【建国80周年】2025年のベトナムの独立記念日とは
2025年9月2日、ベトナムのハノイ市で建国80周年の式典が実施されました。当日はベトナム全土から多くの人が集まり、軍隊の行進や空軍のパフォーマンス、市内5箇所での花火などを楽しみました。
本記事では、2025年のベトナムの独立記念日の概要や、軍事パレードに参加した国々との関係を解説していきます。
2025年のベトナムの独立記念日とは

ベトナムは1945年9月2日に独立を宣言し、今年で80周年を迎えます。節目の年である2025年9月2日は例年以上に盛大な式典が行われました。
式典はベトナム建国の父ホー・チ・ミン主席が独立宣言を読み上げた、首都ハノイ市の「バーディン広場」で始まりました。式典にはロシアや中国など経済的なつながりの強い国や、ベラルーシやキューバなど共産主義体制を敷く国々の要人が招待されています。開催宣言後は、軍隊・警察・学生などによるパレードが市内7方向に分かれて行われ、歩道に集まった市民が国旗を振って声援を送りました。
一方で、ホーチミン市では大規模な式典は行われず、独立記念日に合わせた小規模なパレードやイベントにとどまりました。これは、同市が2025年4月に「南北統一50周年」の大規模記念式典を開催したことも背景にあります。独立80周年は国の節目である一方で、南北戦争を経た歴史的経緯から、地域ごとに重視する記念日が異なることがうかがえます。
今回の80周年は、ベトナムにとって自国の歴史を振り返る重要な機会であり、国民の団結や愛国心を象徴する一日となりました。
2025年のベトナムの独立記念日の概要

ここでは、2025年の独立記念日に開催された式典の概要について紹介していきます。
ハノイ市で4万人規模の軍事パレードを実施
2025年9月2日、ハノイ市内で約4万人規模の軍事パレードが行われました。パレードにはベトナム軍に加え、ロシア、中国、ラオス、カンボジアの部隊も参加し、各国との軍事的・経済的な結びつきの強さを示しています。
ベトナム共産党の書記長トー・ラム氏は演説で、一党支配の正当性を強調しています。また「人々が期待する目標を達成するため、さらに力を尽くす」「独立や領土を侵害するいかなる行為にも断固として屈しない」と発言し、今後の決意を述べました。
リハーサルや本番当日には大混雑が発生
9月2日の式典前には、市内で複数回リハーサルが行われました。リハーサルは8月21日から始まり、大規模な交通規制によって交通麻痺が発生しました。本番さながらの内容で行われ、多くの市民が沿道に集まったことも、大混雑を招いた要因の一つとされています。
通行止めの場所や時間帯は事前に告知されていたものの、当日に急な変更が生じることもありました。そのため、自宅に戻れなくなった市民や、空港へ向かう道路が封鎖され到着が大幅に遅れた人もいたと報じられています。
期間中の航空券や宿泊費が高騰
2025年8月末から9月初めにかけて、ハノイへは約208万人の観光客が訪れました。2024年の同時期の3倍の数字となり、市内の多くのホテルでは90%を超える稼働率を記録しています。
そうした影響によって、航空券は通常の倍近く、宿泊費は全体で30%ほど高騰しました。期間中にハノイへ訪れる人は、深夜便を利用したり、郊外のホテルに宿泊するなどして対応したようです。
軍事パレードに参加した国との関係

独立記念日の式典には、ベトナムとの友好国である8カ国(ロシア、中国、ラオス、カンボジア、キューバ、ベラルーシ、カザフスタン、アゼルバイジャン)が招待されました。その中で、式典に軍を派遣した4か国(ロシア・中国・ラオス・カンボジア)との関係について解説していきます。
ロシア
ベトナムとロシアの歴史は古く、今も友好的な関係を築いています。ロシア(ソ連)はベトナム戦争期に大規模な軍事、経済、食糧支援を行い、カンボジア侵攻や中越戦争でベトナムが国際社会から孤立する中でも、ずっと同盟関係を維持してきました。
2024年6月には、プーチン大統領がベトナムへ訪問し、2国間の関係を強化することを宣言しました。現在ウクライナ侵攻によってロシアへの経済制裁が実施される中でも、ベトナムは食品や衣類などを中心とした輸出を行っています。
中国
ベトナムの隣国である中国は、輸出入において重要な国です。領土問題などを背景に一部では反中感情が残るものの、輸出額では第2位、輸入額では第1位を占めるなど、経済的な結びつきは極めて深いです。
2025年9月3日のベトナムの独立記念日とほぼ同時期に、中国の北京で「戦勝80周年」の式典が開催されました。そうした中、ベトナムの式典には中国全国人民代表大会の趙楽際(ジャオ・ルォージー)常務委員長が出席、中国の式典にはルオン・クオン大統領が出席するなど、双方が要人を派遣し合い、両国の関係の強さを示しました。
ラオス
ラオスはベトナムと広く国境を接しており、昔からつながりが深い国です。両国の文化が融合した民族も存在し、米を中心とした食文化においても類似点が見られます。
両国間には国境経済特区や国境市場が設けられ、貿易や物流が活発に行われています。また、学生交流プログラムでの連携も進められており、次世代の人材育成を通じて関係強化が図られています。
カンボジア
カンボジアはラオス同様、ベトナムと長く深い友好関係を築いてきました。ベトナムは近年道路や橋、電力網といったインフラ整備に貢献し、両国の結びつきはさらに強化されています。
カンボジアはタイとの緊張関係が続く一方、ベトナムとの貿易は好調です。ベトナムからの輸出では、石油、鉄鋼、繊維、建設資材、カンボジアからの輸入ではカシューナッツ、米、ゴムなどが挙げられます。貿易額は前年比で2024年に17.5%、2025年は20%前後の増加が見込まれています。
まとめ
ベトナムは2025年9月2日に独立80周年を迎えました。航空券や宿泊費の高騰、市内での大混雑を招いた一方で、式典では国民の団結や愛国心が大いに感じられました。
ベトナムは全方位外交を掲げていて、今後はロシアや中国を始め、アメリカやヨーロッパ各国とも良好な関係を築いていく方針です。国際情勢が不安定化する中で、ベトナムがどのような政策を進めていくかが注目されます。