金融

インドネシアに対する外国直接投資の概要

インドネシアに対する外国直接投資の概要

インドネシアは毎年5%前後のGDP成長を遂げ、人口も1%程度増加し続けています。このような背景のもと、諸外国から多くの投資が集まっています。2024年にはカリマンタン島のヌサンタラへの首都移転も始まり、金融やインフラ、不動産などさまざまな分野への投資が注目されています。

本記事では、インドネシアに対する外国直接投資の概要や、国別の投資先について詳しく解説していきます。

インドネシアに対する外国直接投資とは

インドネシアの外国直接投資の受け入れ額は年々上昇しています。投資額は2023年に502億6,700万ドル、2024年には600億1,400万ドルとなり、1年間で約20%の増加を見せました。

2025年に入っても、海外からの投資を積極的に呼び込もうとしており、日本に対しては※JICAやプラボウォ大統領自らが呼びかけを行っています。インドネシア政府は外資の協力を得ながら、国内産業の発展を目指しています。

※国際協力機構の略で、開発途上国への国際協力を行う実施機関

外国直接投資を行う国別の特徴

ここでは2024年の実績をもとに、各国の投資状況について解説していきます。

1位:シンガポール

シンガポールは、インドネシアに対して長らく外国直接投資額1位を続けている国です。2024年の全体の投資額における割合は「33.5%」で、2位の香港「13.7%」3位の中国「13.5%」と比較しても大きな差があります。

立地的にも近い距離にあり、再生可能エネルギーや持続可能な低炭素、製油などエネルギー分野への投資が盛んです。代表的なシンガポール系企業には、パーム油の精製や加工、販売をする「wilmar」や再生可能エネルギーに強みを持つ「Sembcorp」、不動産事業を行う「Capitaland」があります。

2位:香港

香港はシンガポールに次ぐ投資金額が高い国です。中国企業が香港法人を通じてインドネシアに投資するケースも多く、インドネシア経済にとって重要な位置付けにあります。

香港には世界有数の金融センターがあり、インドネシア企業が資金調達を行う場にもなっています。2023年10月には、インドネシアの新興企業J&Tエクスプレスが香港取引所に新規株式公開を行い、話題となりました。

投資が盛んな産業は、金融や物流、インフラ、鉱業が中心です。インドネシアに進出した代表的な香港系企業には、貿易・物流会社の「Li & Fung」や、インドフード(Indofood)を傘下に持つ「First Pacific」があります。

3位:中国

中国のインドネシアに対する外国直接投資額は約81億ドルで、第3位に位置する国です。ただし、中国系の企業が香港やシンガポールの企業を通じて投資するケースも多く、中国が最大の投資国であるとも見なされています。

近年は電気自動車への投資が盛んで、他にもニッケルやガラス、石炭、交通インフラなど幅広い分野でインドネシア経済に関わっています。両国の関係は深い一方で、中国船によるインドネシア領海への侵入問題や、現地工場での労働条件をめぐる反中感情の高まりなど、今後問題として浮上する可能性も残ります。

4位:マレーシア

マレーシアはインドネシアと国境を接しており、経済的にも深いつながりがある国です。1957年に外交関係を樹立して以降、両国間では「国境貿易協定」「二国間スワップ協定」「ハラール認証の相互承認」など、経済活動を促進するためのさまざまな枠組みが整備されてきました。

マレーシアからの投資分野は化学・製薬がもっとも金額が大きく、続いて運輸・倉庫、通信分野へと続きます。両国はイスラム教を信仰する人が多く、宗教・文化的なつながりもあるため、ビジネスにおいても強固な協力関係が築かれています。

5位:米国

米国はインドネシアに対する外国直接投資額で5位の国です。インドネシアにとって米国は重要な輸入相手国の一つでもあり、2024年の輸出額は281億ドル、収支は179億ドル(約2兆6,100億円)の黒字、相互関税は2025年7月15日に19%に決まりました。

米国企業は鉱業を始め、石油、ガス、電気自動車の分野を中心に投資を行っています。2025年時点では、今後米国がインドネシアに輸出する製品は無関税になるため、貿易のさらなる活発化が期待されています。

6位:日本

日本は2013年にはインドネシアに対する最大投資国でしたが、2024年は6位まで順位を下げています。こうした背景には、自動車・バイク分野の投資が一巡し、電気自動車(EV)関連やニッケル、インフラの分野を中心とした中国系企業の投資が台頭してきたことが挙げられます。

日本の投資分野としては、自動車・バイクの製造業や、鉄道や道路などの交通インフラ、不動産開発が中心です。インドネシアの投資調整庁のティルタ次官は「日本企業の今までの貢献は大きく基盤は強固である。日本は依然として重要な国であり、日本政府や企業も中長期的な投資に自信を持ってほしい」と述べています。

インドネシア対する外国直接投資の今後

インドネシア政府は諸外国に対して投資を奨励しています。2024年10月にプラボウォ大統領が就任して以降、アジア各国やロシア、米国に対して積極的な投資を呼びかけています。

インドネシアは現在カリマンタン島への首都移転を進めています。カリマンタン島は手付かずの自然が残る地であり、今後は交通インフラや不動産、建設分野に対して大きな投資が集まる可能性があります。

まとめ

インドネシアへはシンガポールや香港、中国からの投資が多く集まっています。特に中国系企業は存在感を高めており、電気自動車分野やニッケル製錬、交通網やエネルギー施設の整備などで影響力を強めています。

日本は以前に比べ順位を下げているものの、鉄道や道路工事など交通インフラの分野では日系企業が多く携わっています。今後もインドネシアにとって重要なパートナーとしての役割が期待されるでしょう。

海外のレンタル倉庫・工場をお探しの方へ

CRE倉庫検索 for ASEANではベトナム・インドネシアを中心とした海外の物件を取り扱っております。
これから海外進出をご検討されている企業様、または既に海外展開中の企業様もお気軽にお問い合わせください。

電話でのお問合せはこちらから

TEL : 03-5114-5442

(携帯電話・PHSからもご利用いただけます)
営業時間 : 午前9時30分から午後6時まで (平日のみ)

ページの先頭へ