経済

新たな進出先として注目される中部ベトナムの魅力とは

新たな進出先として注目される中部ベトナムの魅力とは

ベトナムに進出した多くの日系企業が加盟する「日本商工会議所」には、次の通り合計1,973社(2022年5月現在)の登録があります。

参考:Jetro|ベトナム 概況・基本統計

すでにハノイ市やホーチミン市では、経験のある日本語人材は争奪戦になっており、人件費は高騰している状況です。そうした中、まだ進出する企業が少ないダナンやフエなど、中部ベトナムへの関心が高まっています。

今回の記事では、中部ベトナムの都市の特徴や魅力、現在抱える課題をお伝えしていきます。

中部ベトナムの進出先としての魅力

中部ベトナムの都市は、大きく分けて次の3つの特徴があります。

・人件費が安い
・治安がいい
・日本語人材が豊富

ハノイ市やホーチミン市と比較すると、中部ベトナムには複数のメリットがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

人件費が安い

ダナン市の最低賃金(月収)は、ハノイ市やホーチミン市と比べると低いデータが出ています。

参考:Jetro|ベトナム 最低賃金比較

ベトナムの賃金は年々上昇傾向ですが、進出する日系企業にとってはまだ安いといえる水準です。製造や衣類の工場など、多くの従業員を必要とする企業は、メリットを享受できることでしょう。

治安がいい

人の集まる都市は治安が悪くなりがちです。特にホーチミン市など南部ベトナムでは、銃を使った犯罪や数十人規模の抗争が起こることがあります。

ダナン市はベトナムの中でも比較的治安が安定しており、凶悪犯罪が起こる頻度は多くありません。スリや窃盗などの軽犯罪はあるので油断はできませんが、慣れれば日本人でも過ごしやすい環境となるはずです。

日本語人材が豊富

中部ベトナムには、「ダナン外国語大学」「ドンア大学」「フエ外国語大学」「ダラット大学」など、日本語教育を行う大学が複数あります。

なかでも、ベトナム最古の帝国大学であるフエ外国語大学は、トップクラスの日本語教育を行っています。中部ベトナムでも、優秀な日本語人材を獲得できることでしょう。

ベトナムの中間部に位置する物流の拠点

ダナン市やフエ市はベトナムのちょうど中間地点にあり、ハノイ市とホーチミン市にアクセスしやすいところに位置しています。ダナン国際空港からは、どちらの都市へも飛行機で1時間半くらいで行くことが可能です。

また、ダナン港は貨物取扱量で国内第三位の国際海洋港であり、ベトナム国内の物流拠点にもなっています。地理的な面からも、今後の発展を大いに期待できます。

中部ベトナムへの投資状況

中部ベトナムは海外からも注目されている地域です。下記はベトナム北部、中部、南部エリアに対する海外からの投資額を表したものです。

参考:ONE-VALUE|ベトナム中部地方における投資の有望性:投資誘致政策の観点から

上表は、新型コロナウィルスが流行する2年前のデータですが、ハノイ市のある北部ベトナム、ホーチミン市のある南部ベトナムよりも、中部ベトナムへの投資が集まっていることがわかります。

今後さらなる投資が期待されるプロジェクトは下記の通りです。

・2020年7月、米国の石油ガスグループMillenniumが液化天然ガス(LNG)プロジェクトに150億ドルの投資を提起
・日本のJ-POWER(電源開発株式会社) は、ガスタービン・コンバインド・サイクル発電所(出力3000MW、投資総額約32億ドル)のプロジェクトを具現化したい意向
・イオンが、ダナン市へのショッピングモール開発の投資・事業を行う方針示す

中部ベトナムへ投資が盛んなのは、今後の伸び代を期待してのことだと考えられます。

中部ベトナムの各都市の特徴

中部ベトナムには、「ダナン市」「フエ市」といった2つの主要都市があります。それぞれの都市の特徴を詳しく解説していきます。

ダナン市

ダナン市は、人口1,169,500人(2020年時点)の中部ベトナム最大の都市です。気候は1年を通じて温暖で、気温が20℃を割ることはあまりありません。観光地としても人気で、コロナ渦前は日本からも多くの観光客が訪れていました。

日系企業の投資も盛んで、ダナン日本商工会の会員企業数は年々増え続けています。製造、食品加工、建設、ITなどさまざまな企業がダナンへ進出しています。

フエ市

フエ市はベトナム最後の王朝であるグエン王朝が1802年〜1945年の間置かれた都市です。ベトナムの中でも暑い地域として知られており、5月〜8月の間は35℃を超える日も少なくありません。

フエ市にはフエ外国語大学や日本語教育センターが複数あり、日本語教育が盛んです。物価は中部ベトナムの中でも安く、ダナン市に進出するよりもコストを抑えられることでしょう。

中部ベトナムの懸念材料

中部ベトナムには多くの魅力がある一方で、懸念材料も存在します。インフラ面、医療面、気候面について、それぞれ詳しく解説していきます。

インフラ面

ダナンでは、停電や断水が起こることがあります。インフラ面が十分に整備されておらず、生活で不便を強いられることも多いです。

医療面

ダナンには「ファミリーメディカルプラクティス ダナン」「ダナンTMMC総合病院」などの病院がありますが、ハノイ市やホーチミン市と比較すると数は少ないです。

また、日本ほど医療水準が高くないので、満足な治療を受けられないこともあります。

気候面

ダナン市は海に広く面しており、気候の影響を受けやすいです。例年10月〜11月は台風シーズンになり、暴風や津波に悩まされることになります。

気候により物流にも影響が出てくることがあるので、この時期は工程や納期にも注意が必要です。

中部ベトナムの進出先としての魅力 まとめ

中部ベトナムは人件費、日本語人材、地理的な利点など、魅力が多い地域です。これから進出する企業も十分なメリットがあるといえるでしょう。

海外からの投資も進んでおり、今後はさらに進出企業が増えると考えられます。ベトナムへの進出をお考えの方は、ぜひ中部ベトナムを候補に加えてみてください。

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