不動産

【情勢の変化】ベトナムの不動産市場の今

【情勢の変化】ベトナムの不動産市場の今

ベトナムの不動産市場は、ここ数年で急成長を遂げてきました。ハノイ市やホーチミン市を中心に一等地に高層マンションの建設が行われるようになり、一部は外国人でも購入することができます。

不動産価格が年々上昇しバブルのような状況が続いていた中、新型コロナが発生し業界の大物が相次いで逮捕されるなどネガティブな出来事が相次ぎ、情勢が変化しています。

本記事では、ベトナムのマンションやアパートなど住宅用の不動産について解説していきます。

ベトナムの不動産の今

まずは、ベトナムにおける近年の不動産や賃貸の価格変動について解説します。

不動産

マンション価格は2021年頃まで年々上昇していましたが、2022年中旬から下落する動きが見られます。

不動産価格が年々上昇していたベトナムでは、新築物件の建設中に代金の一部を支払い購入する「プレビルド」と呼ばれる方法が盛んに行われてきました。しかし、景気の悪化や2022年に住宅ローンが「9.0%→13.0%」に上昇したことで、不動産市場の低迷が始まりました。

低い金利で数年前に購入していた人が、金利の返済に迫られ、安い価格で手放さなければならない状況に陥っていることも少なくありません。

2023年に入ってからもベトナム経済は伸び悩んでおり、不動産価格は低迷を続けています。

賃貸

ベトナムの賃貸相場は、新型コロナが流行していた2020年から22年の上期までは大きく下落していました。これは、不動産市場全体の不況に加え、新規の契約が増えづらかったことが原因と考えられます。

その後、新型コロナが沈静化し始め人々の移動が活発になり、2022年の第4四半期には大幅に相場が回復しました。これにはベトナム在住の日本人も影響を受け、オーナーから更新時に20〜30%の家賃値上げを通達され、引越しを余儀なくされた人も多くいます。

家賃の値上げは、賃貸で生活する人の大きな悩みの種となっています。

ベトナムの不動産の特徴

ここでは、ベトナムの不動産の特徴を述べていきます。

・ベトナムでは土地の所有権は認められない
・外資系企業は土地を借りる必要がある
・外国人は一部のマンションを購入できる
・完成が遅れることがある
・契約面のリスクがある

それぞれ、詳しく解説していきます。

ベトナムでは土地の所有権は認められない

ベトナムには「土地は全人民が所有する公財産」という考え方があります。ベトナム人と外国人いずれの場合にしても土地の所有権はなく、国から使用権を認められる形になります。

外国人が不動産投資を行う場合は、マンションやコンドミニアムなどの物件を購入することが一般的です。

外資系企業は土地を借りる必要がある

ベトナムでは、外資系企業が工場を建てる場合でも土地の購入はできません。個人と同様に国から使用許可を受けるか、ベトナム企業からサブリースする形で土地の使用権を取得します。

外資系企業は、土地の上に建てられる建物を購入することができますが、賃貸として貸し出すことはできません。しかし、ベトナム企業から賃貸している場合は、第三者に転貸することができます。

外国人は一部のマンションを購入できる

以前はベトナムには不動産に関する強い規制があり、外国人投資家には魅力的な市場ではありませんでした。しかし、2015年に法律が改定されたことにより、一部のマンションは個人の外国人であっても購入できるようになっています。

外国人が購入するには、いくつかの特別な条件があります。

・建物によっては購入できないことがある
・中古物件の購入は、外国人が保有している場合のみ可
・マンションの場合は総戸数の30%まで、一軒家の場合は一街区につき250戸まで

建物によってルールが異なるので、購入前には必ず確認するようにしてください。

完成が遅れることがある

ベトナムでは建設を行う際の資金の多くを、金融機関からの借り入れや他の事業での売上から充当する傾向にあります。

工事が始まっても、資金のショートやプロジェクトの採算性などを理由に中断することがあります。もし、中断してしまった場合は、物件の引き渡しが行われないだけでなく、支払ったお金が返ってこない可能性も高いです。

日本ではあまり考えられないですが、ベトナムでは中断され放置されているプロジェクトは多数存在します。新築物件を購入する際は、どのような会社が関係しているか、実現性のあるプロジェクトなのかを、入念に必要に調べなければなりません。

契約面のリスクがある

ベトナムでは、権利書が発行されないことや、パートナー会社の持ち逃げ、案件自体が詐欺であるなど、契約に関するさまざまなリスクがあります。

2018年頃には、不動産案件投資許可を受けることなく営業していたベンチャー企業が、実在しない「住宅用地」を売り捌き、4,500人以上から多額の資金を集めたという事件も起こりました。

このような事件は今後も発生する可能性があります。

多額の資金が動く不動産投資には、弁護士と契約することが一般的です。プロジェクトの信頼性から契約内容など、幅広い項目の確認が求められます。

まとめ

ベトナムでは、大家が強い権限を持っています。

賃貸の更新時期に数十%の家賃値上げが通達されることも少なくありません。また、別の人が住む、転売するなどの理由で追い出されるケースもあります。日本とは事情が異なることを理解しておきましょう。

ベトナムの不動産は魅力的な市場です。しかし、完成の遅れや契約面でのリスクがあります。物件を購入する場合は、弁護士と契約する、日系や外資の会社から購入するなど、リスクを減らすための対策を行うようにしてください。

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