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ベトナム政府、2025年までに新都市を設立する計画を公表

ベトナム政府、2025年までに新都市を設立する計画を公表

11月16日にトラン・ホン・ハ副首相は2025年までにベトナム北部の中心都市であるハイフォン市の中にトゥイグエン新都市(現トゥイグエン郡※)の設立を承認する議案書に署名しました。
※トゥイグエン郡 (Thuy Nguyen)

ハイフォン市トゥイグエン郡とは

トゥイグエン郡はハイフォン市の北側に位置し、人口・面積が市内で最も大きい地区です。
・総面積: 261km2
・総人口: ~334,000人(2023年10月時点)
・2016年から2020年までの期間に誘致されたFDI資本総額は約12億ドル
・トゥイグエン郡の総面積の20%が工業地域としての開発を計画されている
トゥイグエン郡はハイフォン市・ハイズオン省・クアンニン省を結ぶ道路上、及びハイフォン市の主要港の近くに位置し、比較的重要な戦略的位置を占めています。

「郡」から「市」へのアップグレードを決定

トゥイグエン郡における新都市設立の目的

トゥイグエン郡における新都市設立の目的

ハイフォン地方自治体は、トゥイグエン郡には経済発展のFDI、国内投資資本を誘致する潜在力があると思案していました。しかし、トゥイグエン郡はベトナムの行政区分に基づくと農村地域に分類されています。そのため、長期的な社会・経済開発計画を実行に移すべくトゥイグエン郡をハイフォン市内の新都市に昇格させる計画の実行を決定しました。この計画には、次のような市インフラ整備投資案件が含まれています。
• カム川に架かる橋(案件名は非公開)
• トゥイグエン工業団地(想定面積は319ha)。VSIPハイフォン工業団地及びナムカウキエン工業団地に次いで、トゥイグエン市に所在する3番目の工業団地となります。
• ハイフォンの行政機関の本部移転
• 北カム川複合都市
(その他にも計画段階にあり、詳細が非公開されている案件もあります)
トゥイグエン郡が市に昇格することにより、ハイフォン市の地域経済が発展することが期待されています。現在、ハイフォン市の経済・産業生産拠点は主に中央(カム川以南)と東側(ディンブー・カットハイ工業団地およびラックフェン工業団地)といった地域に分布しています。そして、トゥイグエン市はカム川の北側及びハイフォン市の西側といった地域の社会・経済開発を誘導し、均一な発展をもたらす役割を担うことになります。

設立計画について

設立計画について

2023年11月、ベトナム政府は2025年までにトゥイグエン市を設立する議案を承認しました。その結果、トゥイグエン市は新たな中心都市エリアとして、行政・政治・商業・金融等の機能を持った地域へ生まれ変わります。例えば、ハイフォン市の行政機関の本部はトゥイグエン市に移転されるため、2023年初めには工事着工したことが発表されています。さらに、北カム川複合都市もトゥイグエン市に建設され、2025年に竣工する予定になります。
ベトナムの国内投資資本は、都市建築開発及び交通機関整備に焦点を当てています。一方、海外直接投資 (FDI) は市内の工業団地開発等に投資を行うことが見込まれています。

「都市内の都市」というスキーム

ハイフォンという中心都市の中にトゥイグエン市という都市を設立することになりますが、ベトナムでの最初の事例は2020年にホーチミン市内に設立されたトゥドゥック市です。
ホーチミン市内における3つの郊外地区合併によってトゥドゥック市が設立されたため、近隣の省からの労働者が都市へと殺到するのではなく、新都市に住み、働くことを期待していました。また、大規模な土地を利用し、住宅・商業・産業用不動産を開発するために国内外の投資資本を誘致しています。
このスキームは、上海市の浦東やソウル市の江南(カンナム)地域などの大都市から学んだものです。実施方法は異なるものの、大都市の中に経済と投資を呼び込む都市圏(中核都市スキーム)を形成することを目的としています。

中核都市スキームのメリット

1. 行政機関の人員数と運営予算をコンパクト化
2. トゥドゥック市の地方自治体は、2020年から市内の新市街地エリア・国立大学エリア・技術研究エリア(ハイテク団地)・大規模工業団地エリア等開発計画を行ってきました。増加する交通量に対応するため、道路網はより高品質かつ効率的に構築されていきました。
3. 外国投資家及び外国企業にとって、ホーチミン市の都心部や近隣の省からの出稼ぎ労働者が多い地域に比較的近く、少ない投資額で大規模な土地へ投資ができることは、企業利益を高める上で有利に働きます。トゥドゥック市は、2022年末時点でホーチミン市が生み出すGDPの30% を占めており、これはベトナム全体で見るとGDPの7%に相当します。

中核都市スキームのデメリット

1. 行政処理プロセスの変更により、地域住民及び企業はどの行政機関が何の手続きを行っているか不明瞭なため行政サービスを活用することが困難になりました。
2. 土地収用に関する協力を地域住民から得ることが難しい際、道路を拡大するための用地取得により時間を要することになりました。さらに、トゥドゥック市設立計画の情報が公開された後、不動産価格や地価が予想外に変動した結果、住宅用不動産やアパートの賃料が上昇しました。
3. 都市化プロセスの急速な進行によって、緑地の減少、大気汚染といった環境への悪影響が発生しました。

外国企業に予想される影響

トゥイグエン郡の様に地方を都市に格上げする計画が成功した場合、ベトナムで事業活動を展開している外国企業は以下のような変化に直面する可能性があります。
1. 多くの農業用地が工業用地に転用され、工業団地・工場・倉庫といった工業用不動産が新たに開発されます。そして、労働者が便利な環境で居住し、働くことができるように、新しい市街地も建設されます。
ただし、都市整備による地元住民への補償には注意が必要なようです。トゥイグエン郡がトゥイグエン市に格上げされるという情報が公開されると、周辺の不動産価格は上昇します。その結果、地元住民はそれを根拠により多くの補償金を企業に対して要求するケースがあります
2.トゥイグエン市の物流力強化のために多くの道路や橋といった交通網の整備が行われるため、建設工事が予定より遅延する可能性があります。
3. トゥイグエン市に向けたFDIを増やすため、地方自治体が投資誘致計画を推進します。
4.トゥイグエン市の成立に伴う地域の合併や分割は予定されていないため 、トゥイグエン郡という地名をトゥイグエン市通りに変更する必要がある場合を除き、行政機関や処理手続きに大きな変更はありません。

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