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(レポート)いま、なぜベトナムか? アフターコロナを見据え、その投資先としての魅力を探る

(レポート)いま、なぜベトナムか? アフターコロナを見据え、その投資先としての魅力を探る

基調講演:亜細亜大学教授 大泉氏

アフターコロナのアジアとベトナム、そして日本

■コロナ禍とベトナム
世界的に大流行しているコロナウイルスですが、アジア地域は比較的その影響が抑え込まれており、なかでも特にベトナムはコロナの抑制に成功しているといえます。9月以降の新規感染者数は20人を下回っており、11月8日は0人でした。

コロナを抑制することは、経済活動にも大きな影響を及ぼします。2020年9月時点の経済成長率を見てみると、アジアの多くの国がマイナス成長のなか、ベトナムは1.8%のプラス成長でした。2021年はプラス6.8%という、かなり高い成長率が見込まれています。

大泉 啓一郎 氏

大泉 啓一郎 氏

コロナからどう脱却していくかは、経済だけでなく私たちのビジネスにおいても重要です。私は、コロナ禍からの脱却を以下の4段階で考えています。

①コロナ感染を抑え込む→ロックダウン
②コロナを抑えつつ経済活動を再開する→ウィズコロナ
③コロナ禍からの回復を円滑に進める→アフターコロナ
④コロナ後の新しい世界→ポストコロナ

重要なのは、この4段階を明確に区分けして進めることです。11月現在、日本は②の段階で、ベトナムは②から③へと順調に移行しています。

■変わるベトナム ~高まる潜在力~
長い目で見ると、近年、ベトナムの潜在力は大きく高まりつつあります。この20年間、成長率は常に5%を超え、一人当たりのGDPは3000ドルを超えました。2025年には5000ドルを超え、ハノイ・ホーチミンに至っては1万ドルを超えると見込まれています。

このベトナムの成長は輸出額の急増に支えられています。2015年以降、ベトナムはタイ、マレーシアを追い越し、ASEANの中でもっとも輸出額が多くなりました。輸出物の内容も、中国や韓国、台湾の投資によるスマートフォンなどの通信機器やコンピューターの部品が増えています。

貿易収支については、2015年までは赤字でしたが、2016年以降は黒字化しています。これはベトナムの産業基盤が一時的ではなく、持続可能な競争力を持ち始めたことを意味します。

■コロナ後のベトナム
ポストコロナにおいては、「コロナ前に起こっていたことが加速する」と考えています。

その中でもっとも注目すべきは新興国・途上国の成長でしょう。2000年以前からコロナ前にかけて、名目GDPのシェアは、先進国の比率が8割から6割まで下がり、一方で新興国・途上国の比率が2割から4割まで上がりました。このトレンドはポストコロナにおいてデジタル化とともに加速し、2030年には新興国・途上国の経済規模が先進国を上回ると見られています。なかでもベトナムは北のハノイ、南のホーチミンを中心に発展を続けていくと思います。

また、アジア経済を考えるうえで外せないのが中国の存在です。各国の輸出入の状況を見てみると、多くの国で対中国がもっとも多くなり、ベトナムは特に中国との結びつきを強めています。これは中国とASEANが緊密化し、アジアに巨大な経済圏ができつつあることを意味します。ASEANの一員であり、TPP、RCEPにも加入するベトナムは地理的にその中心に位置し、存在感を高めていくでしょう。

■ベトナムと日本
日本とベトナムの関係を見てみると、2010年以降急速に輸出入が伸びています。菅首相が最初の外遊先にベトナムを選ぶなど、日本政府としても対ASEANへの投資を後押ししたい考えです。7月には「海外サプライチェーン多元化等支援事業」も始まり、その半数以上が対ベトナムでした。ベトナム重視志向は高まりつつあります。

ベトナムは潜在力を発揮し、いまや精密機器などの生産も行えるようになりました。中国や韓国、台湾などが独自にベトナムとのサプライチェーンを構築していくなか、日本も今後、アジアのサプライチェーンの結節点となるであろうベトナムとの結びつきを強め、各国のサプライチェーンに入り込みながら新しい形を作っていく必要があると思います。

亜細亜大学 アジア研究所教授 大泉 啓一郎 氏

ベトナム最新トピックス:SCMソリューションデザイン 魚住氏

ベトナムでのトピックスをいくつかご紹介します。

■ベトナムのコロナ対策
11月9日現在、コロナの感染者は累計で1213人。死者は35人。ベトナムがコロナ抑制に成功した大きな理由は、公共交通機関の停止や道路封鎖などの「ロックダウン」を徹底したことや、感染者や接触者の居場所を地図で把握する「監視アプリ」を導入したことが考えられます。

