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ベトナムの乳製品市場

ベトナムの乳製品市場

毎年人口が100万人ペースで増え続けているベトナムでは、乳製品が不足しています。乳製品を製造する国内企業の数は少なく、コールドチェーンの整備も十分ではありません。

乳製品市場は大きなビジネスチャンスである一方で、製造や物流に関してさまざまな課題が残っています。

本記事では、ベトナムの乳製品市場の現状や、提供する主な国内外の企業を解説していきます。

ベトナムの乳製品市場とは

ベトナム国内の乳製品市場は老舗のビナミルク(Vinamilk)が大きなシェアを誇り、その後ろを新興企業のTHトゥルーミルク(TH True Milk)やニューティフード(Nutifood)が追随する形となっています。

また、ベトナム国内では「海外製品=品質が高い」という根強いイメージがあり、日本やオーストラリア、ニュージーランドから輸入される乳製品が人気です。最近は健康意識も向上しており、金額の高い輸入製品を選ぶ人が増えています。

ベトナムの乳製品市場の現状

近年ベトナムでは乳製品の消費量が増えているものの、製造や物流において課題を抱えています。ここでは、ベトナムの乳製品市場の現状について解説していきます。

牛乳の供給量が圧倒的に足りていない

ベトナムの年間の牛乳需要は一人あたり26〜28リットルで、タイの35リットル、シンガポールの45リットル、欧米諸国の80リットルと比較すると低い数字です。他国と比較しても少ないにも関わらず、国内企業の供給量は全体の約40%しか満たしていない現状があります。

足りない分は、日本やタイ、シンガポールから輸入される粉ミルクなどで賄われています。ShopeeやLazadaのオンラインショップでは、さまざまな種類の輸入粉ミルクが販売されていることが確認できます。

コールドチェーンが未発達

ベトナムではコールドチェーンが十分ではありません。乳製品にはコールドチェーンが不可欠ですが、状態の悪いものが売られていることが少なからずあります。

また、コールドチェーンに対する意識も低いです。ガソリン代節約のため定期的にエンジンを切ることで、冷蔵車の庫内の温度が上昇し乳製品に影響を与えるケースもあるようです。

乳製品を提供する主なベトナム企業

ここでは、乳製品を提供する主なベトナム企業を紹介していきます。

ビナミルク(Vinamilk)

ビナミルクは1976年に設立された老舗の企業で、牛乳やヨーグルト、粉ミルクなど幅広い乳製品を提供している会社です。雇用環境も良く、長年にわたり「アジアでもっとも働きやすい会社」にも選出され続けています。

現在は国内外で15の農場と17の工場、13の子会社を抱えています。2023年の売上は60兆3,690億VND(約3,700億円)で、ベトナムを代表する企業として安定的な成長を続けています。

THトゥルーミルク(TH True Milk)

THトゥルーミルクは、2008年に設立された比較的新しい企業です。設立当時は中国産牛乳から有害物質のメラニンが検出され「食の安全」が注目された時期でした。

そうした状況の中でTHトゥルーミルクは国外から乳牛を輸入し、安全で品質が高い牛乳の製造に着手します。その後順調に成長を遂げるとともにビナミルク一強に風穴を開け、現在では業界2位のシェアを誇ります。

THグループでは牛乳やヨーグルト、粉ミルクなどの乳製品を始め、餃子や餅、キムチなどの加工食品も提供しています。

乳製品を提供する主な日系企業

続いて、ベトナムで乳製品を提供する主な日系企業を紹介します。

メイジフードベトナム

メイジフードベトナムは、2021年にハノイ市で設立された新しい企業です。主に明治が製造する乳幼児用粉ミルクの輸入および販売をしています。

メイジフードベトナムの重要な取り組みとして「女子工場労働者の栄養改善事業」があります。これは工場の女性従業員の健康状態を改善するための事業で、2018年より始まりました。現在ではハノイ医科大学とも協力して活動しており、2030年までに65万人の方に栄養教育を行うことが目標の一つとなっています。

Elovi Vietnam(森永乳業)

Elovi Vietnamは、2021年6月に森永乳業が株式を取得して完全子会社化した会社です。森永乳業のヨーグルトや栄養補助飲料の製造、販売をしています。

Elovi Vietnamは設立から20年以上の歴史があり、従業員数は480名を超える大企業です。現地企業で培われたノウハウは、ベトナム全土への展開を支えることになるでしょう。

エザキグリコベトナム

エザキグリコベトナムは2019年6月にホーチミン市で設立された会社です。グリコの粉ミルクやお菓子、アイスクリーム、飲料などを販売しています。

ベトナムではまだ設立してから5年程度ですが、同じ東南アジアのタイでは50年の歴史があります。すでにタイやインドネシアでは成功を収めており、今後ベトナムでの発展も期待されています。

まとめ

ベトナムの乳製品市場は今後の発展が大いに期待できる市場である一方で、現地製造のためには多額の設備投資や周辺環境の整備を必要とします。近年は日系企業の進出が盛んですが、今後も販売代理店としての機能が中心になると考えられます。

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