年々発展を遂げるハイフォン ~ベトナム有数の港湾都市の今~
ハイフォン市はベトナム北東部の海沿いに位置しており、ハノイ市、ホーチミン市に次ぐ第3位の人口を有する都市です。ベトナム最大級の貿易港「ハイフォン港」があり、北の玄関口として毎年経済成長を遂げています。
ハイフォンには貿易や製造、商社を中心とした業態の企業が進出しています。今後も日本を始め、世界各国からも多くの投資が集まることでしょう。
本記事では、ハイフォンの特徴やビジネス、住環境などの最新情報を詳しく紹介していきます。
ハイフォンの特徴

ここでは、ハイフォンの基本情報をまとめていきます。
200万人以上が住むベトナム第3の都市

ハイフォンには約205万人(2020年)の人口がいます。よくベトナム第3の都市として紹介されるダナンの人口は117万人ほどであり、実はハイフォンに住む人の方が圧倒的に多いです。
気候は比較的温暖で、冬でも10℃を下回ることはあまりありません。しかし、海沿いの地域であるため風が強く、気温以上に寒く感じることもあります。冬場に訪問する方は、防寒対策が必要です。
ベトナム北部への物流拠点
ハイフォンはベトナムの北東部にあり、ハノイへの物流拠点となっています。ハイフォン港は、サイゴン港と並ぶ国内最大規模の港であり、東南アジア、東アジアなど各国への直行便が運行しています。
ハイフォンからハノイへの道路も整備され、約1時間半ほどで移動することが可能です。ベトナムは靴や洋服、木製品や食料品などを外国から輸入しており、日々多くの車が両都市間を行き来しています。
ハイフォンと中国を結ぶ道路が開通予定
ベトナムと中国は隣り合う国であり、輸出入が盛んに行われています。
ハイフォンは中国国境の町モンカイとハノイ市の中間に位置する街で、将来的に高速道路が開通することになっています。現在は中国の出入国規制を敷いているため往来が自由になってはいませんが、解除され道路が開通した際には、さらなる発展が見込まれることでしょう。
ハイフォンのビジネス事情
続いて、ハイフォンの経済成長率や投資状況を見ていきましょう。
毎年高い経済発展を遂げる

2021年は新型コロナのパンデミックの影響により、ベトナムの多くの都市が成長に伸び悩む中で、ハイフォンは「12.38%」の成長を記録しました。
この背景には建設業や製造業の伸びがあったとされています。建設業で「19.04%」、製造業で「22.46%」の伸びを記録し、経済成長に大いに貢献しました。
また、ハイフォンの最低賃金は2022年7月に月額468万ドン(約2万7,144円)となり「5.9%」増加し、ハノイやホーチミンと肩を並べるまでになってきています。
各国から多くの投資が集まっている
ハイフォンには、アジア各国から外資企業が進出しています。
日系では製造業や、輸出入を行う貿易業、通関手続きや船便の手配を行うフォワーダーなどを中心とした会社が多く構えています。
また、地理的に近い中国や、ベトナムへの投資が盛んな韓国の企業も多いです。
2022年4月には、韓国企業を対象とした投資振興イベントが開催され、2021年〜2025年の間に新たに15ヶ所の工業団地を設立することが発表されました。
各国の投資が集まるにつれて、インフラや住環境の整備も進んでいくことでしょう。
インフラ増強工事が盛ん
ハイフォン港は年間4千万トンほどの貨物を取り扱うことができる大型港です。しかし、ベトナム経済が発展したこともあり、近年は制限を大きく超える量の見通しが立っており、パンクすることが懸念されていました。
そうした中で、設立されたのが「ラックフェン港」です。ラックフェン港はアクセスしやすい位置にあり、ハイフォン港で抱えきれない貨物を取り扱うために作られました。
ラックフェン港は順調に稼働しており、今後数十年をかけて拡張工事を行うことも決定しています。
また、ハノイのノイバイ空港でも、2025年までに旅客取り扱い能力拡張のための工事が着工する予定です。さらなる経済発展に向け、インフラへの投資が盛んに行われています。
ハイフォンの住環境

続いて、ハイフォンの観光資源や住居を紹介していきます。
海が近く観光資源が豊富
ハイフォンは、観光地としても有名な場所です。
ハイフォン市内から船を乗り継いでいけるカットバ島では、たくさんの鍾乳洞や豊かな自然を堪能することができます。また、昔ながらの生活様式で暮らす漁村のベトハイ村、新鮮なシーフードが食べられるカットバシーフードマーケットなど、見どころも多くあります。
ハイフォンは、釣りやカヤッキング、サイクリングといった自然の中で行うアクティビティが豊富です。ハノイ滞在時の小旅行にもおすすめできる場所です。
日系のホテルやマンションの建築が進む
建設業が大きな伸びを記録したように、ハイフォンではホテルや大型マンションの建築が盛んです。
日系では、合計250室を備えたホテル「ホテル・ニッコー・ ハイフォン」、株式会社タカラレーベンが管理する「ザ・ミナト・レジデンス」、大和ハウスの「ロイジェント・パークス・ハイフォン」がすでに竣工しています。
ハノイやホーチミンと比較するとまだ見劣りするものの、ハイフォンの住みやすさは年々向上しています。
2020年にはAEONモールが誕生

2020年12月に「イオンモール ハイフォン レチャン」がオープンしました。
敷地面積約70,000㎡に約190の専門店があり、日本人が代表を務めるイタリアンレストラン「Pizza 4P's」や、スポーツブランドの「LACOSTE」、ホームセンター「コーナン」などがテナントに入っており、利便性が大きく向上しています。
イオンはベトナムで成功している日系企業の一つであり、今後はフエやダナンでも出店する予定があるようです。
まとめ
ハイフォンは、ベトナム全体の成長率を大きく上回る伸びを記録している都市です。
中国国境とハノイの中間に位置し、海沿いに大きな港がある、人口も多いなど、今後伸びる余地も十分にあると考えられます。特に、製造や商社、物流、貿易を行う企業は、地理的なメリットを多く享受できることでしょう。
ベトナム進出を検討している方は、ぜひハイフォンも候補に入れてみてください。