経済

ベトナムのテトにおける近年の変化

ベトナムのテトにおける近年の変化

ベトナムのテトとは旧暦の元旦のことで、ベトナム人にとって重要な行事です。2024年2月8日〜14日のテト休みには多くの人が帰省し、おせち料理を食べたり家をきらびやかに装飾したりして、家族や親族と新年を祝いました。

しかし、最近ではベトナム人のテトの過ごし方に変化が見られます。近年は価値観が多様化し、ハノイ市やホーチミン市に残る人が増えています。

本記事では、ベトナムのテトにおける近年の変化を詳しく解説していきます。

ベトナムのテトにおける近年の変化とは

ベトナムでは、テトは一年の中でもっとも大きなイベントであり、かつては実家に帰省して家族と過ごすことが当たり前でした。毎年テト休みは1週間〜10日ほどの期間があり、旧暦に馴染みのない日本人が、あまりの街の静まりように面食らってしまうことも少なくありませんでした。

しかし、近年のテトでは、帰省しない人が増えたり、渋滞が発生したりとこれまでになかった変化が見られます。それぞれどのように変化したか、詳しく解説していきます。

あえて実家へ帰らない人が増加

ここ数年で、あえて実家に帰らない人が増加しています。理由としては以下が考えられます。

・親族から結婚や出産に関して小言を言われるため
・お年玉やテトの準備でお金を要求されるため

一つ目の理由の「親族から結婚や出産に関して小言を言われるため」についてですが、まずベトナムでは数十年前と比べて結婚年齢の高齢化が進み、未婚率が上昇傾向であることを理解する必要があります。

2020年の調査では結婚年齢は25.7歳で未婚者の割合は23.1%で、年々少しずつ上昇しています。またハノイ市やホーチミン市の人より、農村部の人の方が早めに結婚し、未婚率も低い傾向にあります。

かつては20歳前後での結婚・出産が当たり前であり、田舎では昔の価値観を持ったままの人も少なくありません。親族が集うテトの時期に、年配の人から「まだ結婚しないのか」「恋人はいるのか」「子供はいつ生まれるんだ」などの質問に辟易して、帰省を避ける人も多いです。

また二つ目の「お年玉やテトの準備でお金を要求されるため」も大きな理由の一つです。ベトナムでは日本と異なり、若者が年配の人や子供にお年玉を配る習慣があります。お年玉は一人あたり「1万ドン(約60円)〜10万ドン(約600円)程度」と高くはありませんが、親族や親戚、その子供など数十人に渡すとそれなりの出費になります。

ベトナムではここ数年で家賃や教育費が高騰し、生活費の捻出に苦労している人も多いです。都市部に出稼ぎに出ている人の財布事情が厳しいことも、帰省しない理由の一つになっていると考えられます。

街中で渋滞が発生

バイクで知られるベトナムの交通事情ですが、近年は車を持つ人が増加しています。2023年2月にハノイ市では自動車の登録台数は100万台を超え、現在では8人に1人以上が車を持っている計算です。

ベトナムの都市部では、駐車場や高架道路などが十分に整備されていません。車線も少なく路上駐車も多いため、朝の通勤や夕方の帰宅の時間にはあちこちで渋滞が発生します。

特にテト前は物流や人々の往来も活発になり、渋滞状況は年々悪化傾向です。

テト休み中にもショッピングモールがオープン

10数年前は、テト休み中に営業しているお店はほぼありませんでした。しかし、最近ではショッピングモールや個人店も営業するケースが増えています。

2024年2月のテトではイオンモールが営業を行い、多くの人で賑わいました。テト休み中は法律によって給与が400%以上になるため、自ら勤務を希望する店員も多いようです。

ビジネスの変化

ここでは、ベトナムのテトの過ごし方の変化が、ビジネスにどのような影響を与えているかについて説明します。

小売

ベトナム人のテトの過ごし方が変わり街に残る人が増えたことで、店舗の営業ができるようになりました。

ショッピングモールに限らず、日系の飲食店が営業していることも多いです。テト休み中は会社も休みになるため、ベトナムに留まる日本人をターゲットに営業していると考えられます。

観光

テトに帰省しない人が増加していると共に、実家での滞在期間も減少傾向です。前半は実家で過ごし、後半は国内・海外旅行に出かける人が増えています。

2024年2月8日〜14日のテト休み、ベトナムの国内観光客の数は前年比+16.6%増の1,050万人となりました。リゾート地のフーコックや観光地のハロン湾があるクアンニン省では、テト休み中も通常通り営業している店舗や施設も多いです。

医療

テト休み中はお酒を飲む人が増え、喧嘩やトラブルが増えます。2021年のテトでは、6日間で4,000人以上が喧嘩で救急搬送されました。

テト休み中の病院は休業することが多いですが、中には患者を受け入れているところもあります。ハノイ市のバックマイ病院やホーチミン市のサイゴン総合病院では、テト休みでも診療や入院患者の面談ができる体制を整備しました。

まとめ

近年は、実家に帰ることでの精神的なストレスや経済的な事情により、テト休みに帰省しない人も増えています。若者世代を中心に価値観は多様化しており、今後のこうした傾向が加速して、ベトナムのテトの文化が大きく変わる可能性もあるでしょう。

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