■ベトナムが締結している自由貿易協定
ベトナムは自由貿易協定に熱心で、現在14の協定に加盟しています。日本絡みでいうと「日 ASEAN 包括的経済連携協定(AJCEP)」「日 ベトナム 経済連携協定(JVEPA)」「環太平洋包括的先進的パートナーシップ協定(CP TPP)」の3つです。また2020年8月より「EU ベトナム自由貿易協定(EV FTA)」が発効され、EUとの貿易拡大が期待されています。

魚住 和宏 氏

魚住 和宏 氏

■ベトナムの水産品と農産品
ベトナムは世界有数の漁業国です。漁獲高・生産量は世界4位、輸出額は世界3位です。輸出相手国は日本がもっとも多く、2019年1-4月はパンガシウスやエビなど452億円でした。

またベトナムの農業生産額は世界18位。主要品目はコメ、さとうきび、生鮮野菜、キャッサバ、とうもろこしなどです。コショウの生産量は世界1位で世界シェア40%に達し、コーヒーはブラジルに次いで世界2位の生産国でもあります。

ベトナムの野菜の輸出先は、かつては中国、日本、韓国が大半でしたが、近年はアメリカ、EU各国、オーストラリアなど検疫基準、食品安全基準の要求水準が高い国々も増加しています。

SCMソリューションデザイン代表 魚住 和宏 氏

プレゼンテーション:株式会社山善 太田氏

ベトナムにおける工作機械工具業界の将来

■会社概要
山善は、国内に53事業所、海外に17の現地法人・67事業所を抱える商社です。従業員数は3077名で、工場内設備などの生産財や、扇風機・こたつなどの消費財を取り扱っています。

ベトナム現地法人は2010年に設立しました。資本金は200億ドン、従業員数は96名(うち日本人10名)で、おもに生産財設備を取り扱っています。南部拠点はホーチミン、北部拠点はハノイにあります。

■ベトナム市場
ベトナムの市場を地域別に見ると、北部はハノイを中心に工業が発達し、中部はダナンを中心とした観光が発展、南部はホーチミンを中心にベトナム最大の商業都市が広がります。

ベトナム市場におけるコロナ以前とコロナ発生後の違いですが、コロナ以前は米中貿易摩擦のリスク回避先として、特に製造業から注目されていました。一方でコロナ発生後は、海外間移動の制限により新規企業の進出にブレーキがかかりました。しかし最近は回復傾向にあり、コロナ収束後には安全な投資先として急伸する可能性があります。

ベトナムは人件費の安さが魅力です。ASEAN諸国と比較してみると、ハノイ・ホーチミンの一般工の月額賃金は221USドルで、上海の40%、バンコクの58%ほどです。ただし、ベトナムの人件費における最大の魅力は大卒社員の人件費です。日系企業に勤める大卒の月額賃金は400-500USドルほどですが語学力も高く専門知識も高い。

太田 左登司 氏

太田 左登司 氏

■日系企業のベトナム進出
日系企業のベトナム進出のメリットは「加工賃コストダウン」「親日で労働意欲が高い」が挙げられます。

一方、デメリットは「設備メーカーがほとんどなく、投資後のアフターサポートに不安」「中古機輸入が規制されており、償却後の設備を日本から容易に移設できない」などがあります。

■中国、韓国、台湾企業の動向
中国企業は、米中貿易摩擦以降、投資を増やしており、なかでも製造業が増えています。韓国企業は、サムスン電子や現代自動車、LG電子など財閥を中心としたサプライチェーンを展開しています。台湾企業は、フォックスコンなどEMS企業のベトナム工場移転が増えており、徐々にチャイナプラスワンから主力工場への位置付けをされつつある。

■ベトナム人の経営思想、スキル
若手経営者は、設備投資への意欲が旺盛で、銀行の融資も上手く利用しています。ベテラン経営者は、設備投資に消極的で、手持ち資金を重視します。

日系企業のベトナム人社長は非常に優秀で、日本人とのコミュニケーション能力も問題ありません。しかし完全に任せきりにすると、コンプライアンス上の問題が発生することがあります。最悪の場合、会社ごと乗っ取られるという事例もあります。

