安いといわれるインドネシアの人件費ですが、年々上昇傾向にあることはご存じでしょうか?
日本の平均月収は20年ほど横ばいで今後の伸び代は少ないとされる中で、インドネシアの平均月収は毎年数%単位で上昇すると予想されています。
本記事では、インドネシアの人件費の上昇率や労働市場の動向を詳しくまとめました。今後インドネシアへの進出をお考えの方へ参考になれば幸いです。
インドネシアの人件費の高騰 〜平均月収の罠と労働市場の動向〜
インドネシアの人件費とは

2021年、インドネシア全土の平均月収は169.821ドル(21,906円)でした。
年によって増減はあるものの、全体としては右肩上がりで上昇しています。2020年、2021年は新型コロナの影響で停滞しましたが、ウィズコロナ・アフターコロナの時代を迎える2022年以降は再び上昇していくことでしょう。
平均月収はまだ安いといえる水準にあるものの、これはインドネシア全体の平均値であり、外資系企業が集中する都心部とローカル企業が中心の地方部では、金額が大きく異なります。
場所によってどのくらい差があるかは、次の見出しでまとめました。インドネシアの平均月収をさらに細かく見ていきましょう。
インドネシアの最低賃金とその上昇率とは

上の表は、日系企業が多く進出するエリアの最低賃金をまとめたものです。
インドネシアでは、毎年都市ごとに最低賃金が決められます。各エリアで決められた最低賃金を下回った金額で人を雇うことはできません。年によって差があるものの、毎年3%〜7%の最低賃金上昇率としているところが多いです。
また、インドネシア全土の平均月収と比較するとわかるように、日系企業が進出するエリアの最低賃金は高めに設定されています。エリアによって違いがあることを理解しておきましょう。
インドネシアの経験年数ごとの平均月収
インドネシアの大卒者で、経験年数別の平均月収は下記の通りです。

大卒者となると、平均月収はさらに高くなります。一般層と優秀な層の給与差も大きく、同じ経験年数でも年収に2〜3倍の開きがあるのは決して珍しいことではありません。
インドネシアの労働市場の動向
ここからは、インドネシア人労働市場の特徴や傾向について解説していきます。
給与至上主義で、条件のいい求人があるとすぐに退職する傾向
インドネシアでは、給与を基準に仕事を選ぶことが多いです。条件の良い求人が出ると、すぐに退職する傾向にあることは理解しておかなければなりません。
社食の充実や福利厚生など、給与以外の部分でメリットを感じられるような対策を行っている企業も多くあります。
労働人口は豊富だが、経験を持った日本語人材を探すのは難しい
インドネシアの平均年齢は30歳前後で労働人口は約1億3,000万人と、労働力が豊富な国です。
工場で働く従業員は比較的見つけやすい一方で、経験のある日本語人材の人数は限られます。マネージャークラスとなると人数はさらに限られるので、退職して代わりとなる人を見つけるのは難しいでしょう。
会社にとって重要と考える社員とは、文化や宗教観を理解したうえで密にコミュニケーションを取り、目標に応じた昇給案を事前に提示するなど、退職しない工夫が必要です。
最低賃金上昇率以上の昇給が求められる
日系企業のオフィスが集中するジャカルタ首都特別州では、2021年の最低賃金上昇率3.27%でしたが、昇給率は5%〜10%とした会社が多かったようです。
昇給率は最低賃金上昇率がベースとなり、平均以上のパフォーマンスを残した社員にはそれを上回る率を提示するのが一般的です。
インドネシアの人件費と労働市場の今後

今後も人件費は5%〜10%で上昇する見込みです。もしくは新型コロナ終息による景気回復次第では、それ以上の上昇もありえるでしょう。
昇給率は高いですが、インドネシアはそれと同等、もしくはそれ以上に経済成長をしている国です。長く働いてくれる秀でた社員に相応の給与を支払うことは、離職防止対策となり、経営の安定化が期待できます。また、経済成長に伴った社員への適切な待遇は、企業の業績アップにもつながっていくでしょう。
インドネシアの人件費の高騰 まとめ
インドネシアの人件費は、今後も高騰していく見込みです。まだ人件費によるメリットがありますが、徐々に日本との差はなくなっていくことが予想されます。インドネシアへの進出を検討する際は、5年後、10年後の人件費を見越して計画するようにしてください。