ベトナムで事業を行う上で、テト(ベトナムの正月)を理解することは重要です。
ベトナムにおいてテトは、1年の中でもっとも大きな行事であり、従業員の多くが実家へ帰省し物流にも影響が出るなど、業務へ大きな支障が出てきます。
今回は、下記4つの項目に分けてテトを詳しく解説していきます。
・テトとはなにか
・テト期間中になにが起こるか
・テトによる製造業への影響
・製造業はテトをどのように迎えるべきか
この記事を通じてテトについて正しく理解し、ぜひベトナムでの業務にお役立てください。
テト(ベトナムの正月)って何?製造業への影響は?

テトとは、旧暦(太陰暦)の正月のことです。
日本やアメリカ、欧米では新暦を採用していますが、ベトナムや中国、シンガポールなどでは主に旧暦を採用しています。
テト期間はベトナム政府によって定められ、2022年は1月29日(土)〜2月6日(日)の間でした。毎年1月下旬〜2月中旬あたりになることが多いです。
2023年の期間はまだ発表されていないものの、1月22日(日)がテトの元旦であることから、1月20日(金)〜1月26日(木)となることが予想されています。
テト期間中になにが起こるか

テト期間中は多くの人が移動することから、街の様子は普段と比べて大きく変わります。実際にどのような変化が起こるかを見ていきましょう。
ベトナム人が実家へ帰省
テト期間中はほとんどのベトナム人が実家へ帰ります。ベトナム人にとってテトは一年の中での最重要行事であり、家族への思いも強いことから、日本よりも多くの割合の人が帰省します。帰省中は、おせちを食べたり親族と会ったりすることが一般的です。
多くのお店が閉店
多くのベトナム人が実家へ帰省することもあり、テト期間中は街のほぼすべてのお店が休業します。休業期間は元旦から3日間としているお店が多いですが、なかにはテトの期間中はずっと休業とすることもあります。テト期間に利用したいお店がある方は、忘れずに日程をチェックしておきましょう。
交通機関の停止
テト期間中は、バスやタクシーなどの交通機関も停止します。「Grab」や「be」などの配車アプリでも車が拾えなくなるので注意しましょう。
ただし、飛行機は通常通り運行します。新暦を重視する日本人や欧米人にとって、毎年テト期間は旅行のハイシーズンになります。まとまった休みの取れるテト期間には、少し遠出してリラックスできる時間を過ごすのもおすすめです。
テトによる製造業への影響
テト期間中には、製造業の業務にも大きな影響が出てきます。ここからは、具体的な影響を解説していきます。
人員不足により、テト期間は基本的に営業できない
テト期間中はほとんどの従業員が帰省することから、基本的に営業ができないと認識しておくのがよいでしょう。また、テト期間前後は従業員の出社状況も悪くなりがちで、集中力も落ちる傾向にあります。日本人管理者の方は、特に注意しておきましょう。
テト後の従業員の辞職
テト後に会社を辞める従業員は多いです。辞める理由には大きく分けて3つあると考えられます。
・テト前の賞与
・モチベーションの低下
・両親に実家へ戻るように説得される
テトの1週間前くらいには、従業員へ賞与を出すのが通例です。ボーナスをもらった後に会社を辞めて、次の仕事を探そうとする人が一定数いることは理解しておくとよいでしょう。
また、テトで長期休みになることから仕事へのモチベーションが低下し、従業員がテト後に出社しなくなるケースがあります。なかには、一切連絡がないまま来なくなる人もいるので注意が必要です。
実家で両親から説得されて、地元で働くことを決意する人もいます。ベトナムは年上の意見が強く、両親の発言が与える影響は大きいです。
日本でも上記同様の理由で会社を辞める人もいますが、ベトナムではそれがより顕著に現れます。テト後の従業員の出社状況は気にして見るようにしましょう。
物流やメンテナンス業者も止まる
テト期間中は物流やメンテナンス業者も休業し、工場の作業が滞ることがあります。テト期間中も営業する会社はありますが、基本的にB to Bの会社は1週間ほど休みになります。突発的な事象は仕方ないものの、先を見越して計画しておくようにしてください。
製造業はテトをどのように迎えるべきか

テト期間中やテト前後には様々な問題が起こる可能性があります。そこで、製造業ではテトを迎えるにあたって、どのような心構えで準備を進めておくべきかをお伝えします。
人員が減ることを想定しておく
先述した通り、テト後に会社を辞める従業員は多いです。特に、社歴の浅い人ほど辞める傾向にあります。
従業員とのコミュニケーションや昇給、賞与などである程度は食い止められるものの、それでも一定数は会社を辞めてしまいます。テト後に従業員が減って業務が滞ることがないように、テト前から採用の計画を立て人材の配置を行う、などの対策が必要です。
余裕を持った納期や工程を立てる
テト前はどこの業者も忙しくなり、予定通りに進まなくなることもあります。そのため、多少のトラブルがあっても業務が滞らないような準備をすることが求められます。
また、日本の製造拠点として活動している会社では、日本側にテト期間による休暇であることを理解してもらうのも重要です。テト期間中にベトナムがどのような状況になるのかを説明し、テトに合わせた工程を計画するようにしてください。
まとめ
テトは日本人にとっては馴染みがない文化なので、企業の長期休業や従業員の離職など、知らなければ面を食らってしまうような状況に直面することもあります。ベトナムで事業を行う際には、テトによる影響について理解を深めておくことは重要です。