■ベトナムにおける税務
ASEAN他国に比べて税務職員のレベルは比較的高く、税務調査による不当な取り立てはそこまで多くありません。また政治リスクはあります。税法を含めた一方的な法改正により損害を被ることもあります。税関職員などによる汚職は、減ってはきていますがまだまだあります。

株式会社山善 アセアン支社 副支社長 ベトナム法人 社長 太田 左登司 氏

プレゼンテーション:山九株式会社 佐々野氏

物流の観点から見たベトナムとアフターコロナを見据えて

■事業紹介
山九は、1918年に創業した総合物流会社です。おもな事業は「プラントエンジニアリング」「ロジスティクス」「オペレーションサポート」の3つです。

従業員数は約3万人。国内には41の支店があり1万人が働いています。また全国17港湾の運送事業免許を取得しています。海外は中国・東南アジアを中心に現地法人が43あり、2万人が働いています。

山九ベトナムは2004年に設立しました。従業員は日本人17名、ナショナル従業員が380名です。拠点は北部、中部、南部に11拠点あります。

■ベトナム物流事情
ベトナムの港湾は、北部のハイフォン、中部のダナン、南部のホーチミンに集中しています。

ハイフォン港は水深が浅く、大型船が寄港できない問題を抱えており、沖合を埋め立て新たに「ラックフェン港」を建設中です。現在800mまでできており、将来的に10kmまで伸ばす予定です。

ホーチミン港でも「カイメップ-チーバイ港」という大型ターミナルを建設中で、今後大型船の寄港が可能になります。

ここ20年間、ハイフォン、ダナン、ホーチミンのすべてでコンテナの取扱量が増えています。特に今年はアメリカ向けの貨物が急増し、運賃の高騰やコンテナ不足が発生しています。

また航空貨物は、北部はハノイ・ノイバイ国際空港、南部はホーチミンタンソンニャット国際空港で取り扱われています。

佐々野 健二 氏

佐々野 健二 氏

■いま、なぜベトナムか?
ベトナムは平均年齢が32歳と若く、自然災害が少ない特徴があります。

私見ですが、ベトナム人の国民性は目上の人を敬い、家族第一、交渉上手で世話好きです。一方で、時間にルーズで自己中心的、プライドが高く計画性がない面もあります。

ベトナムの魅力は「労働力が安価で若く質が高い」「反日感情がない」「治安が良い」「購買力が高い(貯金をしない)」「女性活躍の場が多い」などが挙げられます。

一方でベトナムの欠点は「若いがゆえに人材が不足している」「低賃金ゆえに今後の上昇は避けられない」「離職率が高い」「インフラ整備の不足」「素材産業が未発達」「裾野産業が脆弱」などが挙げられます。

ベトナム人の社員を育成するにあたっては以下が挙げられます。

・勝手な思い込みが強いため、大切なことは日本人がしっかり伝える
・不正防止のためにルールを明文化する
・3ヶ月に1回は個人面談を実施する(誕生日会、食事会、社内旅行は喜ばれる)
・給与以外に権限や責任を持たせるなどの工夫をする
・スタッフの家族を会社のファンにする(絶大な効果あり)
・人材の流動性はある程度容認して組織を作る

■アフターコロナを見据えたビジネスチャンス
世界はこれから、より強靭で自足可能なサプライチェーンを構築していきます。そしてAI化、オンライン化、デジタル化、リモート化が進んでいきます。

企業はBCP(事業継続計画)への取り組みを見直し、ベトナムにおいては特に東西南北の河川を利用したモーダルシフトが注目されています。また北部のハイフォン、中部のダナン、南部のホーチミンでは輸出が増加し、世界の物流経由港になっていくでしょう。

山九株式会社 ベトナム法人 ディレクター 佐々野 健二 氏

募集要項

イベント名 CREベトナムフォーラム2020|いま、なぜベトナムか? アフターコロナを見据え、その投資先としての魅力を探る 
日時 2020年11月11日(水) 13:45受付開始 14:00開始 17:00終了 ※日本時間となります 
会場 オンライン受講
(※弊社開催のオンラインセミナーではZoomというツールを使用します。当日は参加用URLをクリックいただければそのまま参加可能です)  
参加対象者 ベトナムへ進出済み企業様、ベトナムへの進出を検討する企業様 
参加費/定員 無料/100名限定(1社複数名ご参加の場合、参加者様全員のお申込みが必要です) 

本件に関するお問合せ

お問合せ先:株式会社シーアールイー マーケティングチーム
担当:石原(イシハラ)・近藤(コンドウ)
メール:leasing_mail@cre-jpn.com
電話:03-5572-6604

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