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ベトナムの行政手続きには時間がかかる理由

ベトナムの行政手続きには時間がかかる理由

日本企業がベトナムに投資し、事業を展開する上で営業許可等の申請及びその他の必要な書類の行政手続きを実行することが困難になる場合が多くあります。特に、市場環境に精通していない外国企業の場合、これらの行政手続きに予想よりも時間を要したり、事業計画の進行に影響を及ぼす問題が発生することがあります。本記事では、ベトナムの行政手続きが企業の想定よりも遅くなる理由をまとめていきます。

一つ目の理由: 手続きの処理に一貫性があまりなく、不要な手順が多く含まれているため

現在、ベトナムの行政制度には、国民や企業が遵守すべき行政手続きが約6,400件あります(2023年7月現在)。各々の手続きには複雑な手順を要する場合があり、多くの手続き書類が必要になります。申請準備には時間がかかりますが、それらの書類のいずれかが無効である場合、申請が拒否されたり、あるいは申請書の再作成を求められる場合があります。
もう 1つの要因は、申請処理プロセス、特に省や中央政府などの承認権限を必要とする重要な手続きのプロセスが不明瞭であることです。地方自治体による許可申請の承認後、省や中央政府に申請を行うと申請理由が不明瞭なため拒否されてしまうケースが多くあります。この問題は、ベトナム全土に多数の支店を展開している企業、または異なる地域で複数の事業を行っている企業でよく発生します。どの地方自治体に申請書の提出を行うか、また各地方自治体で申請の必要要件や処理プロセスの相違点を確認することは、外国企業にとって多くの労力を要する可能性があります。

二つ目の理由: 法律の改正と書類電子化の実施

ベトナムは多くの戦争を経験し、ようやくこの50年近くで経済的に発展した国です。したがって、法制度は比較的整備されているものの、依然として多くの抜け穴や矛盾があります。そのため、社会経済の発展に歩調を合わせるため継続的な改革が必要とされています。これは、ベトナム国会が定期的に実施する会議において法案や行政手続きの改正手続きを実施し、その修正に基づいて新しい法案が国会に提出されるためです。そして、法律または法的手続きに関連する法案が正式に公布されるまで、その問題に対する最終的な答えが存在しない状況が続きます。
同様に、行政手続きの煩雑さを最小限に抑えるため、書類の電子化や、書類提出のプロセスをよりコンパクトに変更するなど、多くの電子化への取り組みが実施されています。ただし、電子化を行う上で、技術的な問題等の発生は避けられないため、書類処理プロセスが最適化されるには一定の期間を要することが予期されています。

三つ目の理由:各地域で異なる特徴を有しているため

投資や事業展開を行う上で現地の市場について検討する際、その地域が外資を活用した投資プロジェクトを多く誘致するかどうかに注意を払う必要があります。
通常、多くの資本が集まる、FDI 投資プロジェクトが多い地方は、社会経済が発展している地方です。地方政府は、行政手続きにおける地元企業や外国企業の支援にも精通しています。ベトナムでFDI誘致の最前線にある省としてはホーチミン市、ハノイ、ビンズオン、ドンナイ、ハイフォン等が挙げられます。
しかし、これらの地域は現在飽和状態に近づいており、高レベルの競争と投資コストの上昇に伴い、外国企業は新たな潜在市場に目を向けています。新たな経済地域は沿岸部、ベトナム中部にあります。これらの地域の特徴は、田舎が多く、地方自治体が外国企業の支援に慣れていないことです。そのため、何かしら問題が発生した場合、地方自治体は問題解決に時間を要すると考えられます。
不動産開発に投資を行っている企業や、工業用地の賃貸借取引を行う必要がある企業にとって、地域住民に対して土地の引渡しに伴う適切な補償の実施は課題の一つです。地域住民の農地を工業用地に転用したランドバンキングが多い中部・北部地域には、注意すべき点があります。これらの地域では、地域住民が古くから集落に住んでおり、地方のリーダー(通常は村長と呼ばれる)に対する信頼が非常に高く、住民がリーダーに対して提案をしやすいことが挙げられます。これらの村長から土地取得に関する協力を得られない場合、用地の取得は更に困難になります。

四つ目の理由: その他の要因

上記の理由に加え、外国企業の行政手続きの遅れは、ライセンス申請書類の記入漏れや紛失(特に多くのプロセスがまだ手作業で行われている場合)、技術的な問題などの理由によって発生する可能性があります。言語や文化の壁もあり、ベトナム人の担当者が書類の提出を行った方が申請処理が早く行われる場合が多いです。

まとめ

ベトナム国内の書類処理プロセスの変更には、依然として多くの問題が残っているため、外国企業にとっては課題となる可能性があります。ベトナム政府は、このプロセスを簡素化し、企業がより有利なビジネス環境を享受することができるための解決策を考え出そうと努めています。しかし、これらの取り組みが完璧なものなるにはまだ多くの時間要します。一方、外国企業は法律や書類処理に関する最新情報の入手を心掛け、事務手続きを担当する経験豊富なベトナム人スタッフと連携する必要があります。

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