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ベトナムのEV車、電動バイク市場とは

ベトナムのEV車、電動バイク市場とは

世界的にEV車の普及が進む中、ベトナムでも同様の傾向が見られます。近年ハノイ市やホーチミン市などの都市部では、EV車や電動バイクを見かける機会が大幅に増えました。この背景には、国内メーカーの積極的な市場参入が大きく関係しています。

ベトナムでは経済成長に伴い、年々自動車を所有する人の割合が高くなっています。それに伴いEV市場も急速に拡大しており、今後さらなる成長を遂げることでしょう。

本記事では、ベトナムのEV車および電動バイク市場の概要と、市場を牽引する主要メーカーについて詳しく解説していきます。

ベトナムのEV車、電動バイク市場とは

ベトナムのEV車の販売台数は2023年は約1万8,000台で、2032年には約6万4,500台に増加する見込みです。10年間で約3.6倍増を見込んでおり、現在は充電スタンドや修理工場などの整備が進んでいます。

EV車はベトナム政府も推進しています。ベトナム政府は2022年3月より、EV車購入時の特別消費税3%(2027年2月まで)、自動車登録料0%(2025年2月まで、以降2027年2月まで5%)の減免措置を導入しました。ガソリン車(9人乗り以下)は特別消費税35〜150%、自動車登録料10%であり、大きな差があることがわかります。

次からは、政府の具体的な取り組みやEV車、電動バイク市場について詳しくみていきます。

ベトナム政府は2050年までにカーボンニュートラル達成を宣言

ベトナム政府は、2021年10月〜11月にイギリスで開催された「COP26(気候変動枠組条約締約国会議)」で、2050年までにカーボンニュートラル(CO2排出量を差引ゼロ)の達成を表明しました。

この目標達成のために、2030年には石炭火力発電所の新設を停止して2040年以降に段階的に廃止、2050年には石炭発電を完全に廃止し、水力と再エネの総発電量が約7割を占める計画を立てています。

また、ハノイ市では2030年までに電動バイクの総数を5%まで引き上げ、ニャチャン市では2025年までに200台の電動バスの導入を目標に定めています。

ビンファストが台頭

ビンファストは、EV車の製造・組立を行っている唯一の国内企業です。2021年12月にEV車の販売を開始して2022年7月にガソリン車の受注を停止、2023年には3万4,855台の納車実績を収めました。

海外市場にも注力しており、2023年8月15日には米国のNASDAQに上場、2023年末時点で北米で4車種を展開しています。2025年内には米ノースカロライナに建設中の新工場が稼働開始して、年間15万台の生産を目指す計画です。

ベトナム国内で提供するSUV型の人気モデル「VF 6」の価格は7億6,500万〜8億5,500万ドン(約459万〜約513万円)で、1充電あたりで460km〜480kmの走行が可能です。また、同社が展開するEV車・電動バイクの配車サービス「Xanh SM」の利用者数は、リリースから約1年半で2,500万人を突破し、Grabやbeの対抗勢力になっています。

小型のEV車が発売

2024年5月、ビンファストは小型のEV車「VF 3」の発売を発表しました。VF 3のバッテリーサブスクリプションタイプは2億4,000万ドン(約144万円)、バッテリー込みタイプは3億2200万ドン(約193万円)と比較的安価で、2ドアタイプで全長3.19mのコンパクトな設計です。

従来多くのSUV型は10億ドン(約600万円)以上の価格が設定されていましたが、VF 3の登場によって購入しやすくなりました。

電動バイクの割合は全体の3%程度

近年電動バイクを街中で見ることは増えているものの、全体での割合はまだ3%程度です。2023年時点では、バイクの総登録台数約7,200万台のうち、電動バイクは約200万台でした。

電動バイクが普及しない理由としては、1充電あたり100km程度の走行距離で充電に3時間以上かかる点や、ガソリンバイクと比べると馬力が弱い点が挙げられます。近年そうした問題は改善されつつありますが、普及にはまだ時間がかかる見込みです。

ベトナムの主なEV車メーカー


ここでは、ベトナム国内に展開する主なEV車メーカーを解説していきます。

ビンファスト

ビンファストはベトナム最大手ビングループの子会社で、ベトナム国内でEV車を製造する唯一のメーカーです。ベトナム国内では合計7つの車種を展開し、充電スポットは全国に15万ヶ所を計画、CarOn社と提携して修理工場の開設を進めるなど、インフラ体制を強化しています。

ベトナムではすでに幅広い支持を得ており、今後も国内・海外市場での成長が期待されています。

ヒュンダイ

2023年8月、韓国の大手自動車メーカーのヒュンダイと、ベトナムのタインコングループの合弁企業「ヒュンダイ・タインコン・ベトナム」は、EV車「IONIQ 5」の生産と販売を発表しました。

IONIQ 5は5人乗りで、エクスクルーシブとプレステージの2タイプが販売される予定です。現在のビンファスト一強の状況下で、対抗勢力となるか注目されています。

ベトナムの主な電動バイクメーカー


次にベトナムの主要な電動バイクメーカーを紹介します。

電動バイクメーカーにおいてもビンファストが筆頭ですが、記事中ですでに紹介しているので、ここでは割愛します。

YADEA

YADEAは7年連続世界第一の売上高を誇る、中国の電動バイクメーカーです。2019年にベトナムへ進出してバクザン省に製造工場を建設し、2024年の初めには総額1億ドル(約150億円)を投じた第2工場の起工式を行いました。

YADEAの新車は2,000万ドン(約12万円)程度で購入可能で、都市から地方部まで幅広い支持を集めています。

ホンダ

ホンダは、ベトナムでガソリンバイクのシェア8割を獲得しているメーカーです。電動バイク分野では出遅れていましたが、2024年初めに本格的に市場へ参入することを宣言しています。

2024年には、ホーチミン市のベトナム郵政総公社(VNポスト)やロッテリアに配達用電動バイクを提供し、少しずつ認知度を高めています。

まとめ

EV車、電動バイクは有望な市場であり、現在はビンファスト一強の状況です。今後は充電スタンドや修理工場も整備され、より利便性が向上していくことでしょう。

ベトナム政府は2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、税制緩和やクリーンエネルギーへの移行などさまざまな施策を行なっています。そうした状況の中で、現時点で出遅れている外資系企業が、今後ベトナム市場でどのような展開をしていくか注目していきましょう

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