【加速する投資】ベトナムで存在感を示す韓国企業
経済成長著しいベトナムで、韓国の存在感は年々大きくなっています。投資額は2019年までは右肩上がりで増えており、ハノイ市やホーチミン市で韓国企業の名前を見かけることも多くなりました。
韓国企業からベトナムへ赴任する社員は「片道切符」で送り出されると言われており、3年〜5年ほどで帰任が約束された日本企業の社員とは意識が違います。多くの韓国人社員はベトナム文化を理解し、ベトナム語のトレーニングを受けてから赴任するといった点からも、韓国企業の本気度がうかがえるのではないでしょうか。
本記事では、韓国のベトナムに対する投資状況や進出企業をまとめました。また、記事の後半では韓国と日本の投資額や進出企業数の差も比較していきます。
韓国によるベトナムへの投資状況

ベトナムへの投資額で、韓国はシンガポールに次ぐ第2位につけています。以下は世界各国のベトナムに対する投資額のランキング表です。

投資額上位で、前年と変わらない額を投資し続けている国は韓国だけです。
過去の投資額を見ると2019年の45億8,400万ドルがピークで、2020年は新型コロナの影響で大きく減少しています。しかし、2021年には持ち直し、2022年はピークの数字に迫る勢いで投資が続いています。
ベトナムへ進出している主な韓国企業

ここでは、ベトナム経済で存在感を「サムスン」「LG」「現代(ヒュンダイ)自動車」「ロッテ」といった韓国大手企業を4社紹介します。
サムスン
2021年、サムスンベトナムは742億ドル(約11兆1,300億円)の輸出売上高を記録しました。これはベトナム国内のGDP3,650億ドル(約54兆7,500億円)の約20%ほどです。一社の売上が国全体のGDPの多くを占めることからも、存在感を感じられるのではないでしょうか。
現在ベトナムでは、サムスンが全世界に販売するスマートフォンの50%超が製造されています。2023年からは半導体の商業生産を開始する予定であり、今後さらに増加することが予想されています。
LG
LGは電子機器や家電、化学製品を生産・販売するメーカーです。日本では有機ELテレビや冷蔵庫、洗濯機などから、社名をご存知の方も多いのではないでしょうか。
LGはベトナム北部ハイフォンで有機ELディスプレイを製造しています。2021年には14億ドル(2,100億円)の投資を決定し、さらなる工場用地拡大を検討しているようです。
ベトナム国内でも液晶テレビや家庭用冷蔵庫など、一定のシェアを獲得しています。
現代(ヒュンダイ)自動車
現代(ヒュンダイ)自動車は、韓国を代表する自動車メーカーです。セダンやSUVなどガソリン車はもちろん、燃料電池車の開発も積極的に行っており、インドやアジア地区を中心にで売り上げを伸ばしています。
現代(ヒュンダイ)自動車は、ベトナム北部ニンビン省に工場設立のために1億3,800万ドル(約207億円)の投資を行いました。昨今はベトナム国内でも自動車保有率が高まっていることから、国内シェアの増加にも期待できることでしょう。
ロッテ
日本で菓子メーカーとして知られるロッテは、ベトナムでも存在感を示しています。ベトナムでは不動産やホテル分野で知られている会社で、ハノイ市では高さ272m「ロッテセンター・ハノイ」、ホーチミン市では5つ星ホテルの「ロッテホテル」が有名です。
2022年には9億ドル(約1,350億円)を投じ、ホーチミン市で大型商業施設の着工を行いました。ロッテはベトナムを日本・韓国に次ぐ「第3の市場」に定め、投資を行っていく方針のようです。
日本と韓国の比較

続いて、日本と韓国で以下3つの点を比較していきます。
・ベトナムへの投資額
・ベトナムへの進出企業数
・ベトナム在住者
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ベトナムへの投資額

2022年、韓国は日本の倍近い額の投資を行っています。韓国が行っている投資の内訳を見ると、新規進出の投資よりもすでに進出済みの企業による追加投資の割合が増えているようです。
ベトナムへの進出企業数

明確な数字ではありませんが、日本と韓国ではベトナム進出企業数が大きく異なります。
ベトナム在住者

こちらも正確な数ではありませんが、ベトナムには日本人の10倍以上の韓国人が在住しているとされています。
韓国によるベトナム投資の今後
韓国は国の方針として海外投資を推進していることから、ベトナムに対する投資は今後増えていくことでしょう。
2022年以降もサムスンやLGを始めとした製造業から飲食業、IT、在住韓国人向けのサービス業など、さまざまな業態への投資が進むと考えられます。
韓国によるベトナム投資 まとめ
韓国によるベトナムへの投資は、新型コロナの影響で2020年は停滞しましたが、2021年からは再び増加傾向です。
日本と韓国では、すでにベトナムへの投資額や進出企業数に開きがあります。両国とも国内市場が成熟した中、今後どのような海外投資を進めていくかに注目が集まります。