インフラ

【予告なき停電】なぜ今ベトナムで電力不足が発生しているのか

【予告なき停電】なぜ今ベトナムで電力不足が発生しているのか

2023年6月から、ベトナム北部を中心に電力の供給不足が深刻化しています。マンションやオフィスでは定期的に停電が行われており、「営業時間の短縮を迫られる」「エレベーターが突然停止する」などのさまざまなトラブルが起こっています。

本記事では、現在なぜベトナムで電力不足が発生し街では何が起こっているのか、今後供給力は回復するのかをまとめました。

ベトナムの電力不足の概要

現在、首都ハノイ市、ハイフォン市、バクニン省、クアンニン省など、ベトナム北部地域を中心に停電が発生しています。猛暑の中で冷房が稼働しないため、日中は暑さを逃れて商業施設に移動する様子も伝えられているように、電力不足により不便が生じています。

停電は市民の生活だけでなく、工場にも多大な影響を与えました。停電の数時間前に緊急で事前通知を受け取るケースや、中には通知がなかったこともあったようです。

ベトナムでは以前から電力不足の懸念がありましたが、今年はそれが顕在化しています。

ベトナムの電力不足の原因

出典元:EVN

現在ベトナムでなぜ電力不足が発生しているか、3つの原因を紹介します。

・電力供給力の低下
・発電所不足
・猛暑

それぞれ詳しく解説していきます。

電力供給力の低下

ベトナムでは「火力発電:43.5%」「水力発電:28.5%」の2つが大きな割合を占めています。例年5月〜7月は降水量が少ないため火力発電の割合が増加しますが、輸入石炭の納品遅れや発電所の不具合により、供給力が低下する事態を招いてしまいました。

雨が増えたことにより2023年7月以降は回復傾向ですが、猛暑は続いており依然として油断できない状況が続いています。

発電所不足

ベトナムでは以前より発電所不足が指摘されてきました。年々電力需要が増加する中で、発電インフラの構築や給電管理体制の整備が追いついていません。

6月9日にはベトナム北部にある11ヶ所の水力発電所が稼働を停止し、火力や再生可能エネルギーでの発電に負担がかかっています。今後は発電所建設プロジェクトの推進や送電網の整備、管理体制の強化など、多岐にわたる対策が求められるでしょう。

猛暑

ハノイでは、例年5月頃から35℃を超える日が増えます。今年は5月に入ってすぐには気温の上昇が見られませんでしたが、下旬頃から暑さが本格化しました。5月29日にはハノイ市で40.3度を記録しています。

この暑さに伴い、冷房設備による電力使用量が増加しました。ベトナム北部の暑さは9月末頃まで続く見込みです。

ベトナムの電力不足による影響

ここでは、ベトナムの電力不足により起こったトラブルを中心に紹介していきます。

・ハノイでは計画停電を実施
・工業団地で相次ぐ停電
・突然のエレベーター停止
・クアンニン省では観光客が急減

それぞれ詳しく見ていきましょう。

ハノイ市では計画停電を実施

ハノイ市では、地区や時間帯を区切って計画停電を実施しています。停電は「午前8時〜午後4時」「午後4時〜午後12時」のように、8時間ごとに区切って行われることが多いです。

しかし、停電時間中はその地区に住むすべての人が電気を使えなくなるわけではありません。

マンションや富裕層が住む一軒家の中には、自前の発電機を備えていることもあります。最近では「停電の心配不要」を宣伝文句にして、販売しているマンションが注目を集めているようです。

工業団地での停電により大きな損失が発生

工場ではラインを稼働させるために大量の電力を使うため、停電は運営に大きな影響を与えます。発電機を備えている工場もありますが、それだけですべてを賄いきれるわけではありません。100%の稼働ができず、営業時間の短縮を余儀なくされたところも少なくないようです。

また、通知なしで停電が行われたケースもありました。突然の電力停止は製造工程に大きな影響を与えるだけでなく、時に危険な状況も伴います。

突然のエレベーター停止

通知なく停電が行われたのは工場だけではありません。ハノイ市では、エレベーターが突然停止し、乗客が数十分閉じ込められたこともありました。

マンションやビルの管理者に通知がない状態で、停電が行われたと考えられます。

クアンニン省では観光客が急減

停電は観光客にも影響を与えました。ハイフォン市のあるクアンニン省では、停電が発生していなかった5月以前と比較して、1週間あたり約35%減少しているようです。

ホテルが停電して部屋が蒸し風呂状態になったため、宿泊とツアーのすべてをキャンセルしたケースも報告されています。

ベトナムの電力不足は今後解決するのか

6月中旬からは夕方から夜にかけての雨が増え、ダムの水位が回復しつつあります。7月からは停電の頻度も減少し、状況は緩和しつつあるように思えます。

しかし、過去に何度も発生しているように、電力不足は今に始まった話ではありません。現在確認できるだけでも、2000年代から指摘されてきました。電力供給に関する根本的な部分を解決できない限り、今後も再発する可能性が高いと考えられます。

まとめ

ベトナムでは、例年電力不足が発生します。今年はさまざまな要因が重なったことで、停電を余儀なくされ、生活や経済活動に大きな影響を与えました。

電気や水道などインフラの問題は、ベトナム以外でも発生します。海外での事業は、こうしたリスクを理解した上で取り組む必要があります。

海外のレンタル倉庫・工場をお探しの方へ

CRE倉庫検索 for ASEANではベトナム・インドネシアを中心とした海外の物件を取り扱っております。
これから海外進出をご検討されている企業様、または既に海外展開中の企業様もお気軽にお問い合わせください。

電話でのお問合せはこちらから

TEL : 03-5114-5442

(携帯電話・PHSからもご利用いただけます)
営業時間 : 午前9時30分から午後6時まで (平日のみ)

ページの先頭へ