経済

近年のベトナム交通事情の変化 ~車急増の中で発生する複数の問題~

近年のベトナム交通事情の変化 ~車急増の中で発生する複数の問題~

ベトナムの交通というと、エンジン音を鳴らしながらひっきりなしに走るバイクをイメージする人も多いかと思いますが、近年変化が見られます。人々の生活水準が上がるとともに車を持つ人が増え始め、世界的なエコ化の流れから電動バイクを推進する動きが進んでいます。

現時点ではガソリンで走るバイクが交通の中心ですが、今後どのように変化していくのでしょうか。

本記事では、ベトナムの交通事情や現在抱えている問題、今後の展望などを詳しくまとめていきます。

近年のベトナム交通事情

ここでは、近年のベトナムの交通事情を紹介していきます。

・車の販売台数が年々増加
・国産車メーカー「ビンファスト」の台頭
・街中では路上駐車や渋滞が多発
・バイクの販売台数増加も電動バイクに移行する動き

新型コロナの影響が弱まり、販売台数の増加や国産車の輸出など、前向きな話が多く見られるようになりました。それぞれ詳しく見ていきましょう。

車の販売台数が年々増加

出典:JETRO|ビジネス短信

車の新車販売台数は年々増加傾向です。新型コロナの影響により、2019年から2020年にかけては減少していますが、2021年以降は右肩上がりを続けています。

しかし、銀行金利の上昇などや景気の悪化を理由に、2022年12月は前年同月比で30%ほど減少しました。2023年の見通しは不透明な状況となっています。

国産車メーカー「ビンファスト」の台頭

ベトナムでは、以前まで車をほぼ100%輸入に頼っていましたが、近年はビングループの車メーカーであるビンファストが販売台数を増やしています。

2022年11月には、自社ブランドの電気自動車(EV)999台を米国向けに輸出したことでも話題になりました。現在、国内向けには電気自動車とガソリン車の2種類を販売しており、街中でビンファストの車を見ることが増えました。

今後は電気自動車に向けた充電ステーションの設置を行うなど、環境の整備を進めていくようです。

街中では路上駐車や渋滞が多発

ハノイ市やホーチミン市では、出社・帰社の時間帯には街中で渋滞が発生します。

これは、従来バイクが交通の中心であったため、駐車場が十分にないことや車線が少ないことが原因となっています。特にホーチミン市では狭いエリアに見所が密集していることから、移動に数時間かかることも少なくありません。

渋滞対策のために、高架橋や車線の拡幅工事を進めていますが、改善には至らず年々状況は悪化しています。

バイクの販売台数増加も電動バイクに移行する動き

車とともに、バイクの販売台数も増加傾向です。2020年は約270万台、2021年は約250万台と前年比で減少しましたが、2022年は300万台超えを果たし、順調に回復している様子が見られます。

バイク市場ではホンダやスズキ、ヤマハなどの日系企業が大きなシェアを獲得しています。

しかし、バイクの排出ガスによる大気汚染への懸念や世界的なEV化の流れから、電動バイクへの移行が進んでいるため、今後は時代に合わせた変化が求められるでしょう。

ベトナムの交通が抱える問題点

現在、ベトナムの交通には複数の問題点があります。

・渋滞による経済損失
・交通マナーの悪さ
・市内の鉄道計画の進捗は遅れ気味

それぞれの問題点について、詳しく解説していきます。

渋滞による経済損失

ホーチミン市では、交通渋滞により年間8,200億円の損失があるといわれています。

ベトナムの経済の要所であるホーチミン市内は、バスやバイクの移動が中心で、地下鉄や電車は走っていません。道路は基本的に2車線しかなく路上駐車も多いため、毎日渋滞が発生しています。

渋滞が経済成長を阻害しているといっても過言ではなく、鉄道の開発や車線の拡幅など、交通システムの改善は急務です。

交通マナーの悪さ

日本からベトナムへ行って、あまりの交通マナーの違いに驚いたことがある人も多いことでしょう。特にハノイ市の交通マナーは悪く、3人以上で乗車、信号無視、ヘルメットのない運転、スマホを見ながらの運転はあちこちで見られます。

また最近は厳しくなってきているものの、いまだに飲酒運転する人も多いです。年間の事故件数は1.1万件、死亡者は6,265人と、減少傾向ではあるものの、毎年少なくない人数が事故に遭い亡くなっています。

市内の鉄道計画の進捗は遅れ気味

2021年11月、ハノイ市では市内を走る都市鉄道が開通しました。ベトナム初の都市鉄道であり、年間で740万人に利用されています。

しかし、この鉄道計画の着工は2011年であり、開通まで10年を要しました。当初は2015年完成予定でしたので、6年ほど遅れたことになります。

現在ホーチミン市でも開発が進んでいますが、ハノイ市の計画と同様に大幅な遅れが発生しています。2012年に着工した後、ようやく2022年12月に初の試運転が始まり、2023年内の完成を予定しているようです。

ベトナムの交通事情の今後

年によって変動はありますが、ベトナムは今後しばらくは経済成長を続け、EV車やバイク、電動バイクの販売台数が増加すると考えられます。

また、ホーチミン市では1号線の都市鉄道の開通、ハノイ市では2号線、3号線の開通予定がありますが、渋滞解消につながるのはまだ先になる見込みです。

ホーチミン市の人民委員会主席は「1路線ずつばらばらに開発していくとすれば、2045年になってもメトロシステムは完成しない」と述べています。今後は各社足並み揃えて開発を進めていくことが求められます。

まとめ

ベトナムが経済発展をする中で、バイク中心から車へと少しずつ移行しつつあります。以前までは、車は富の象徴として富裕層のみが所有していましたが、最近では一般層でも購入する人も増えてきています。

2023年以降もさらにこの流れは進むでしょう。都市鉄道や道路工事、駐車場の開発など、交通に関するプロジェクトは今後も多く出てくると考えられます。

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