ベトナムの日系バイクメーカーを解説
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バイク大国と呼ばれるベトナムでは、日系メーカーが大きなシェアを握っています。日系メーカーの高い品質と信頼性はベトナムでも高い評価を得ており、都市部から地方まで広く普及しています。
本記事では、ベトナムの日系バイクメーカーや昨今のバイク業界の動きについて解説していきます。
ベトナムのバイク市場
ベトナムのバイク市場の売上は、しばらく横ばいで推移しています。2020年〜2021年にかけては、売上が落ち込んで50億ドル(約7,000億円)を割り込んだ時期もありましたが、2022年には持ち直し、今後5年間も一定の需要を維持していく見込みです。
ベトナムでは依然としてガソリンを燃料とするバイクが主流の移動手段である一方で、近年は電動バイクも普及しています。政府は2050年にカーボンニュートラル実現を掲げ電動バイクの推進を進めており、日系メーカーも対応を迫られています。
ベトナムにおけるバイクについて
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ここでは、ベトナムに進出している日系メーカー4社の概要や2023年時点での市場シェア 、工場の場所などを解説していきます。
ホンダ
ホンダはベトナムで8割以上のシェアを持つ会社です。1996年にバイクの製造販売を行う「ホンダ・ベトナム」をベトナム国営企業と合弁で設立して営業を開始し、現在はベトナム北部のビンフック省やハナム省にある工場で製造・組立を行っています。
ホンダのバイクは、累計1,200万台以上を販売しているスーパーカブや、手頃な価格で買えるWAVE、高い操縦性を備えたAir Bladeシリーズが人気です。ホンダのバイクはベトナム国内で広く普及しており、地方の工場でも容易に部品交換や修理ができる点も評価されています。
ヤマハ
ヤマハはベトナム全体で2割弱のシェアがあります。1998年にベトナムに進出してから工場の増設・新設を重ね、東南アジアの重要な拠点として全社の生産を支えています。現在はハノイ市内の2箇所で、合計4,000人以上の従業員を抱えています。
ヤマハのバイクは、デザイン性と操作性を兼ね備えている点が特徴です。軽快な走行が可能なエキサイターや、低燃費と加速性を実現したスクーターのグランデが人気です。
スズキ
スズキのベトナムでのシェアは全体の0.4%です。1996年から営業を開始し、現在はベトナム南部のドンナイ省ビエンホア市にある工場で生産を行っています。
人気シリーズにはインパルス125やアドレス125がありますが、シェア率が示す通りスズキのバイクを街中で見かけることは多くありません。現在は四輪車に注力しており、日系での販売台数はトヨタ、三菱、マツダ、ホンダに次ぐ第5位に位置しています。
カワサキ
カワサキのベトナム国内でのシェアは確認できませんでした。
ベトナムで二輪車の輸入販売を行う現地法人カワサキモータースベトナムは、2019年8月に設立された会社です。その前までは、提携会社のマレーシア系のTCモーターサイクルベトナムがベトナムエリアを担当してきましたが、今後も継続して需要が見込まれることで新たに法人を設立し営業を始めました。
カワサキモータースベトナムは、ベトナムで175cc〜1000ccクラスの比較的大型のバイクを中心に展開していきます。設立初年度の2019年から2,500台の販売見込みを立てており、今後の事業拡大が期待されています。
ベトナムのバイク業界の動き
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ここでは、ベトナムのバイク市場や業界の動きを解説していきます。
東南アジアでベトナムはバイク利用率がもっとも高い国
ベトナムは、バイクが多いとされる東南アジア諸国の中でも利用率が高い国です。2023年の利用率は72.5%で、2位ブルネイの67.2%、3位マレーシア45.2%、4位インドネシア45.1%と続きます。
ベトナムのハノイやホーチミンなどの大都市では、狭い路地や混雑した道路があちこちにあり、車がおける駐車場は多くありません。小回りが効いて駐車スペースを取らないバイクは、移動手段として重要な役割を果たしています。
バイクが運転可能な年齢を15歳に引き下げ提案
ベトナムのバイク免許に関する規定は以下の通りです。
50cc以下(原付):16歳以上、免許不要
電動バイク:16歳以上、免許不要
51cc以上:18歳以上、免許必要
ベトナムでは、エンジン・モーター付きの50cc以下のバイクは16歳から免許不要で運転できますが、2024年5月に15歳に引き下げする提案が行われました。
他の東南アジア諸国では、50cc以下のバイクを運転する際には基本的に免許が必要で、多くは18歳以上の年齢制限を設けています。ベトナムは、バイク運転に関する規定は比較的緩いといえます。
カーボンニュートラル実現に向け電動バイクを推進
ベトナム政府は、2050年に二酸化炭素排出量をゼロにするカーボンニュートラル実現に向けて、2025年からハノイ市への燃料バイク乗り入れを禁止するという目標を掲げています。つまり2024年9月現在にバイクを買う場合は、基本的に電動バイクの購入が必要となります。
しかし、バスや鉄道など公共交通機関の整備の遅れに加え、充電に数時間かかる、充電インフラが十分でないなどの理由で、ガソリンバイクの需要も根強いです。 今後、電動バイクの普及は進む見込みですが、当初の想定よりも遅れているように感じられます。
電動バイクメーカーの展開が進む
カーボンニュートラル実現に向けて、燃料バイクメーカーは業態のシフトを迫られています。2024年6月に、ホンダは国営の郵便会社のベトナムポストに電動バイクを合計200台納入したことを発表しました。
しかし、日系企業は出遅れており、電動バイク市場ではベトナム企業のビンファストや中国企業の雅迪(YADEA)が、シェアを取りつつあります。ビンファストは2023年に電動バイクタクシー事業を始め、ハノイ市を中心に存在感を示しています。
まとめ
ベトナムのバイク市場では、依然として日系メーカーがシェアを握っています。今後5年は大きな伸びはないものの、需要は堅調に推移していく見込みです。
一方で、カーボンニュートラル実現の動きによって、電動バイク市場が広がりを見せています。日系メーカーも電動バイク導入を進めていますが出遅れており、今後さらなる競争の激化が予想されています。