.com
- 電話:
- 03-5570-8048