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インドネシアの高齢化と社会福祉

インドネシアの高齢化と社会福祉

出生率が2.18人と高く、毎年人口が伸び続けているインドネシアですが、20年以内には少子高齢化社会が訪れると予想されています。今後訪れる高齢化社会に向けて、高齢者向けの施設の建設や年金制度の整備が進んでいます。

しかし、貧困状態で定年後も働かなければならない、年金の支給額が十分でないなど、さまざまな課題が存在することも事実です。

本記事では、インドネシアの高齢化や社会福祉事情についてまとめました。

インドネシアの高齢化事情

グラフを見てもわかるように、インドネシアでは毎年少しずつ65歳以上の割合が増加しています。高齢化事情について日本と比較した場合は、以下の通りとなります。

65歳以上の人口について、日本では全体の3割近いことに対し、インドネシアでは約7%程度です。平均年齢は30.2歳であり、非常に若い国といえるでしょう。

毎年人口が増え続けているインドネシアですが、2040年には15歳〜64歳の人口が高齢者と子供の数を上回る人口ボーナスが終わると予想されています。今後、高齢者の割合は徐々に増加する見込みであり、社会福祉の基盤強化が求められています。

次からは、インドネシアの高齢化事情について詳しく解説していきます。

平均寿命は上昇

インドネシアの平均寿命は「男性:60.67歳」「女性:73.55歳」です。日本の「男性:81.47歳」「女性:87.57歳」と比較すると、大きな差があることがわかります。

特に男性の平均寿命は60.67歳とかなり低いです。この理由としては、郊外では衛生面が悪く医療水準も低いことや、喫煙率が71.2%と高いこと、油を使った料理が多く健康に悪影響を与えやすいことが挙げられます。

60歳以上の割合は1割を超える

インドネシアの人口で60歳以上の割合を見ると、1割を超えています。このうち2人に1人が生計を立てるために就業しています。

今後はさらに割合が高くなる見込みであり、政府や企業は年金制度の整備や保険の充実、高齢者向けの再教育プログラムの導入に注力することが求められます。

3人に1人近くが貧困状態

インドネシアの高齢者の約36%が貧困状態であり、定年後も働かざるをえない状況にあります。

インドネシアには貧困状態の人に向けて、BPNT(非現金食糧支援)とPKH(家族希望プログラム)の支援プログラムがあります。BPNTとは米や食料の援助、PKHとは貧困家庭に対して金銭を支給、生活水準を向上させ子供に教育を受けさせることを目的としています。

インドネシアの社会福祉事情

続いて、インドネシアの年金や保険制度などの社会福祉について解説します。

年金制度は存在するが基盤が弱い

インドネシアには年金制度が存在しますが、対象は大手や中堅企業の社員、または公務員に限られます。日本のような国民皆保険制度はなく、中小・零細企業の社員や自営業に対する年金制度はありません。

年金制度も磐石とはいえず、2022年2月には「リタイアする56歳まで引き出し不可」という条項を巡って、デモが発生しました。政府は人口ボーナス期の今から、年金制度の整備が求められています。

国民皆保険制度が存在する

インドネシアには「BPJS Kesehatan」と呼ばれる、国民皆保険制度が存在します。2014年から運用が始まり、現在は国民全体の86%が加入しています。

外来・入院、妊娠や出産、投薬など幅広くカバーされますが、利用できるのはBPJS Kesehatan加盟の病院限定です。医療設備が整っている外資や私立の病院は適用外となります。

高齢者向けの施設の建設が進む

インドネシアでは、高齢者向けの施設の建設が進んでいます。従来は高齢者を家で介護することが一般的でしたが、最近では少しずつ施設の利用者が増えているようです。

しかし、高齢者は家で介護すべきという考え方も根強く、施設に預けることで子供に見捨てられたと捉える人も少なからずいます。今後市場に参入する際には、そうしたネガティブなイメージを払拭する必要があるでしょう。

インドネシアの高齢化と社会福祉に関する課題

最後に、インドネシアの高齢化と社会福祉に関する課題を解説していきます。

公立病院は常に混雑している

インドネシアでは、医療体制が整っていない中で、2014年に国民皆保険制度がスタートしました。国民皆保険制度のBPJS Kesehatan加盟の病院は常に混雑しており、治療が必要な人が満足なサービスを受けられない現状があります。

また病院は都市部に集中しており、地方や離島に住む人々にとって医師・病院不足は深刻な問題となっています。

年金だけでは生活費を賄えない

インドネシアでの年金は「0.01×(勤続年数÷12)×平均賃金×インフレ率」で計算し「30万ルピア~360万ルピア(約3,000円〜36,000円)」の間で決定します。

インドネシア国内では近年インフレが進んでおり、毎月のジャカルタでの生活費は「1,488万ルピア(14万8,800円)」ともいわれています。年金制度では到底生活費を賄えず、60歳を超えても仕事をしなければならない状況にいる人も多いです。

まとめ

インドネシアの平均年齢は30.2歳であり、非常に若い国といえます。しかし、高齢化も年々進行しており、人口ボーナスの真っ只中である現在から、高齢化社会に向けた整備を進めることが必要といえるでしょう。

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