【現在4社】ベトナムのユニコーン企業とは
ベトナムは毎年成長を遂げている魅力的な市場であり、国内ではシンガポールや米国からきた投資ファンドが活動しています。特にベトナムのスタートアップには多額の資金が集まり、2022年4月には「MoMo」「SkyMavis」の2社が新たにユニコーン企業への仲間入りを果たしました。
本記事では、ベトナムのユニコーン企業4社の概要や今後の成長が期待できる業界を紹介していきます。
ベトナムのユニコーン企業とは

ユニコーン企業となるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。具体的には以下の通りです。
・設立10年以内(目安であり10年を超える企業を含むことがある)
・時価総額10億ドル(約1,400億円)以上
・非上場
ベトナムには、2023年8月時点で以下4社のユニコーン企業があります。
・VNPAY
・VNG
・MoMo
・SkyMavis
各企業の事業内容を解説していきます。
VNG

VNGはベトナム初のユニコーン企業となった会社です。前身の「VinaGame」という社名にもあるように、オンラインゲームやアプリ開発に強みを持つ会社です。
VNGが提供するサービスの中に、メッセージアプリのZaloがあります。Zaloは国民全体の75%にあたる約7,500万人に利用されているアプリです。近年は電子決済のZaloPayやクラウドサービスのVNG Cloud、AIや顔認証システムなど、先進的な取り組みも行なっています。
2023年5月には、資金100億ドル(約1兆4,000億円)の調達を目標とすることを発表しました。今後もベトナムを代表するIT企業として、国内外の投資ファンドから注目を集めることでしょう。
VNPAY

VNPAYは、ベトナム国内でオンライン決済事業を展開する企業です。
ベトナムではスマートフォンでQRコードを読み取って行うオンライン決済が普及しています。スーパーやコンビニを始め、個人の店舗でも現金を使わずに支払いできることも少なくありません。
VNPAYのアプリで決済すると大幅に割引されるなど魅力的なキャンペーンを展開し、多くのユーザーを獲得してきました。現在は40以上の銀行と5つの通信会社と提携し、2022年2月にはクレジットカードの国際ブランドのVisaと戦略的パートナーシップを結ぶなど、国内での存在感を年々高めています。
MoMo

MoMoは、オンライン決済が盛んなベトナムで近年急成長している企業です。2021年末にはみずほ銀行からも出資を受け、ベトナムで3社目のユニコーン企業となりました。
特にベトナム南部で利用者が多く、店頭や携帯、公共料金、映画のチケット、旅行費用の支払いなどに利用されています。また、資産運用や保険、小口のローンなども申し込むことができます。
MoMoのアプリは、ベトナムで2,600万人のユーザーがいて英語にも対応しているため、外国人でも利用可能です。MoMo決済での割引キャンペーンも頻繁に開催されており、ベトナム在住者には必須のアプリです。
SkyMavis

SkyMavisは、NFTゲームの代表格である「Axie Infinity」をリリースした企業です。Axie Infinityは最盛期に278万人のアクティブユーザーがおり、Play to Earnの仕組みで遊んで稼げるとして、全世界で話題となりました。
2022年4月には180億円を調達するなど、短期間でユニコーン企業となる条件を満たしましたが、直近では競合の台頭やブームが去ったことにより、厳しい状況が続いています。
SkyMavisの次なる一手に注目が集まります。
ベトナムで伸びている産業
ここでは、ベトナムで伸びている産業を紹介していきます。
・電子決済
・オンラインゲーム
・金融
それぞれ詳しく見ていきましょう。
電子決済
ベトナムではスマートフォンを用いての決済が普及しており、ユニコーン企業ではVNPAYやMoMoが関連します。ベトナム政府も利用を推進していて、2022年8月時点では成人の6割が電子決済口座を保有しているようです。
しかし、電子決済の利便性を悪用した詐欺や、スキミング被害も多く発生しています。市場としては魅力的であるものの、安心して使えるようになるまではまだ時間がかかることでしょう。
オンラインゲーム
ベトナムでのスマートフォン普及率は世界10位の63.1%であり、オンラインゲームに熱中する人も多いです。ユニコーン企業ではVNGやSkyMavisが関連します。
ベトナム発のオンラインゲームとしては全世界で話題となったAxie Infinityを始め、サバイバルゲームのWidiland、モンスターを育成して土地を開拓するMy DeFi Petなどがあります。流行り廃りの早い分野であるため、今後新たなスタートアップが台頭してくることも十分にあるでしょう。
金融
ユニコーン企業に含まれませんが、ベトナム国内で伸びている企業が掲載される「FAST500」には、1位に個人ローンを提供するVietCreditがランクインしました。
ベトナムではお金の貸し借りが盛んで、ローンを組んでマンションや車を購入する人も多いです。今後は消費者金融や銀行など、金融業を営む企業が伸びてくる可能性も十分にあるといえます。
今後ユニコーン企業への成長に期待できる企業
ユニコーン企業への仲間入りを期待できる会社には、配送サービス「be」や大手ECサイトの「Tiki」があります。beにはGrab、TikiにはShopeeといった強力なライバルがいますが、両社で価格やサービスを差別化して、年々ユーザーを増やしています。
今後FAST500で上位にランクインした企業と併せて、注目してみていきましょう。
まとめ
ベトナムには現在4社のユニコーン企業があります。平均年齢は31歳で最盛期を迎えており、若い世代がベトナム経済を支えています。
政府としても世界各国からの投資を推進しているため、国内のスタートアップには今後も多くの資金が集まることでしょう。