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ベトナム ハノイの都市鉄道計画が着工

ベトナム ハノイの都市鉄道計画が着工

2026年後半に差し掛かり、ベトナムの首都ハノイでは都市鉄道・地下鉄網の建設が本格化しています。2026年6月には5つの路線を建設する大型プロジェクトが着工しましたが、この案件で存在感を示したのはベトナムの地場企業であり、日本の姿は目立ちません。

本記事では、ハノイの都市鉄道計画の現状と、日系企業への影響について解説していきます。

ハノイの都市鉄道計画の現状

現在ハノイでは都市鉄道の建設ラッシュが始まっています。路線はハノイ市内を広範囲に網羅しており、中心部から約30km離れたノイバイ空港を結ぶ2号線も含まれます。

2026年9月時点で、ハノイ市内で商業運行しているのは2路線のみであり、規模としてはまだ限定的です。2021年11月に運行を開始した2A号線のように、着工から開業まで約10年を要したプロジェクトもあり、ハノイ市内の路線整備は長年の悲願でもありました。今回は地場最大手のビングループが施工に加わっており、実現までのスピード感に期待が高まっています。

5路線・総延長300kmが着工、総投資額は約7.9兆円

ハノイ市は2026年6月22日、都市鉄道5路線の建設プロジェクトの着工式を開催しました。総延長は約300km、総投資額は約1,300兆ドン(約7兆9,000億円)で、2030年までの完成を目指しています。

現在商業運行しているカットリン〜イエンギア区間(2A号線)とニョン〜カウザイ区間(3号線)の合計約21.6kmで、2026年4月末までの累計利用者数は6,200万人を超えました。今回の5路線着工は、この規模を一気に十数倍に広げる計画であり、ハノイの都市交通の構造そのものを変える事業とされています。

最終的には全18路線・約1000km、事業費20兆円規模の構想も

今回着工した5路線は、総延長約979km・全18路線からなる都市鉄道網整備計画の一部にすぎません。ベトナム政府は2045年までに18路線すべてを完工させることを目標としています。

ハノイ市人民委員会のブー・ダイ・タン委員長は「インフラ開発は数十年にわたる成長の基盤」であり、国際競争力を備えたグローバル都市へと発展させる「100年ビジョン」の重要事項として位置付けています。今回の計画は単発の路線整備ではなく、都市全体の交通インフラを作り直す長期構想として進められています。

建設を主導するのはベトナム企業

着工した5路線の施工を担うのは、ベトナム最大級の民間企業グループ・ビングループ傘下のビンホームズ社とビンスピード社です。既存の2A号線は中国企業の支援を受けて建設されましたが、今回は地場資本主導の色合いが強まっています。

これまでハノイの都市鉄道整備では、中国を始め、韓国やフランスの会社が協力関係にあった一方で、日本の存在感は限定的でした。今回の大型案件においても、日本の会社の関与は多くない見込みです。

ホーチミンは日本の円借款、ハノイは中国支援で開業

対照的にホーチミン市では、JICA*の円借款によって建設された都市鉄道1号線は2024年12月に開業し、三井住友建設や清水建設などの日本企業が携わりました。着工から開業まで約12年を要したものの、日本の技術協力によって実現したプロジェクトです。

同じベトナムの二大都市でありながら、ホーチミンは日本主導、ハノイは中国主導という構図が生まれています。この違いは、両国の開発スタイルの違いを映し出しているともいえるでしょう。

*日本の政府開発援助を行う独立行政法人

安全性重視の日本と、スピード優先のベトナムの間にズレ

日本経済新聞は、2030年に開通を求めるハノイ市に対し、日本側は安全性を重視して慎重な姿勢を崩さなかったと報じています。加えて日本国内の鉄道車両製造能力の不足も影響し、スピードと国産化を優先するベトナム側から、見切りをつけられた形と分析しました。

背景には、ホーチミン地下鉄1号線での経験も影響していると見られます。同路線ではJICAの円借款による資金拠出が計画通りに進まず、三井住友建設への未払い額が1億ドル(約110億円)を超えたことから、日本大使が工事中断もあり得ると警告する事態に発展しました。着工から開業まで約12年を要した背景にはこうした経緯があり、スピードを最優先する今回のハノイの路線整備とは相性が良くなかった可能性があります。

日系企業への影響と今後

建設工事そのものでは存在感を発揮できなかった日本ですが、関連分野では引き続き機会が残されています。

車両・制御システムなど関連分野での参入機会に期待

ハノイ市人民委員会のタン委員長は、着工式で日本企業を含む外資に対し、車両や制御システムといった関連分野での参入機会拡大に期待を示しました。建設の主導権は握れなくても、専門性の高い分野での協力余地は残っています。

車両製造や信号システムなど、ベトナム国内で調達が難しい高度な技術分野は、今後も外資企業の力が必要です。日系企業にとっては、こうした技術的な分野への関与が現実的な戦略になるでしょう。

沿線開発(TOD)では高島屋や住友商事などが参画

建設工事は受注できなかったものの、別路線となる都市鉄道2号線の沿線開発では、高島屋グループや鹿島建設、サンケイビルが不動産開発に参画しています。同路線は将来延伸され、住友商事が手がける北ハノイスマートシティや、ノイバイ国際空港への接続も見込まれています。

この2号線については、ハノイ市が日本政府のODA*による円借款供与についても協議を進めていることが明らかになっています。一部の工事ではベトナム側から距離を置かれた日本ですが、別路線や沿線の不動産開発という形で、引き続き機会を探っている状況です。

*日本政府が開発途上国の経済発展のために資金や技術を提供すること

まとめ

ハノイでは都市鉄道網の建設が本格化し、今回はベトナム地場企業と中国・韓国勢が握る形となりました。円借款で1号線を実現したホーチミンとは対照的に、日本はハノイの都市鉄道建設そのものからは距離を置かれています。

一方で車両・制御システムといった専門分野や、沿線の不動産開発といった点では、日系企業の関与する余地がまだ残されています。今後は一つの案件の結果にとらわれず、ベトナムのインフラ需要全体に対する戦略が求められるでしょう。

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