物流

ベトナムにおけるバイク配送最新事情〜ラストワンマイル物流の構築に向けて〜

ベトナムにおけるバイク配送最新事情〜ラストワンマイル物流の構築に向けて〜

今回はベトナムのラストワンマイル物流について、ニーズの増加や参入している企業等の状況を報告し、また今後の課題についても考察します。

ベトナムにおけるラストワンマイル物流の現状

ここでは、ベトナムにおけるEC市場拡大に伴うラストワンマイル物流へのニーズ増加を概観します。
物流における「ラストワンマイル」とは、最終拠点からエンドユーザーへの物流サービスことです
ラストワンマイル物流は各国で競争が激化している分野であり、ベトナムでも既存の大手事業者に加え、新規事業者が多く参入しています。

EC市場拡大に伴い、ラストワンマイル物流に対するニーズも増加している

ベトナムのEC市場規模は2018年で28億ドル、2025年までに150億ドルに達すると見込まれています。
また、2019年の調査では、ベトナムの EC利用率は77%、インターネット普及率は66%といずれも世界平均を超えており、EC利用率に関しては日本や韓国を上回っています。
ベトナムEC市場の成長に伴い、EC物流市場も拡大を続けており、2018年で1億300万ドルに達し、2022年までに年平均42%の成長が予想されています。

現在約50社がEC物流サービスを提供。コロナ禍の外出制限も市場拡大を後押し

ベトナムでは、現在約50社がEC物流サービスを提供しています。
VN Post、EMS、Viettel Post等の旧来の郵便配達サービス企業は全国配送ネットワークを持ち、特に農村地域に強く、配送需要に対応してきました。また日本企業では佐川急便等も参入し、現地企業を買収するなどしてシェアを拡大してきました。
一方で、都市部の消費者は先進国の消費者と同様、より迅速で安価な配送を求めており、これに応えるサービスを提供するベンチャー企業の参入も顕著になっています。
また、ホーチミン市やハノイ市ではコロナ禍による外出制限が継続中です(2021年8月現在)。こうした中、ECサイト購入品の配送だけでなく、食品や日用品などの買い物代行サービスを含めた配送ニーズが増えています。

ベトナムのラストワンマイル物流サービス事例

ここでは、ベトナムでラストワンマイル物流サービスを提供するベンチャー企業を紹介します。

Giao Hang Nhanh (GHN)

Giao Hang Nhanh (GHN)は2012年に設立されたベンチャー企業で、現在では7,000人超の配送スタッフを抱え、1日当たり約15万件の配送を行っています。
ECサイトのLazada、Shopee、Sendo、Tiki等と提携するほか、販売個人事業主とドライバーをアプリでマッチングするシェアリングサービス「Ahamove」を2015年に立ち上げ、都市部の中小EC事業者の需要にも対応。

Market Oi(マーケット・オイ)

ホーチミン市中心部限定のデリバリーサービス 、Market Oi(マーケット・オイ))は野菜からお弁当、日用雑貨まで幅広い商品を注文することができる、買い物代行を含む配送サービスです。
こちらもコロナ禍による外出制限で需要が伸びており、利用者が増加しています。

配車アプリGrab(グラブ)

Grab(グラブ)は配車サービスのベンチャー企業ですが、その他に配達員(主にバイク)をアプリで呼び、指定の場所まで荷物を届けるサービス「Grab Express(グラブエクスプレス)」も提供。
2kmまでが定額の1.5万VNDで、それ以降は配達先までの距離に応じて+5,000VND/kmとなっています。

Ninja Van(ニンジャ・バン)

2014年にシンガポールで創業したNinja Van(ニンジャ・バン)はシンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナムで事業を展開。
ベトナムでは先述のGrab(グラブ)と提携し、Grab利用者にも配送サービスを提供しています。

まとめ

ベトナムのラストワンマイル物流はEC市場の拡大に伴い、配送量やニーズが増加しています。一方で、商品の損傷や遅配、誤配といったトラブルが多いとの指摘も。
こうした問題はEC市場の発展を妨げるため、ベトナム国家も解決すべき課題として認識し、対策を講じているところです。ベトナム商工省傘下の電子商取引・電子経済局(IDEA)は「一貫性のある、統合された電子商取引の物流インフラの構築」を2025年までの目標としており、部分的に断裂しているベトナムの国家的サプライチェーンを補完したい考えを示しています。
特に重視するのが、ラストワンマイル物流の分野で、宅配業界に向けたさまざまな優遇措置を視野に入れて計画を推進しています。
日系企業など外資企業やベンチャー企業の参入による競争が、配送の品質向上につながる可能性もあり、今後の動向を注視したい業界です。

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