ベトナムとインドネシアの日本語学習事情
東南アジアの国々は日本から地理的にも近く、日系企業も多く進出していることから、数万人単位での日本人在住者がいます。街中で日本語を見かけることも少なくありません。
そうした国の中でも、ベトナムとインドネシアは特に日本語学習者が多いです。学習者の中には、日本人と思えるほどの高い日本語のスキルを持った人もいます。
本記事では、ベトナムとインドネシアの日本語学習者数や学習事情、日本語人材が活躍するポジションをまとめていきます。
ベトナムの日本語学習事情

最初に、ベトナムの日本語学習事情を紹介していきます。
日本語学習者は約17万人
ベトナムの日本語学習者は現在約17万人です。ここ数年の伸びは大きく、2015年の6.7万人から2018年には17.4万人と、3倍近く増加しています。
要因としては、ベトナムの国家大学で日本学科が設立されたことや、技能実習生として日本に行く人が増えたことが考えられます。
日本への留学、就職を希望する人が多い
ベトナムは親日国の一つであり、日本への留学、就職希望者も増加傾向です。
ベトナムの平均月収は約4万円ほどであり、日本で得られる給与とは大きな差があります。日本へ留学した後に日本国内で就職することを目指すベトナム人は多いです。
しかし、日本経済の成長性や円安の懸念から、やや関心が薄れつつあることも事実です。今後減少に転じる可能性も十分にあります。
アニメ、アイドルなど日本の文化が浸透
アニメ、アイドル、伝統芸能など、日本の文化を伝えるイベントも定期的に開催されています。2023年は日本とベトナムの外交関係樹立50周年であり、ハノイ市で狂言のイベントが行われました。
また、ベトナムで和食を好む人も多く、ハノイ市やホーチミン市には日本をイメージした高級料理店もあります。
インドネシアの日本語学習事情

続いて、インドネシアの日本語学習事情を紹介していきます。
日本語学習者は約71万人
インドネシアの日本語学習者の数は約71万人です。この数は中国に次ぐ数字であり、インドネシア国内での日本語への関心の高さがうかがえます。
東南アジアでも圧倒的に多い数ですが、近年は少しずつ数が減少しています。最近は、中国語や韓国語の学習者が増えてきているようです。
多言語を話す人も多く、言語習得が早い
インドネシアには300を超える民族が存在し、700以上の言語が話されています。一人が複数言語を話せることも少なくありません。
インドネシア人は、小さい頃からさまざまな言語に触れてきたことから、言語取得能力が高く、使いこなすまで早い人が多いです。
日本の文化を好む人が多い
インドネシアもベトナムと並ぶ親日国であり、日本の文化を好む人が多くいます。アニメやマンガ、J-POPに興味を持ったことが、日本語の学習を始めるきっかけになっているようです。
2022年には、3年ぶりにジャカルタ日本祭りが開催され、来場者数は約9万人を記録しました。日本の文化は、インドネシア人に広く受け入れられています。
現地の日本語人材の主な活躍ポジション

ここでは、日本語人材が現地の日系企業でどのようなポジションで活躍しているかを紹介していきます。
・社内事務
・営業
・コミュニケーター
それぞれ詳しく見ていきましょう。
社内事務
社内事務とは、一般事務だけでなく、人事、総務、経理なども含みます。
日本側で現地の言葉や英語でのコミュニケーションが取れない場合は、必然的に日本語でやりとりできる人材が求められます。日本側と頻繁に打ち合わせがある場合は、比較的高いスキルを持った人を採用しなければなりません。
会社の中核を担う人物が日本語でコミュニケーションをとれると、業務をスムーズに進めることができるでしょう。
営業
営業は、現地人の担当者とのやりとりをメインでする人と、日系企業の日本人担当者ともやりとりできる人の2種類がいます。日本人とも営業的な話ができる日本語人材は、希少価値が高いです。
日本の文化や慣習を理解し、専門用語を使いこなせる人材は多くありません。比較的高い給与を求められますが、将来的には現地の代表を任せることもできるでしょう。
コミュニケーター
コミュニケーターとは、日本語⇄現地語の通訳を行う仕事です。オフショア開発など、専門性が高く日本とのやり取りを頻繁に行う必要がある会社では、コミュニケーターと呼ばれる人材が必要になることがあります。
コミュニケーターは、日本語で問題なくコミュニケーションが取れることに加え、専門用語の理解も求められます。日本側との窓口になる重要なポジションです。
まとめ
これから海外でビジネスを始める上で、日本語人材の採用は欠かせません。現地語までは難しいですが、最低限業務に必要な英語はしゃべれるようになっておきたいところです。
日本でも同様のことが言えますが、外国人が自分の国の言葉をしゃべってくれるとやはり嬉しいものです。現地の言葉を覚えると、現地のことをより深く理解できる、社員とのコミュニケーションが円滑になる、友人が増えるなど、さまざまなメリットがあります。海外へ赴任した際は、ぜひ習得にもチャレンジしてみてください。