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ベトナムの財閥企業「ビングループ」とは

ベトナムの財閥企業「ビングループ」とは

ビングループはベトナムを代表する企業であり、不動産やEV(電気自動車)を始めとしたさまざまな事業を展開しています。2023年8月には、グループ会社のビンファストがベトナム企業として初めて米国の株式市場に上場したことで、世界的な話題となりました。

今回の記事では、ベトナムの財閥企業ビングループの概要や、主要な事業について解説していきます。

ベトナムの財閥企業「ビングループ」とは

2024年のビングループ全体の収益(売上)は189兆680億4千万ドンであり、日本円に換算すると「約1兆800億円」です。ベトナムの民間企業ではナンバーワンの数字であり、今後も継続した成長が見込まれています。

ここでは、ビングループの概要について解説していきます。

ベトナム最大の時価総額を誇る大企業

ベトナムでもっとも取引量の多いホーチミン証券取引市場には、ビンパール、ビンホームズ、ビンコムリテールなど、ビングループの企業が複数上場しています。これらの時価総額をすべて合計すると約527兆5,000億VND(約3兆円)であり、グループ連結の数字として国内最大となります。

2025年5月にグループ会社のビンパールが上場した際には、ビングループ関連銘柄が大きく上昇しました。ビングループの株式の多くは創業者のファム・ニャット・ブオン氏が保有しており、その株価上昇は同氏の資産拡大にもつながっています。

ファム・ニャット・ブオン氏が2002年に創業

ビングループは、ファム・ニャット・ブオン氏が2002年に創業した会社です。同氏は1968年のハノイ市生まれで学生時代にロシアへ留学し、その後1993年にウクライナで食品会社を立ち上げました。

ウクライナではインスタント麺の販売事業で大きな成功を収め、2000年にベトナムへ帰国します。そして、2002年より事業を開始し、2007年にはホーチミン証券取引所への上場を果たしました。

不動産事業やリゾート事業を通じて急成長

ビングループは政府とのつながりを活かし、観光開発や不動産事業を通じて急成長しました。ビングループを象徴する不動産には、リゾート地ニャチャンの島をまるごとリゾートにした「ヴィンパールリゾート」や、ベトナム国内に複数ある「ビンコムセンター」があります。

不動産の他にも、EVや学校、病院、テーマパーク、バス・タクシーの配車など、事業範囲は多岐に渡ります。ベトナム国内に住む人は、ビングループが提供するサービスを一度は利用したことがある、といっても過言ではありません。

虚偽情報拡散のインフルエンサー提訴

今やベトナム経済を牽引しているとも言えるビングループですが、一方で批判的な言動による風評被害に遭うケースもあります。2025年9月には虚偽情報を拡散した68のインフルエンサーや組織に対して、提訴を起こしました。

ビングループには、多額の負債を抱えていて「破産の危機に瀕している」という噂があります。ビングループは、これらの噂は虚偽であり世論を意図的に誤導するものである、と主張しています。

ビングループの主要な事業

前述の通り、ビングループはさまざまな事業を展開しています。ここでは、主要な事業について解説していきます。

不動産

不動産はビングループの核となる事業です。主にビンホームズが事業を行っており、ベトナム国内全域で、マンションや一戸建て、ヴィラの建設や運用を行っています。

ビンホームズのマンションはブランド力も高く、ベトナムの高級マンションの象徴でもあります。近年は北部のハイフォン市やクアンニン省、南部のロンアン省の大都市開発プロジェクトを推進しており、国内の不動産市場を牽引する中心的な役割を果たしています。

EV

ビングループはビンファストという会社を2017年に設立し、2021年からEVの製造に着手しました。2025年第1四半期には、ベトナム国内でナンバーワンとなる新車販売シェア30%を記録しています。

ビンファストのEVやバイクを用いた配車アプリ「Xanh SM」の2025年第1四半期のシェアは39.85%で、これは2位のGrabの35.57%を上回る数字です。同アプリはラオスやインド、インドネシアにも進出しており、海外での売上にも注力していく見込みです。

サービス業

ビングループが展開するサービス業は、ホテル・リゾート運営、テーマパーク事業などが挙げられます。ハノイやホーチミンを始め、ハロンやダナン、ニャチャン、フーコックなど主要な観光地には、必ずといっていいほどビングループの施設があります。

これらの施設は高級感と利便性を兼ね備えており、国内外の観光客から高い評価を得ています。

その他

ビングループは、教育や医療、鉄鋼、インフラ、グリーンエネルギーにも注力しています。教育ではベトナム最大の私立学校ビンスクール、医療ではビンメック病院を運営しています。

また、ビングループは以前まで小売に注力していましたが、2019年にマサングループへ一部事業を売却した後は縮小傾向です。近年では、EV事業の赤字補填を目的にビンコムモールの売却を進めている報道もあり、グループ全体として事業再編が進んでいる段階といえるでしょう。

まとめ

ビングループは、不動産を中心に教育、医療、観光、テクノロジーなど幅広い分野に事業を拡大してきたベトナム最大の民間企業です。ベトナム経済を象徴する存在であり、多岐にわたるプロジェクトを展開しています。

近年は新しい産業への投資と並行して事業の再編も進めています。今後の動向がベトナム経済全体に大きな影響を与えることになるでしょう。

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