ベトナムにおける外国人の土地取得
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ベトナムでは、外国人や外国企業が土地を取得する際の法律「土地法」が存在します。これからベトナムで不動産の購入や工場設立を考えている場合、法律の理解は必須といえるでしょう。
土地や不動産に関する法律には、土地法や住宅法、不動産事業法が存在します。こうした法律は定期的に改正されており、最新情報の理解が重要です。
本記事では、ベトナムにおける外国人の土地取得に関する法律の概要や、2024年8月初めから実施された改正内容を解説していきます。
ベトナムにおける外国人の土地取得とは
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ベトナムでは、外国人の土地取得について土地法で細かく定められています。ここでは外国人に対する土地取得について、主なポイントを取り上げて説明していきます。
外国人は土地を所有できず、使用権を取得する
ベトナムでは外国人の個人、外資企業の土地取得は認められていません。
ベトナムの法律には「土地は全人民が所有する公共財であり、国が代表して統一的に管理を行う」という記載があります。外資企業が工場を設立する場合、通常は最大50年の使用権を国から取得する形で利用します。
使用権は国から、または国や第三者との契約で取得する方法がある
土地は国から土地使用権証書(レッドブック)の発行を受けて使用権を取得する形をとります。使用権は国からの割当、もしくはリースの2つの形式が存在します。
割当とは、特定の目的のために政府が土地を提供する方法です。産業開発やインフラなど、政府が推進する特定のプロジェクトで行われることがあります。
リースとは、ディベロッパーからサブリース(転賃貸)で提供する方法です。工業団地へ進出する日系企業は、リースでの契約が一般的です。
建物は所有権は取得可能
ベトナムでは建物は公共財に含まれず、所有権の取得が可能です。外国人の個人、外資企業の両方で所有が可能で、個人に限り賃貸に出して収益をあげることもできます。
ただし上記は新築物件についてであり、中古物件には制限が存在します。基本的に外国人個人が中古物件を購入することは認められていません。しかし、外国人が所有している場合に限り、前オーナーの所有期間から差し引く形で中古物件を購入できます。
ベトナムの改正土地法、改正住宅法、改正不動産事業法とは
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ベトナムでは改正土地法が2024年1月18日に可決されました。2024年8月1日には、2023年に可決済みの改正住宅法と改正不動産事業法と合わせて、3つの改正法が同時に施行されました。
改正土地法の主な変更内容と、改正住宅法および改正不動産事業法の概要について、詳しく見ていきましょう。
ベトナムの改正土地法の主な変更内容
改正土地法での変更内容を2点紹介します。
土地使用料の年間払い時の条件が緩和
ベトナムで土地がリースで提供される場合、使用料は一括払いもしくは年間払いの2つの方法があります。年間払いでの契約は譲渡やサブリースする場合には規制が設けられていましたが、今回の改正で一部緩和されます。
具体的には、以下のように変わります。
◆年間払い
・譲渡:改正土地法46条の要件を満たし、土地の上の資産と一緒の場合のみ可能
・サブリース:工業団地、産業クラスター、ハイテクパーク、経済特区において、インフラの建設と商業運営への投資を許可された場合に可能
加えて、今後一括払いは土地を以下の用途で利用する場合にのみ選択できます。
・農業や林業、養殖業、製塩業への投資
・工業団地、産業クラスター、ハイテクパーク、経済特区で働く労働者の宿泊施設としての使用
・公共事業や観光、オフィスなど商業やサービスとしての使用
・住宅法による賃貸住宅の建設としての使用
今後は一括払いで支払うケースは減り、年間払いが増えると考えられます。
契約時からの土地使用期間で計算
今回の改正により、条件付きではありますが、土地を取得した時点からの期間計算が可能になります。
従来は、第三者から土地使用権を取得した場合「譲渡前に定められた土地使用権から、前主の土地の使用期間を差し引く」ことで契約期間を計算していました。今後は土地を取得した時点で、改めて期間を見直して計算できるようになります。
改正住宅法とは
改正住宅法の主な変更内容は以下の通りです。
・社会福祉住宅に関する柔軟な選択肢:商業住宅開発者による社会福祉住宅の開発義務で選択肢が増加
・耐用年数を終えた共同住宅の修繕と再建へのインセンティブ:耐用年数を過ぎた共同住宅を修繕や再建する際、土地使用料や賃料が免除されるなどの優遇を受ける
・社債発行に関する規制の明確化:住宅開発の資金を社債で集めることが可能と記載
今まで曖昧だった部分が明確になり、開発者の持つ選択肢が増加します。
改正不動産事業法とは
改正不動産事業法の主な変更内容は以下の通りです。
・外国投資企業の定義と不動産事業の範囲:外国出資比率が50%以下の企業は、国内法人と同じ扱いになり不動産事業の範囲が拡大
・手付金に関する新規則:未完成不動産の手付金が販売価格の5%を超えないよう規制が強化され、書面による契約が義務化
・未完成不動産の銀行保証:未完成不動産の銀行保証が任意となり、販売目的の土地制限が拡大
これらの改正は、海外の企業や投資家が投資しやすい環境になることを意味しています。
まとめ
ベトナムでは、2024年8月1日から3つの改正法が施行されました。改正については、全体的には投資条件を優遇する内容が中心です。
今後ベトナムへ進出する際には、土地や不動産に関連する法律の遵守が求められます。現在進出を検討している会社の方は、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。