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ベトナムの航空業界の今

ベトナムの航空業界の今

2023年、海外からベトナムを訪れた観光客は約1,260万人でした。この数字は2019年の新型コロナ前に記録した1,800万人には及びませんが、前年比では約3.4倍を記録しており、大幅な回復を見せています。

観光が復活するにつれて、ベトナムの航空業界も勢いを取り戻しつつある一方で、バンブー・エアウェイズの経営難やベトナム航空の職員の不祥事など、不穏なニュースも目立ちます。

本記事では、ベトナムの航空業界の概要と空輸事情、現在起こっていることをまとめました。

ベトナムの航空業界

近年のベトナムの経済発展に伴い、貨物・物流市場も拡大しています。2024年の収益は451億9,000万ドル(約6兆7,780億円)で、5年後の2029年には653億4,000万ドル(約9兆8,000億円)になると予想されています。

ここでは、主要なベトナムの航空会社を紹介していきます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

ベトナム航空

国営のベトナム航空は、国内でもっとも大きな航空会社です。安全面は世界の航空会社トップ25社に選ばれたように国際的にも評価されていて、格付け機関のスカイトラックス社からは4つ星認定を受けています。

空輸にも注力しており、2022年には国内にテト(旧正月)の花木を輸送・宅配するサービスの提供を発表しました。ベトナムを代表する航空会社であり、世界18カ国62路線、ベトナムの国内線では40路線を運行しています。

ベトジェットエア

ベトジェットエアは2007年に設立されたLCC(ローコストキャリア)で、日本にも定期便が出ています。2011年から運行を開始し、ベトナムの経済成長とともに順調に規模を拡大してきた航空会社です。

かつてベトナム国内では「航空券=高い」というイメージがあり、旅行は富裕層だけができるもの、と思われてきました。そうした中、ベトジェットはLCCとして格安の航空券を提供し、ベトナムの一般層でも気軽に旅行できる環境をつくりました。

ベトジェットは、航空会社の安全性・商品評価サイトのエアライン レイティングスで「2021年 世界で最も安全でベストな低コスト航空会社トップ10」にもランクインしています。

バンブーエアウェイズ

バンブーエアウェイズはベトナム不動産大手のFLCが親会社の航空会社で、2017年に設立されました。FSC(フルサービスキャリア)でありながら料金は格安であり、一時期は日本行きの便も運行していました。

しかし、2022年3月に親会社FLCの元会長が株価操縦などの容疑で逮捕されて以降、事業の継続が危ぶまれる事態に直面しており、路線は縮小傾向です。2023年10月には日本行き含む一部の国際便、11月にはフーコックやダラットなど主要観光地行きの国内線も停止しており、先行きは不透明です。

その他

上記2社以外には、パシフィック・エアラインズ、ベトナム・エアサービス、ベトラベルエアラインなどがあります。この内、パシフィック・エアラインズとベトナム・エアサービスはベトナム航空の子会社で、国内線を中心に就航しています。

ベトラベルエアラインは、大手旅行会社のべトラベルが設立した航空会社です。2021年に就航を始めた新しい会社で国内線が中心でしたが、2024年中に高松・福島間の定期便の運行開始することを発表し、国際線にも注力する方針を示しています。

ベトナムの空輸事情

ウクライナ紛争による燃料代の高騰が、航空運賃にも影響を与えています。2024年1月には海上運賃が高騰したことで多くの貨物が空輸に切り替わり、前週比で航空運賃が10%上昇しました。

ウクライナ紛争は依然として終わりの見えない状況にあり、今後もさまざまな影響が出る可能性があります。

直近のベトナムの航空業界に関連する動き

ここでは、直近のベトナムの航空業界に関連するさまざまな動きを挙げていきます。

ベトナムを訪れる観光客は大幅に回復

新型コロナ流行による往来の規制が解除され、観光客は回復基調です。ベトナムの首都ハノイには、2023年に国内外から前年比+27.0%増の2400万人が訪れました。

ベトナム航空、ベトジェットエアともに増収増益を達成し、ホテルや飲食業など観光に関連する分野も大きな伸びを記録しています。

バンブー・エアウェイズが経営難に

先述の通り、親会社のFLCの事業が危ぶまれていることに影響を受け、バンブー・エアウェイズは経営難にある状況です。

2023年12月には乗務員の3分の2を削減し、ベトジェットエアが余剰人員受け入れを行うことを発表しました。現在は限られた一部の路線のみ運行していますが、今後さらに事業を縮小する動きが見られるかもしれません。

ベトナム航空の職員が違法薬物を持ち込む

2023年4月、ベトナム航空の職員がケタミンやコカイン、MDMAなどの違法薬物を海外から持ち込んだとして、55人が逮捕・起訴されるという衝撃的な事件が発生しました。

最終的に容疑者は235人まで増えており、2024年2月現在も裁判は進行中です。

テト前に遅延が相次ぐ

テト(旧正月)の時期は、帰省によって多くの人が移動します。2024年2月1日〜3日にはホーチミンのタンソンニャット国際空港で、ベトナム航空、ベトジェットエア便など合計650便以上が遅延しました。

特にベトジェットエアは、通常時も遅延が目立ちます。ベトナムの交通サービス航空管制部は「パイロットに時間短縮の意識がないこと」が遅延の原因となっていることを指摘しています。

まとめ

2023年に観光需要が回復したことで、ベトナム航空とベトジェットエアは増収増益を記録しました。2024年は2019年に記録した過去最高の観光客に迫る数を見込んでおり、さらなる需要が期待できます。

一方で、ウクライナ紛争による燃料の高騰は懸念材料です。航空券や物価の高騰が、観光客の数に影響を与える可能性があります。

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