衣食住

ベトナムの高齢化と今後の人口動向

ベトナムの高齢化と今後の人口動向

ベトナムでは毎年人口100万人ペースで増え続けている一方で、出生率は下落傾向です。高齢者の割合は徐々に高くなりつつあり、近年は介護や医療の需要が増えています。

本記事では、ベトナムの高齢化と人口動向、高齢者向けのビジネスをまとめました。今後ベトナムでビジネスでの参入を予定している人は、ぜひ年齢層の分析や分野の選定に役立ててみてください。

ベトナムの高齢化事情

ベトナムの人口ピラミッドをみると、25歳〜40歳までの割合が高い「つぼ型」をしています。現在は働き盛りの人口の割合が多い一方で、今後徐々に若年層の割合が減り40代以上の比率が高くなっていく見込みです。ここでは、ベトナムの高齢化事情について解説していきます。

近年は少子高齢化が進行

ベトナムでは、1人の女性が生涯で産む子供の数を示す「(合計特殊)出生率」が、年々減少しています。2006年以降の出生率は目標値の「2.09」を維持してきましたが、2023年には「2」を下回る予定です。

また16~30歳の青年人口も、2020年末の2260万人から2022年末には2070万人へと減少しているように、少子化の影響も顕著です。ここ数年急速な勢いで進んでおり、今後も止まらないと考えられます。

都市部では出生率が低下傾向

出生率は、都市部ではより顕著に下がっています。2021年のホーチミン市での出生率は「1.39」を記録しました。

出生率低下の背景には、昨今の晩婚化、養育費と物価の高騰、労働時間が長いため育児に十分な時間を取れない、などが原因として挙げられます。

農村部では高齢化が顕著

ベトナムの農村部では就ける仕事の種類が限られます。そのため、ハノイ市やホーチミン市といった大都市、日本や韓国、台湾など他国に働きに出る選択をする人も少なくありません。

また、農村部では子供を祖父母に預け両親は出稼ぎに行くため、16歳〜30歳の青年人口が減少する、という空洞化現象も起こっています。

ベトナムの高齢者に対するビジネス事情

ここではベトナムの高齢者に対して、現在展開されているビジネスを解説していきます。介護、医療、健康管理の各ビジネスについて、詳しくみていきましょう。

介護

ベトナムでは家族間の結束は強く、文化的に高齢者を家で世話をする傾向があります。利用者宅を訪れる訪問介護のサービスはありますが、現状での利用者は多くはありません。

また、都市部を中心に老人ホームの施設も存在します。ただし、前述の通り家族で世話をすることが当たり前の文化のため「大事な両親を施設に預ける親不孝もの」など、周りの声を恐れて利用を避ける人も少なからずいます。

そうした背景があるため、訪問介護は成長が見込まれる分野です。しかし、今後広く展開するには、ベトナムの伝統的な文化への理解と人々の意識の変化が求められるでしょう。

医療

ベトナムの医療水準は高くなく、機器や施設は慢性的に不足しています。また、患者収容能力も低く、多くの公立病院での待合室は常に診療を待つ人で混雑しています。

農村部では、そもそも医療施設が存在しないことも多いです。ハノイ市やホーチミン市に何時間もかけて行き、病院で長時間待って診療を受けざるをえない人もいます。

ベトナムでは高齢者向けの医療に限らず、全体の底上げが求められています

健康管理

ベトナムでは近年健康意識が高まっており、本格的な機器を揃えたフィットネスジムが大幅に増えています。主なフィットネスジムには、24時間営業のThe New Gym、女性専用のCurves、富裕層向けのElite Fitnessなど、それぞれに特色があります。

また、もともと有名ブランドの靴を受託生産していた背景から、安価で買えるベトナムブランドのスポーツウェアメーカーもいくつか生まれています。

ベトナムの高齢化による課題

ベトナムでは今後、高齢化による問題がより顕在化していくと予想されています。最後に、労働人口の減少や医療・介護サービスなどの高齢化に伴う課題について見ていきましょう。

労働人口の減少

2022年時点でのベトナムの労働人口は5,150万人ほどいますが、今後は少しずつ減少していく見込みです。ベトナムは他国と比較しても高齢化が早く、2036年〜2038年頃には65歳以上の人口の割合が14%を超える「高齢社会」を迎えるというデータもあります。

現在のボリュームゾーンである25歳〜40歳の年代は、20年〜30年後には定年となる人が増え始めます。いずれ迎える高齢化に対して、今から対策を打ち出していくことが求められています。

医療、介護サービスが都市部に限定

ベトナムでは特に農村部の高齢化が顕著ですが、医療、介護のサービスが行き届いていない現状があります。ベトナムの65歳以上の高齢者は高血圧、糖尿病、癌を始め、少なくとも3つの病気にかかっているとされています。

医療施設の充実したハノイ市やホーチミン市への移動も、費用や時間の問題から頻繁に繰り返すことは容易ではありません。医療に関して、ベトナムは多くの課題を抱えているといえるでしょう。

まとめ

ベトナムは毎年人口が増加する一方で出生率は減少しており、徐々に高齢者の割合が高くなっていくと予想されています。出生率の減少は特に都市部で顕著であり、経済成長の維持のためには、早急な対策が求められるでしょう。

一方で医療、介護分野では大きな可能性を秘めているといえます。業界の参入とサービスの展開には、ベトナムの文化を深く理解することが重要です。

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