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ベトナムの改正土地法とは

ベトナムの改正土地法とは

外国人や外資企業がベトナムに進出して工場や事務所を建てる際は、土地の使用権を得る形になります。法律に則って土地を利用する必要があるため、外資企業の代表者は土地法を理解することが重要です。

本記事では、2024年1月に可決されたベトナムの改正土地法についてまとめました。改正された内容は多岐に渡るため、重要な点をピックアップして紹介していきます

ベトナムの改正土地法の概要

ベトナムの改正土地法は2024年1月18日に賛成87.9%で可決され、2025年1月1日より施行されることになります。改正土地法は16章と260条で構成されており、建物の建築から、土地の所有権や賃貸借など幅広い内容が含まれます。

ベトナムの土地法は2014年7月1日に発令されて以降、何度も改訂を繰り返してきました。今回の改訂によって、建物や土地に関するさまざまな問題が解決されると共に、停滞する不動産市場の発展にも期待が集まります。

ベトナムの土地法の主な改正内容

ベトナムの改正土地法は16章と260条と多岐に渡ります。ここでは、重要なポイントをピックアップして紹介します。土地使用に関する内容から民族に関する規定までそれぞれ詳しく見ていきましょう。

「国内在住のベトナム人」と「海外在住のベトナム人」の区別を排除

土地の取得が可能なのは「国内在住のベトナム人」に限られていましたが、改正土地法では「海外在住のベトナム人」も認められるようになりました。

従来、海外在住のベトナム人が土地を購入する場合は、国内在住の親族や知人を名義人とする傾向にありました。購入後の賃料や名義についてトラブルになることも少なくありませんでしたが、今後は海外在住のベトナム人が直接購入できるようになります。

在外ベトナム人ビジネスマン協会のピーター・ホン常任副会長は「海外在住のベトナム人は約550万人おり、将来的に故郷へ定住したいニーズは強い」と述べており、購入権が明確になることでさらなる市場の活性化を期待しているようです。

ミニアパートに関する法律の整備

小規模な集合住宅であるミニアパートの定義が明確化され、建設基準が厳格化されました。この法律は改正住宅法に分類され、改正土地法と同様に2025年1月1日より施行されます。

改正の背景には、2023年9月にハノイで発生した死亡事故があります。この事件では、建ぺい率が低いことによって火が瞬く間に広がり、ミニアパートの住人56人が亡くなりました。

改正内容には、ミニアパートには今後土地使用権や資産所有権証明書が付与され、建築要件や防火要件を満たす必要があることが含まれます。

土地の評価方法の変更

今後、土地は以下4つの方法で評価されるようになります。

・比較:同一の目的で使用される土地の市場取引額と比較
・所得:土地の面積あたりの平均年間純利益を、普通預金の平均金利で割る
・過剰:推定総開発収益から土地の推定開発費用総額を差し引く
・地価調整係数:地価表の地価に調整係数を掛ける

今回の改訂で明確化され、土地が適正な価格で取引されることが期待されています。

土地使用権と付随する資産の所有権に関する証明書を発行

ベトナムでは、所有権があり数十年同じ土地に住んでいるのにも関わらず、証明書が発行されていないことも少なくありませんでした。今回の改正土地法により、地域の人民委員会に許可された人には土地使用証明書が発行されます。

土地には住宅や事業所、農地など利用目的が決められています。住宅は宅地認定限度額を超える部分、農地は非農地目的の承認を必要とする場合には、土地使用料の支払いが必要です。

土地使用料の一括払いが限定

ベトナムでは従来、当局に対する土地使用料について年払いと一括払いを選ぶことができました。一括払いを選択すると、使用権を持った人は土地使用権の譲渡やサブリースなど、幅広い活用が可能でした。

改正土地法の改正法案では、土地使用料の一括払いは「投資プロジェクトの実施」「商業・サービスの利用」に限定されることが盛り込まれています。

少数民族のための政策の規定

ベトナムには数多くの少数民族がいますが、言語や文化が違うことにより経済的な困窮状態にあり、住宅用地と生産用地を必要とする人も少なくありません。そうした人に対して、ベトナム政府が土地割り当てや賃貸を実施し、土地政策を実施するための基金を確保することが定められました。

ただし、政府がどのような条件で土地を割り当て、土地使用権を認めるのか現時点では不明です。詳細の条件は、今後決められていくと考えられます。

まとめ

改正土地法の大きな狙いに、不動産市場の活性化と健全化があります。ベトナムでは不正取引によって不動産大手の幹部の逮捕が相次いだことが起因し、約2年間停滞してきました。

国内のみならず対外的にもネガティブなイメージが先行している中、今回の改正土地法によって、不動産市場がどのように変わっていくかに注目が集まります。

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