【拡大し続ける市場】ベトナム デジタル化の展望
ベトナムの国民の多くはスマートフォンを保有し、日常生活でさまざまなアプリを利用しています。平均年齢は31歳と若く、新しいものを抵抗なく受け入れられる基盤があり、日本より電子化・デジタル化は進んでいるといえるでしょう。
今回の記事では、ベトナムの電子分野についての解説と、関連するツールやアプリを提供する大企業を紹介していきます。
ベトナムの電子分野

ここでは、ベトナムの主な電子分野を紹介していきます。
・電子決済
・オンラインバンキング
・電子書籍
・電子署名
・電子商取引(EC)
それぞれ詳しく解説していきます。
電子決済
ベトナムでは、成人の3人に2人は電子決済口座を持っており「ViettelPay」「VNPAY」「Moca」「MoMo」など多くのアプリが利用されています。電子商取引を行うシステムを提供するNAPASによると、2022年は前年比で取引数が96.5%増、取引額が87.3%増と爆発的な伸びを記録したようです。
電子分野の中で、電子決済はもっとも伸びているといえるでしょう。
その分競争も激しく、使いやすさを追求し、クーポンやキャッシュバックなど魅力的な特典を提供するなど、各社でユーザー獲得のために凌ぎを削っています。
電子書籍
ベトナム人は読書の習慣がないですが、近年は紙媒体の本の売り上げが徐々に上がっています。それに伴い、電子書籍にも注目が集まっているようです。
電子書籍配信プラットフォームには、ベトナム国内企業が運営する「Waka」や「ebook.vn」などがあります。日本で有名なKindleは、Amazonがベトナム国内で知名度が低いこともあり、知る人は多くありません。
電子署名
ベトナムでは諸外国と同様に、書類のチェックや契約同意時にサインを用います。以前までは直筆サインのみが認められていましたが、新型コロナの影響により出社や対面での打ち合わせができなかったことから、一部で電子署名を認める動きが見られます。
サイン文化のベトナムで、電子署名は非常に便利なものといえるでしょう。現時点では法律上の規制がありますが、今後緩和されればすぐに浸透することになりそうです。
電子商取引(EC)
ベトナムの電子商取引(EC)市場は、電子決済と並ぶ成長分野です。2020年から2021年には前年比で25%以上の成長を記録し、新型コロナが落ち着いた2022年以降も同程度伸びていくと予想されています。
ベトナムではShopeeが市場シェアの70%超を獲得していて一人勝ち状態で、その後ろにはLazada、Tikiと続きます。Shopeeに対抗すべく、最近は配送サービス会社を買収したり、特化した製品を扱い差別化を図っていますが、各社の順位は変わっていません。
電子分野の大企業

続いて、電子分野のベトナム大手企業を4つ紹介していきます。
・Viettel(ViettelPay)
・M_Service(MoMo)
・Vietcombank
・Tiki
各社の概要や、提供しているサービス・ツールについて解説していきます。
Viettel(ViettelPay)
Viettelは国内携帯シェアでトップであり、通信分野では圧倒的な強さを誇る会社です。Viettelでは、ViettelPayという電子決済アプリを提供しています。
アプリは使いやすいシンプルな画面が特徴で、公共料金の支払いや定期券の購入、ECサイトでの支払いなど、日常のさまざまな場面で利用されています。
M_Service(MoMo)
M_Serviceが提供するMoMoは、Viettel Payと並び多くのベトナム人に利用されている電子決済アプリです。銀行口座を持たない人でも利用できるアプリとして、若者を中心に普及しました。
MoMoは支払いをするとキャッシュバックを受けられる、アプリ内でキャンペーン価格で買い物できるなど、ユーザーにとって多くのメリットがあります。最近は電子決済だけでなく、オンラインショッピングや旅行予約もできる、スーパーアプリへとなりつつあります。
Vietcombank
Vietcombankは、国内銀行BIG4の一端を担う国営銀行です。日本のみずほ銀行が株を保有していることでも知られており、為替取引や資産運用、保険などに強みがあります。
Vietcombankのアプリでは、出入金だけでなく、オンラインショッピングや携帯のプリペイド支払い、QRコード決済も可能です。ベトナム在住の日本人にも多く利用されています。
Tiki
Tikiはベトナム国内の電子商取引(EC)で3位につける会社です。1位のShopeeが幅広い価格帯を扱うのに対して、Tikiでは比較的高単価で品質の高いものを中心としています。
外資系のShopeeやLazadaが事業を多角化していることに対し、Tikiではベトナム国内に根ざして展開する姿勢を示しています。今後ベトナムの経済が発展し生活が豊かになる中で、シェアを拡大していけるかに注目していきましょう。
ベトナムの電子分野の今後
ベトナムでは、日本以上のスピードで電子化・デジタル化が進んでいます。
国内に4社あるユニコーン企業のうち3社(VNG、VNLife、Momo)が電子決済に関する事業を行っています。国民が若く消費意欲も旺盛なことから、今後しばらくは電子分野の成長が続きそうです。
まとめ
ベトナムは毎年100万人以上増え続けており、数年以内には人口が1億人を超えると予想されています。市場が年々大きくなる中で、電子決済や電子商取引(EC)は生活に着実に定着しています。
今後も電子分野を扱う企業が多く誕生し、人々の生活をより便利にしていくことでしょう。