新型コロナウイルスのパンデミックによる外出制限等、生活スタイルの大きな変化を余儀なくされたベトナムで、消費者のEC利用はどれほど増えているのでしょうか?
今回はコロナ禍によるベトナムEC市場への影響や、実際に売れている商品などについてお伝えし、参入のためのヒントを探ります。
【2021年】パンデミックでベトナム人のEC利用はどれほど増えた? 購入割合の多い商品とは?
【2021年現在】パンデミックによりベトナムでのEC利用は増加している

コロナ禍のベトナムで、EC市場が成長を続けています。背景にはまず、2010年以降、毎年6~7%の高い成長率を維持するベトナム経済の好調があり、コロナ禍の影響を強く受けた2021年も6.5%の経済成長を予測。経済発展による所得水準の上昇に伴い、購買力も上がっていると考えられます。
中・高所得層を中心に健康食品や基礎化粧品の利用が伸びていることなどから、ASEAN諸国の中でもベトナムは特に注目されている将来有望な市場です。
コロナ禍によりオンラインショッピングの時間が増加
コロナウイルス流行以前、ユーザーのオンラインショッピング時間は一日平均3.7時間でしたが、コロナウイルス流行中の同時期では4.2〜4.7時間となりました。
ECサイトではショッピーがトップで市場を牽引
2021年4~6月において、ベトナムECサイトの中ではShopee(ショッピー)の月間平均訪問者数が7297万件と最多でした。ショッピーの訪問者数は前期比+14.6%増加し、12四半期連続でトップを維持しています。ラザダLazada(ラザダ)の訪問者数は2042万件(同+13.8%増)で、Tiki(ティキ)の1719万件(同▲9.6%減)を抜きました。
特に伸びているのはどんな商品?

ベトナム商工省の調査によれば2020年、ベトナムのEC売上高は前年比18%増の118億USD(約1兆3000億円)で、直近5年にわたり堅調な成長を維持しています。
2020年にオンラインショッピングをした人の数は、前年に比べ450万人多い4930万人で、一人当たりの購入額は+15USD(約1650円)増の240USD(約2万6400円)でした。また、オンラインショッピングを一回以上したことがある人の割合は、前年の77%から88%に上昇しました。
オンラインで購入する割合が多い商品やサービスのトップ10は以下の通りとなっています。
(カッコ内は利用したことのある人の割合)

◯食品(52%)
◯衣服・履物・化粧品(43%)
◯家庭用品(33%)
◯本・文房具・花・贈答品(26%)
◯航空機・鉄道・バスのチケット(26%)
◯IT・電子機器(23%)
◯ホテル・観光ツアーの予約(21%)
◯映画・コンサートなどのチケット(21%)
◯コンサルティングサービス・オンライン教育(10%)
◯音楽・動画・DVD・ゲーム(8%)
食品
各地で社会的隔離措置が適用され、食品のオンライン購入は特に増加しています。Google検索でのオンライン食料品店に関する検索件数も大幅に増加し、7月の検索数は5月比で11倍、6月比で3.6倍となりました。
衣類、靴、化粧品
衣類や化粧品などのオンライン購入も多く、こちらも外出制限の影響が見られます。また、先述したオンラインショッピング時間の伸びも、こうした服飾品の購入機会を増やしたことが考えられるでしょう。
まとめ
経済成長が続くベトナムで、EC市場はコロナ禍の影響もあり、より急速な拡大を遂げようとしていることがわかりました。市場参入には、輸送や決済方法などの障害も未だに存在します。しかし、その一方でSNSを活用したテスト販売など、新規の販売手法も受け入れられつつあるようです。
ベトナムEC市場参入を狙う企業は、自社の商品に適した販売チャネルを選択することで、顧客獲得の可能性が高まると考えられます。