衣食住

ベトナム産の米と日本への輸出について

ベトナム産の米と日本への輸出について

近年、日本国内では米の供給量が減少しており、価格が高騰しています。2025年6月頃からは、政府が確保した備蓄米がスーパーマーケットやコンビニなどで販売され始めていますが、まだ地域ごとに偏りがあり、全体の供給を満たすまでに至っていない状況です。

そうした中、海外から米を輸入して国内の供給量を補う動きが見られます。日本から地理的に近く、世界有数の米生産国であるベトナムはその筆頭であり、今後さらに輸入量が増えると予想されています。

本記事では、ベトナム産の米の概要や日本への輸出状況について詳しくまとめました。

ベトナム産の米とは

ここでは、ベトナム産の米について、形や味の特徴、国内での生産状況などを解説していきます。

細長い長粒種が中心

ベトナムの米は細長いインディカ米と呼ばれる品種が中心で、日本でよく食べられる丸みを帯びたジャポニカ米とは異なります。ベトナムでもジャポニカ米は購入することができますが、インディカ米よりも割高です。

インディカ米を炊く際は、水を入れてから全体をかき混ぜ、そのまますぐに炊き始めます。炊いたお米はパラパラしていて粘り気がなく、チャーハンやピラフ、ガパオライスなどの料理に向いています。

メコンデルタ地方での栽培が盛ん

ベトナム全土で米は生産されていますが、中でも水資源が豊富で、平坦な地形が続くメコンデルタ地方が盛んです。メコンデルタではベトナム全体の50%以上の米が生産されており、輸出用米も多くこの地域で栽培されています。

米の他にも農業や養殖業が盛んで、国内生産量のうち野菜は約30%、果物は40%以上、魚類は約70%、エビ類は80%以上がこの地域で生産されています。メコンデルタはメコン川の支流や運河が網の目のように広がっており、水上生活の村々や水上マーケット、数々の野生動物に会える観光地でもあります。

近年は品種改良が進む

ベトナムは世界で5番目に米の生産量が多く、長らくインディカ米が多く親しまれてきた国です。2000年代初頭には、日本の米の不作でベトナムからインディカ米が調達されたこともありましたが、その食感や味はあまり受け入れられませんでした。

しかし、近年では品種改良が盛んに行われています。その代表格ともいえる「ST25」は、2019年にフィリピンで開催された世界米コンテストで最優秀賞を獲得しました。ST25はインディカ米とジャパニカ米の中間のような形をしていて粘り気と甘みがあり、ベトナム国内の市場でもヒットを記録しています。

米を原料としたベトナム料理も豊富

ベトナムでは米食文化が非常に発達しており、白米はもちろん、フォーやブンなどの麺類、生春巻きに使うライスペーパー、米煎餅など多彩な料理があります。米を原料とした料理のバリエーションは世界でもトップクラスの多様性を誇ります。

米を原料としたベトナム料理は、北部・中部・南部の地域によっても特徴が変わります。北部にはフォーやバインチュン(ちまき)、中部はバインベオ、南部にはブンティッヌオンなどがあります。

ベトナム産の米の日本への輸出状況

ここでは、日本が米不足になって以降の、ベトナム産の米の輸出状況について解説します。

日本向けの輸出量は増加傾向

2024年10月9日、ベトナムの「タンロングループ」は地方銀行のきらぼし銀行と連携して、米ブランドの「ジャポニカAAN」を日本向けに輸出することを発表しました。ジャポニカAANは、すでに日本市場で流通している「ST25」に次ぐ新たな事例です。

タンロングループは、日本を始めイギリスやドイツ、アメリカ、オーストラリア、中国、韓国など合計20カ国へ輸出をしている企業です。チュオン・シー・バ会長は、日本の厳しい規制のもとで、今後さらに輸出量を拡大したい意向を示しています。

ベトナム産ジャポニカ米は国産に近い

ベトナム産のジャポニカ米は、国産に近い食感、味として評価されています。日本向けに生産して輸入される米は、大手スーパーチェーン複数社のプライベートブランドとして販売される予定です。

すでに一部は、パッケージにベトナム産を打ち出す形で販売されています。価格は5キロあたり2,400円ほどで、高騰する日本産米に比べて2〜5割ほど安く販売されています。

米と合わせてフォーや魚醤の輸入も進む

日本向けでは、米と並んでフォーや魚醤(ヌックマム)の輸入も拡大しています。フォーは米を原料とする麺で、魚醤は魚と塩を発酵させて作った調味料で、いずれもベトナムの食卓には欠かせない食材です。

フォーや魚醤は、オンラインショップ、輸入品販売店で販売されています。国産の米が高騰する中で、ベトナム産の食材への注目度も上がっています。

日本向けには厳しい規制が数多く存在

米の輸入は、輸出国の植物検疫証明書の取得や、農産物の農薬残留基準の厳守、1キログラム当たり341円の関税など、日本政府によって厳重に管理されています。また、販売時にも食品表示法や有機JAS規格の表記に従う必要があります。

輸出業者にとってはコストや手間がかかるため、簡単に参入できる市場ではありません。品質・安全面での高い基準が求められる、日本ならではのハードルといえるでしょう。

まとめ

現在、ベトナム産米の日本への輸出量は増加中です。価格が安いにも関わらず、品質や味も国産米に近いと評価されていることから、今後も店頭で見かけるケースが増えてくることでしょう。ぜひ今後、身近な選択肢の一つとして、ベトナム産の米を手に取ってみてはいかがでしょうか。

海外のレンタル倉庫・工場をお探しの方へ

CRE倉庫検索 for ASEANではベトナム・インドネシアを中心とした海外の物件を取り扱っております。
これから海外進出をご検討されている企業様、または既に海外展開中の企業様もお気軽にお問い合わせください。

電話でのお問合せはこちらから

TEL : 03-5114-5442

(携帯電話・PHSからもご利用いただけます)
営業時間 : 午前9時30分から午後6時まで (平日のみ)

ページの先頭へ