ベトナムのリース業界
日本では車両や不動産、工場設備、オフィス機器など、さまざまなリース品が存在し、多様な産業で利用されています。2021年時点での市場規模は約7兆5000億円で、コンビニや家電業界と同等です。
一方ベトナムではリース品の種類は限られており、日本ほど市場が発達していません。大きな発展が見込まれる業界であるものの、解決しなければならない問題も多いです。
今回の記事では、ベトナムのリース業界の概要をまとめました。今後ベトナムに進出の予定がある、または現在ビジネスを展開している人はぜひ記事を確認してみてください。
ベトナムのリース業界とは
2024年のベトナムのリース業界の売上高は「17億ドル(約2,550億円)」です。日本の約30分の1ほどの規模であり、取り扱い分野も少なく市場としては発展段階になります。
ベトナムでリース業界が発展していない理由としては、以下が挙げられます。
・途上国で信用リスクが高い
・回収や担保の執行に関する法整備が不十分
・リースに対する認知度が低い
・インフレのため長期契約を結びづらい
リース業を取り巻く環境は、日本とは大きく状況が異なります。
とはいえ、リースには「初期投資を抑える」「設備を入れ替えしやすい」「必要な時だけ利用できる」などのメリットがあり、ベトナムでビジネスチャンスが多く残されています。製造業や建設業を中心に発展を続けるベトナムにおいて、今後の成長が期待できる産業といえるでしょう。
ベトナムのリース業界を紹介
引用:https://pixabay.com/photos/skyscraper-construction-site-1482844/
ここではベトナムのリース業界について、主な分野を紹介していきます。
車両
ベトナムでは、法人向けに5人乗りの普通車もしくは7人乗りのミニバンのリースが行われています。日本の現地法人は、専属の運転手付きで月もしくは年単位で契約し、利用するのが一般的です。
個人向けにも車のリースが行われていますが、取扱い店は多くありません。また、利用できる車種は普通車が中心で、トラックや小型バスなど特殊な車両はほとんどないといえるでしょう。
不動産
ベトナムでは、倉庫や工場のリース物件が多く存在します。こうしたリース物件を利用することで、建物や設備への投資額を抑えて進出時のコストを抑えられます。
本サイトでもベトナムとインドネシアを中心に、倉庫のリース物件を紹介しています。専用ページを用意しているので、今後商社や製造業で東南アジアに進出予定のある人は、ぜひ一度確認してみてください。
設備
ベトナムで、設備のリース事業を展開している会社は多くありません。製造業で使う設備は、ベトナム国内で調達もしくは他国から輸入する必要があります。
ただし、ベトナムでは粗悪品を減らすため、輸入可能な中古機械は製造から原則10年(金属加工用旋盤や鋳造機などは20年)以内と法律で定められています。法律は今後も変わる可能性があるので、注意する必要があります。
オフィス機器
ベトナムでは、オフィス機器をリースで提供する会社が複数存在します。日系企業はオフィスを構える際に、複合機や電話、PCなどをリース会社や銀行経由で借りるケースが多いです。
ベトナムに進出している主な日系リース会社
ベトナムに進出している主な日系リース会社
三菱UFJリース
三菱UFJリースは日系企業やベトナム国内企業に向けて、融資サービスを提供している会社です。2017年には航空会社ベトジェットに3億4,800万ドルの融資、2020年には国内大手リース会社のヴィエティンバンクリースの出資持分49%を取得したことを発表しています。
三菱UFJリースは、2007年10月に駐在員事務所を設立した会社です。日本とベトナム市場で得たノウハウを共有し、顧客に充実したサービスを提供しています。
ニシオレントオール
ニシオレントオールは、建設機械を中心に物流機器や、イベント用品などのリースをする会社です。1992年にマレーシアに現地法人を設立して以降、ベトナムやタイ、シンガポールなど東南アジア全域にも展開しています。
ベトナムでも日本と同等の豊富な商品ラインナップを揃えており、国内拠点は5箇所、1,500社以上の顧客を抱えています。
MaxRent Vietnam
MaxRent Vietnamは、株式会社レントと丸紅株式会社の合弁会社です。建設現場で使う高所作業車や発電機、ミニクレーンや、室内で用いるスポットクーラーや掃除機などを取り扱っています。
近年、ベトナムでは建設業や製造業への投資が拡大していますが、市場にある機材のラインナップは十分とはいえません。MaxRent Vietnamでは幅広い製品を通じて、働く人々の安全性と作業効率の向上を目指しています。
まとめ
リース業界は、ベトナムにおいて非常に有望な市場といえます。日系企業においては車両や不動産、オフィス機器の利用が中心ですが、今後は個人向けを含めてさまざまな分野への展開が期待できるでしょう。
しかし、資産を貸し出すリース業において、信用リスクの懸念が残ります。今後市場として発展していくためには、曖昧な部分が残る法律の整備は必須です。