【年々拡大する市場】ベトナムのライブコマースについて
日本ではあまり馴染みがありませんが、中国や東南アジアではライブコマースという販売手法が人気です。ライブコマースは、従来のECサイトでの「販売者の顔が見えない」「実物と届いたものが違う」など、購入者にとっての懸念点を解消することができます。
本記事では、そもそもライブコマースの基本から、ベトナムでの普及度や代表的なプラットフォームまで紹介していきます。
ライブコマースとは

ライブコマースとは、携帯電話などのカメラ機能を用いて、プラットフォーム上で商品を紹介して販売する手法です。顧客に商品を見てもらうだけでなく、商品について質問したり価格交渉したりできます。
日本では一部のインフルエンサーを除き取り組む人が少ない手法ですが、中国や東南アジアでは一般的です。立地の悪い店舗を持つ人が、ライブコマースを活用して売上を急増させた事例も少なくありません。
近年は各SNSでライブコマースに関する環境やツールが充実してきており、市場も毎年成長しています。グラフが示すように、2014年からはライブコマースによる売上が5倍近く増えており、オンラインショップの運営者にとっては欠かせない手法となりつつあります。
ベトナムのライブコマースとは
ベトナムでもっとも有名なECサイト「Shopee」は、2022年にベトナム人が同社のライブコマース視聴に3,700万時間を費やしたことを発表しました。総人口約一億人のベトナムで、高い割合の人が視聴していると考えられます。
この3,700万時間というのは一社だけの数字であり、他のプラットフォームを含めるとさらに長い時間を費やしていることになるでしょう。
ライブコマースの機能は、Shopeeを始めLazadaやTikiなど他のECサイトや、FacebookやInstagramなどのSNSにも実装されています。ベトナムでは、特にShopeeとFacebookを通じて売買する人が多いです。
ライブコマースの特徴

ライブコマースには、以下の特徴があります。
・写真では伝わりづらい点がよくわかる
・声出し、顔出しがあるので安心感がある
・販売者と直接コミュニケーションが取れる
それぞれの特徴について詳しく解説していきます。
写真では伝わりづらい点がよくわかる
ECサイトで写真と文章を見るだけでは、商品のメリットや使用感などを100%伝えきれないことが多いです。
ライブコマースでは、販売者が音声と動画によってリアルタイムで商品について説明してくれます。また、ライブ配信は比較的視聴者のモチベーションが高く、視聴される時間も長い傾向にあるため、情報を届けやすい特徴があります。
声出し、顔出しがあるので安心感がある
ベトナムのECサイトでは、色やサイズ、型式など、注文と別のものを発送する販売者もいます。購入後に返品・返金のトラブルに発展することも多くあります。
ライブコマースでは、声出し、顔出しをすることが一般的です。販売者の存在を感じられるため、ECサイトで写真や文章だけを見て注文するよりも安心感があります。
販売者と直接コミュニケーションが取れる
ライブコマースには、コメント機能があり、販売者に直接メッセージを送ることができます。メッセージでは、値下げ交渉や詳しく見たい商品を伝える、気になる点を質問するなど、使い方は豊富です。
ECサイトではやりとりに時間がかかりますが、ライブコマースではすぐに返答がもらえるので、購買の促進につながります。
ベトナムのライブコマースの代表的なプラットフォーム
ここでは、ベトナムでライブコマースを行う際の、代表的なプラットフォームを紹介していきます。
・Facebook
・Shopee
・Lazada
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
ベトナムには、人口の3分の2にあたる6620万人のFacebookユーザーがいるとされています。販売者がFacebookのグループで商品を紹介するページを作成し、オンラインバンクで個人口座に振り込んでもらう方法で商売する人も多いです。
日本では勢いが落ちていますが、ベトナムでは依然として多くの人に利用されています。FacebookはECサイトのように手数料を取られないため、販売者からも人気のあるプラットフォームです。
Shopee
Shopeeはベトナムでもっとも有名なECサイトです。2022年、ShopeeのベトナムのEC売上全体に占める割合は73%と圧倒的な数字であり、2位以下を大きく引き離しています。
Shopeeでは「Shopee Live」という機能を使って、ライブコマースを行います。公式ページでは平日の日中にも関わらず、多くの人が視聴している様子を確認できました。
コロナ渦でライブコマースは普及しましたが、勢いそのままに今後も多くの人に利用されると考えられます。
Lazada
LazadaのベトナムのEC売上全体に占める割合は20%ほどであり、Shopeeに次ぐ第2位のシェアを誇るECサイトです。ベトナムを始め、インドネシアやフィリピンなど、多くの東南アジアの国々で事業を展開しています。
Lazadaでは「LazLive」という、ライブコマースのサービスを提供しています。コロナ渦の2020年第4四半期には、前年比で注文数が50倍も増えたようです。
まとめ
ベトナム人がオンラインでショッピングをする際、ライブを見て買うかどうかを決めることが少なくありません。これには「経済が発展していて購買意欲が高い」「Facebookが生活に浸透している」「オンラインバンクで手軽に決済できる」など、さまざまな要因が考えられます。
現在越境ECに取り組む人が増えているように、日本の商品は世界で人気があります。これから参入を考えている人は、ライブコマースにも目を向けてみると新たなヒントを得られるかもしれません。