(レポート)インドネシア コールドチェーン物流 飛躍的な成長
川西倉庫株式会社
経営企画部 次長 海外案件特命事項担当
小山 真二 氏
インドネシア概況
①ASEAN10カ国の概要と比較
インドネシアの人口は2億7224万人で、ASEAN全体の4割を占めています。
名目GDPはASEANの中で唯一1兆ドルを超え、ASEAN全体の35%を占めています。
ひとりあたりGDPは4224ドルと低めですが、ジャカルタなどでは2万ドルを超え、先進国に近づきつつあります。
②インドネシアの人口分布と、日米との面積比較
インドネシアは東西に広がる世界有数の島嶼国家ですが、その中でも国土面積のうち6%に過ぎないジャワ島に1.5億人(56%)の人が住んでいます。
③州別人口とジャカルタ経済圏の人口集中
インドネシアの首都ジャカルタは、ジャワ島北西の海岸に位置しています。
ジャカルタ経済圏は人口3000万人を超えており、世界の中で東京首都圏に次ぐ巨大経済圏となっています。
ジャカルタ経済圏は別名「JABODETABEK」エリアと呼ばれています。「Jakarta」「Bogor(ボゴール)」「Depok(デポック)」「Tangerang(タンゲラン)」「Bekasi(ブカシ)」の頭文字から取った造語です。
④ジャワ島の人口密度 3D立体表示
下記の地図は人口分布を3D立体表示したものです。ジャワ島に人口が集中しているのが一目瞭然となっています。
⑤人口動態と中間層
インドネシアは人口増加が継続しており、人口ボーナスは2040年ごろまで続きます。
また年間可処分所得5000米ドル以上の中間層が急速に増加しており、顕著な消費変化を見せています。
⑥ジャワ島主要都市とインフラ
インドネシアの二大主要都市であるジャカルタとスラバヤ間は実走行で770km程度。高速道路が整備されており、トラックは12時間程度で輸送が可能です。
⑦天皇皇后両陛下 インドネシアへ海外親善訪問
2023年6月には、天皇皇后両陛下が、即位後初の外国親善訪問先にインドネシアを選ばれ、MM2100工業団地の職業専門高校やカリバタ英雄墓地をご視察されました。
インドネシア・コールドチェーン概況
①冷凍冷蔵倉庫の供給状況
日本における冷凍冷蔵倉庫のキャパシティは1360万トンですが、インドネシアはわずか37万トンで、日本の3%未満に過ぎません。人口は日本の2倍以上であり、冷凍冷蔵倉庫がまだまだ不足している状況です。
インドネシアのコールドチェーン37万トンのうち、物流事業会社が保有するキャパシティは15万トンと、40%に過ぎません。自前主義が強く、コールドチェーンを外部委託する土壌はまだ醸成されていないといえます。
②日系冷凍冷蔵倉庫の進出状況
日系冷凍冷蔵倉庫は、ジャカルタとスラバヤに集中しています。弊社・川西倉庫のほか、三菱倉庫様、Kiat Ananda様、DUNEX様、NX様などが進出していますが、日系冷凍冷蔵倉庫はまだまだ少ないといえます。
③ジャワ島 高速道路インフラ
ジャカルタを中心に高速道路網が発展しつつあります。西行き(上り)では、おもに中部ジャワ州や東ジャワ州の農産品、水産品がジャカルタ首都圏に運ばれ、東行き(下り)では、ジャカルタに輸入された海外製品などが運ばれています。
④冷凍輸入ビーフの需要増加
コールドチェーンの実例として「輸入冷凍ビーフ」を挙げると、2012~2021年の9年間で、金額ベースでは5.8倍、重量ベースでは6.6倍に増加しています。
このことからも、ジャカルタを中心に近代化、食文化の変化が急激に起きていることがわかります。
川西倉庫インドネシア
①沿革
川西倉庫インドネシアは、川西倉庫株式会社が54%、株式会社海外交通・都市開発事業支援機構が46%出資した合弁会社です。2017年10月に第1倉庫が、2022年10月に第2倉庫が竣工しました。
②立地
川西倉庫インドネシアは、ジャカルタの東部に広がる日系工業地帯にある、MM2100(最もジャカルタから近い工業地帯)に立地しています。
③内部 スケルトンイメージ
川西倉庫インドネシアでは全自動ラックを導入しています。
4台のスタッガークレーンを用いており、1万3000パレットの冷凍食品を収容することができます。
また前川製作所製の冷凍機ユニットを3機用いて、倉庫全体を冷やしています。
④冷凍庫 自動ラックシステム
1台のスタッガークレーンに対して、入庫コンベアと出庫コンベアが備わっており、自動で格納・出庫されます。
⑤自動ラック ダブルディープ方式
自動ラックはダブルディープ方式を採用しており、スタッガークレーン1台につき、2レーンのラックが設置されています。
⑥見取り図
第1倉庫は5500パレット、第2倉庫は1万8100パレットの冷凍食品を保管することができます。
⑦事業ライセンス
川西倉庫インドネシアの事業ライセンスは「普通倉庫事業」「冷凍冷蔵倉庫事業」「トラック運送事業」「トラック特殊運送事業」「運送コンサルティング事業」「不動産賃貸事業」「ディストリビューション事業」の7つです。
⑧新技術を用いた新たな取引の創出
ディストリビューション事業では、代引き決済や次世代のブロックチェーン技術と倉荷証券を活用した国際決済サービスなど、物流事業と表裏一体の商流部分のサポートを行っています。
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■講師
川西倉庫株式会社 経営企画部 次長 海外案件特命事項担当
小山 真二 氏
募集要項
日時 | 2023年9月14日(木) 16:00~17:00 |
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会場 | オンライン受講(Zoom) |
参加対象者 | 荷主・物流企業 様 |
参加費/定員 | 参加費無料 / 定員100名 |
本件に関するお問合せ
- お問合せ先:
- 株式会社シーアールイー マーケティンググループ
- 担当:
- 瀧川(タキカワ)
- メール:
- leasing_mail@cre-jpn.com
- 電話:
- 03-5570-8048