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【2024年前半にも正式宣言か】インドネシアの首都移転の進捗

【2024年前半にも正式宣言か】インドネシアの首都移転の進捗

2022年1月にインドネシア政府は、首都をジャワ島のジャカルタからカリマンタン島の東部へ移転することを発表しました。移転発表から3年がたった今、政府施設の建設やインフラ整備が急ピッチで進んでいます。

2024年前半には首都移転を対外的に宣言する予定ですが、2023年を終えて進捗はどれほどか、気になっている方も多いのではないでしょうか。本記事では、現在のインドネシアの首都移転の進捗をまとめていきます。

インドネシアの首都移転計画とは

ここでは、インドネシアの首都移転計画の概要を説明します。インドネシアの首都をジャカルタから移転する理由は、主に以下の通りです。

・交通渋滞
・大気汚染
・地盤沈下と温暖化による海面上昇

理由の多くは、ジャカルタに人口が集中していることに起因しています。過去に何度も移転の話が出ていた中で、2022年1月にジョコ大統領によって、ようやく首都移転が発表されました。

ジャカルタに変わる新首都につけられる名前はヌサンタラです。ヌサンタラは移転計画の発表当初、まったくインフラの整っていないジャングル地帯でした。現在はインドネシアの国内企業を中心とした開発が進んでいます。

ヌサンタラへの移転は、2045年までに完了する予定です。

インドネシアの首都移転計画の現状

ここでは、インドネシアの首都移転計画の現状や今後の見通しをはじめ、費用に関する情報について詳しくみていきましょう。

2024年2月までに第1段階の開発8割完了を目指す

首都移転完了までは第5段階まであり、2024年2月までに第1段階の開発で8割の完了を予定しています。第1段階の開発内容とは、具体的に以下の通りです。

・中央政府、オフィス街、住宅地の開発を開始
・公務員、軍隊、警察とその家族が移転
・新首都周辺の道路工事の着工

インドネシアの国内企業では、不動産大手のパクウォン・ジャティが中央政府近くに複合ショッピング施設、アグン・スダユーグループがホテルヌサンタラとマヤパダ病院の建設に着工する意向を示しています。

2024年前半にも首都移転を宣言する見込み

インドネシアのジョコ大統領は、2024年前半に対外的に首都移転を宣言する見込みです。宣言時は「首都は今をもってヌサンタラに移る」とする大統領令にジョコ大統領が署名することになります。

また、2024年8月17日には独立記念日の式典を開くとも公言しています。現在は式典に間に合わせるために、政府庁舎の工事が進んでいます。

移転費用の8割を投資でまかなう

インドネシアは移転費用について466兆ルピア(約4兆3,800億円)を見込んでいます。そのうち2割は国費、残り8割を民間や諸外国からの投資などでまかなう予定です。

ジョコ大統領は会合を通じてベトナムやイタリア、フランスなど各国へ投資を呼びかけてきました。しかし、まだ不確定要素も多く、専門家の間では「計画は現実的ではなく、将来的には多額の国費を増やす必要がある」という声も出ているようです。

日系企業を対象にした投資フォーラムが開催

インドネシアは、日本に対しても投資を呼びかけています。2023年12月には、東京ポートシティ竹芝オフィスタワーで民間企業に対する投資セミナーが行われました。

また、投資を検討する企業に対しては、JICAが主導して移転予定地の見学も実施されています。

インドネシアの首都移転による問題・懸念

インドネシアの首都移転は、必ずしもすべてがプラスに働くと考えられているわけではありません。大統領任期満了による懸念をはじめ、生態系や原住民に関する問題についてお伝えします。

ジョコ大統領任期満了により、開発の勢いが失われる恐れ

2019年10月に就任したジョコ大統領は、2024年10月に任期満了を迎える予定です。すでに任期満了で引退を迎える発言もしており、選挙で当選する人物によっては開発の勢いが失われる恐れがあります。

インドネシアの大統領選は、正大統領と副大統領のペアを選ぶ形式です。現在の候補者には、プラボウォ氏とジョコ大統領の長男ギブラン氏、ガンジャル氏とモハマド・マフッド氏など計3組の名前が上がっていますが、いずれのペアが当選したとしても開発の勢いを維持できるかは未知数です。

生態系の破壊

2022年1月時点で、移転先は約130種類の哺乳類と約3,000種類の樹木が育つジャングルでした。そうした場所で大規模な開発を行うことで、生態系の破壊につながる恐れがあります。

さらに人にも感染するサルマラリアの脅威も潜んでおり、医療面、衛生面を含む対策が求められます。

先住民に対する立ち退きの要請

先住民の中には所有する土地の価格が8倍以上になった人や、労働者の流入で宿泊施設の滞在者が増え裕福になった人もいる一方で、突然の退去命令で立ち退きを強制され混乱している人もいます。政府からの補助金はありますが十分ではなく、土地代は日に日に上昇することで、引越し先を見つけられない問題が出てきているようです。

また、2012年に憲法裁判所が「先住民族の土地は国有林から返還されるべき」との裁定を下したことで、インドネシア政府と先住民の間での根強い軋轢も残っています。

まとめ

インドネシアの首都移転は、長年検討され続けて2022年から始まった一大プロジェクトです。現在政府は進捗が順調であると主張する一方で、生態系の破壊や先住民との軋轢などの問題が残ります。

また、開発段階が進むにつれて移転資金が枯渇してくる可能性があります。政府による諸外国や民間企業への投資呼びかけは、今後も続きそうです。

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