ベトナムでは今、どのような商品が求められているのでしょうか? 消費者が憧れる家電などの耐久消費財を、三種の神器と呼びます。今回は、ベトナム版三種の神器は何かを考察します。
ベトナムの三種の神器は? ~スマートフォン、その他は?~
ベトナム版三種の神器は何か?
ベトナムで人気のある、三種の神器と言える商品は何なのでしょうか?
かつてはカラーテレビ、バイク、携帯電話
ベトナムで三種の神器といえば、かつてはカラーテレビ、バイク、携帯電話と言われていました。ただし、これらの商品は所有率がテレビ96.1%、バイクでは156.2%と、すでに多くの国民が手に入れています。また携帯電話に関しては、需要がより多機能なスマートフォンへと移ってきています。
ベトナムのスマホ利用率は高水準
ベトナムは東南アジア諸国の中でも、インドネシアと共にスマートフォンの普及率が高い国です。ベトナムには約 6,130 万人のスマホユーザーがいるとされ、世界のスマホ使用ランキング上位10か国にも入っています。2021年現在、ベトナムのスマートフォン普及率は約61%と言われていますが、今後も消費者に求められる商品と考えられるでしょう。
所得の増加に伴い、人気の耐久消費財も変化しつつある
国民の所得が増えるにつれ、人気がある商品にも変化しているようです。例えばテレビはほとんどの所得層ですでに普及しているため、すでに憧れの商品では無くなってきています。バイクは普及率が150%を超えてもなお増加していますが、こちらも憧れの対象というよりも、生活必需品の性格が強いようです。
また、テレビに関しては2020年に初めて普及率が減少しました。要因としては、スマートフォンやPCでのインターネット配信視聴がテレビ鑑賞の需要を圧迫していることが考えられます。
これからのベトナム新・三種の神器
経済成長を続けるベトナムの新・三種の神器は何でしょうか?
エアコン、冷蔵庫などの家電、車の普及が進む
ベトナムでは所得の上昇により、家電等が急速に普及してきました。エアコンは中間層以上で普及が拡大中であり、特に上位中間層で急速な普及が見られます。
冷蔵庫は、高所得層では既に一世帯に一台に近づいていますが、中間層以下の層では今まさに普及しようとしているところです。洗濯機は、下位中間層から高所得層まで、幅広い層で普及台数が増加しています。
ちなみに、自動車は全体的に普及が進んでいませんが、高所得層では徐々に普及が進んできており、2018年には100世帯あたり10世帯が自動車を所有するようになりました。
スマホに加え、洗濯機とエアコンがベトナム「新・三種の神器」
出典データ:ジェトロ「ビジネス短信」
所得層によって多少異なりますが、普及率はバイク、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、自動車の順に多くなっています。
すでに普及率が150%を超えているバイクと、85.4%とやはり高い普及率の冷蔵庫、2020年に初めて減少したテレビ、4.8%と未だ高嶺の花である自動車を除くと、54.3%の洗濯機、51.0%のエアコンが、スマートフォンに加えてベトナム「新・三種の神器」と言えそうです。
若年層では電子レンジやオーディオ機器も求められている
ベトナムの若年層は、シェアハウスなどに住み、洗濯機や冷蔵庫を共同で利用している人も少なくありません。そのためか、現地で行われたアンケートでは、それらの家電よりも、電子レンジやオーディオ機器を求める人が多いという結果も見られました。
まとめ
かつて三種の神器と目されたテレビ、バイクなどがすでに普及したベトナムで、今消費者に求められているのは洗濯機、エアコン、スマートフォンといった家電です。今後さらに所得が伸びれば、自動車やPCなどのより高価な消費財へと需要が移り変わってゆくことも予想されます。