物流

インドネシアの運送業

インドネシアの運送業

インドネシアは合計17,000を超える島、1,766の有人島を有する国です。経済発展による物流量が増加する中、地方部のインフラ整備は大きな課題の一つとなっています。

本記事では、インドネシアの運送業の概要や主な運送業者、今後の課題についてまとめていきます。

インドネシアの運送とは

インドネシアの物流事情は、地域によって大きく異なります。

ジャカルタのあるジャワ島では、主要な都市を結ぶ物流網が整備されていますが、地方部ではインフラ不足が課題です。ジャワ島では2〜3日程度で到着する荷物が、地方部では数週間程度かかり、さらには配送費も高騰する傾向にあります。

ここでは、インドネシアの運送について、陸運・海運・空輸の3つに分けて紹介していきます。なお、当記事で紹介する運送は、配送センターから家までの短距離(ラストワンマイル)ではなく、都市間や他の島々へいった長距離を対象としています。

陸運

陸運はインドネシア国内の物流において重要な役割を担っています。ジャワ島では、経済の中心地であるジャカルタやスラバヤを結ぶ高速道路網・鉄道網が整備されており、国内の貨物輸送の大部分がこの地域で行われています。

しかし、地方部では道路インフラの整備が遅れています。山岳地帯や湿地帯が多く自然条件が道路建設の支障となっていることに加え、雨季には冠水したりぬかるんだりして、通行禁止になるケースも少なくありません。

政府がインフラ整備に向けた取り組みを進めていますが、予算が限られており、地方部の優先順位が低いことが課題です。

海運

数多くの島が存在するインドネシアでは、国内で海運が盛んに行われています。最大の港湾であるジャカルタのタンジュンプリオク港から、スマトラ島やカリマンタン島、スラウェシ島、パプア島などへ向け、日々数多くのコンテナ船が出航しています。

港湾の取扱貨物量は、2020年に新型コロナウイルスの影響で減少しましたが、2021年にコロナ禍からの回復と資源価格高を追い風とした好景気で、過去最高を記録しました。

インドネシアは2045年までに、首都をジャカルタからカリマンタン島へ移転することを予定しています。これに伴って港湾や物流ネットワークの構築が進み、海運業界のさらなる発展が期待できるでしょう。

空輸

インドネシア国内には、ジャカルタの「スカルノ・ハッタ国際空港」や、スラバヤの「ジュアンダ国際空港」バリ島「ングラ・ライ国際空港」など複数の空港があり、運送においても役割を果たしています。空輸は主に緊急性が高い物資や高付加価値商品の移動に活用されています。

しかし空港がない島も多く、空輸の利用範囲は限定的です。空港のない地域では、海運や陸運を組み合わせた輸送方法が一般的です。

インドネシア国内の主な運送業者

ここでは、インドネシア国内で事業を展開する、主要な運送業者を紹介していきます。

PT Samudera Indonesia Tbk

PT Samudera Indonesia Tbk(サムデラ・インドネシア)は、インドネシア最大の物流・運送会社の一つです。6,000人以上の人材と150以上の子会社・支店を抱えており、売上全体の78%を占める海運を中心として、陸上輸送や倉庫、物流センターなど、運送に関する総合的なサービスを提供しています。

PT Samudera Indonesia Tbkは、グローバル化にも注力しています。世界への物流ネットワークを通じて、インドネシア国内だけでなく、アジアや中東、アメリカなどの国際市場にも対応可能です。

PT Cipta Mapan Logistik

PT Cipta Mapan Logistik(チプタ・マパン・ロジスティック)は、サプライチェーンで数十年の経験がある専門家グループによって、2001年に設立された会社です。主に国内陸運に強みを持つ会社で、石油や植物油、化学薬品などの液体輸送や、倉庫、貯蔵タンク、輸出入貨物サービスなど、幅広い事業を展開しています。

2016年6月には、日本の伊藤忠ロジスティクスが、PT Cipta Mapan Logistikの100%子会社であるPT. Bahana Prestasiへの出資を決めています。

インドネシアの運送業の課題

インドネシアでは、地方の島々を結ぶ港湾や航路の整備が不十分であり、道路インフラも十分に整備されていない点が課題として挙げられます。地方部では物流コストが高騰する上に到着までに長い時間を要し、ジャカルタやスラバヤなどの都市と生活格差はどんどん開いているのが現状です。

そうした課題に取り組んでいるスタートアップ企業もあります。2018年に設立されたSuper社は、都市部からのアクセスが悪い地域のリーダーが代理店としてまとめて注文し、その商品を消費者に対面で販売する仕組みを提供しています。

結果的に消費者は商品の価格を10%から30%削減する恩恵を受けることに成功しました。現在同社では、フリーランスのドライバーや代理店として起業する人の育成にも注力しています。

まとめ

インドネシアでは、1,766の有人島を結ぶ海運が物流の中心的役割を担っています。しかし、道路インフラ整備の遅れが運送の課題として残り続けており、都市部と地方部では利便性に大きな格差があります。

インドネシアでは、2045年に予定されている首都移転を契機に、インフラの大規模な整備が進むことが期待されています。新首都の建設に伴う需要の増加が物流網の拡充を促進し、運送業全体の発展につながる可能性があるでしょう。

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